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夫婦別姓否定のやじに波紋 「議論封じ」自民も危惧

 選択的夫婦別姓の導入を訴える野党議員の衆院代表質問の最中、自民党の女性議員が「だったら結婚しなくていい」とやじを飛ばしたとされる問題の波紋が広がった。野党側は23日、発言した議員を特定するよう要求したが、沈静化を図りたい自民は消極姿勢。ただ党内からも、今回のやじは夫婦別姓の「議論封じ」につながりかねないと危ぶむ声が出ている。

発言者特定には消極的

 「多様な結婚の在り方を保障しなければいけない。古い、古い、古い価値観に縛られている」。立憲民主党の蓮舫参院幹事長はこの日の党会合で、やじを厳しく非難した。22日の本会議で登壇した国民民主党の玉木雄一郎代表が、交際中の女性から「姓を変えないといけないから結婚できない」と言われた男性のエピソードを紹介した時、自民党席から飛んだとされる。

 23日の衆院議院運営委員会理事会で、野党側は発言者が「杉田水脈(みお)衆院議員ではないか」と確認を求めたものの、自民は「持ち帰る」。党幹部は、公式な発言ではないやじが飛び交うたびに発言者を特定することになれば、国会運営に支障が生じかねないとして、「『特定できなかった』とだけ回答する」と話した。

 杉田氏はかつて、月刊誌に性的少数者(LGBT)のカップルについて「『生産性』がない」と寄稿し、釈明に追われたこともある。この日、記者団から再三にわたり事実確認の問い掛けを受けたが、回答することはなかった。

 多様性などを巡る自民議員の発言はこれまでもたびたび、物議を醸してきた=表参照。伝統的な家族観を重視する議員が多い党内には、リベラル色が濃い選択的夫婦別姓に否定的な意見が根強い。

 党幹部は「言葉足らずだったかもしれないが、やじは一つの考え方を示しただけだ。全く問題ない」と擁護。一方で、「自民議員が全員、やじと同じ考えだと思われたくない」(中堅)との声も存在する。

 世の中にも賛否両論がある夫婦別姓問題。結婚さえしなければ考える必要もないだろうと、論理を乱暴に飛躍させてしまっている点に、閣僚経験者はやじの病根を見いだす。「入り口から議論を否定してしまう、自民党の一部にある体質だ。それが最も良くない」 

(一ノ宮史成)

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