表示装置も大きく変わった。従来型はCIC室内中央前方に47インチクラスの大型ディスプレー2面または4面が、間隔を開けて設置されている。しかしBL9では縦1メートル前後、横5メートル前後の大きさに隙間なくつなげて設置。それを画面上で6分割して情報を表示しているようだ。
さらに種々の操作をするコンソールも別物になっている。従来型が小型ディスプレーと多くのボタンやスイッチで構成されていたのに対し、BL9では「共通表示装置(CDS)」と呼ばれる、三面鏡のように配置された19インチ程度の画面3枚とキーボードなどで構成。画面はタッチスクリーンになっているという。民生品を活用するCOTSもかなりの割合に及んでいるようだ。
20数席あるコンソールのうち20席程度がCDSになっていた。CDSの画面には各種ミサイルや火砲の稼働状態などを表示している部分があった。
BL9にはいくつかのタイプがある。タイコンデロガ級巡洋艦のチャンセラーズビルが搭載するのは、同級向け仕様である「9A」タイプ。これは弾道ミサイル防衛(BMD)機能が省かれ、対空戦(AAW)機能に特化している。両方の機能を持つ、本来型といえる「IAMD」タイプはアーレイバーク級駆逐艦向けの「9C」と「9D」になる。9Dはこれから建造される艦に搭載されるタイプなので、現在運用されているのは9Aと9Cということになる。
このBL9の何がすごいのかを簡単に言えば、従来のイージスシステムが苦手としていた超低空を飛ぶ対艦巡航ミサイルを迎撃する能力を格段に高め、高度な艦隊防空能力を持つ。さらに遠距離の敵に対して、味方との連携によって攻撃する能力が格段に高まった。
これは「NIFC-CA(ニフカ)」という構想と射程370キロに達する対空ミサイル「SM-6」に対応したことによってもたらされている。ニフカは水平線の向こう、数百キロから1000キロ以上遠方にある目標を、自分以外が搭載しているセンサーで捉えた情報によって攻撃する構想やシステムのこと。
次回はこのニフカと、それにより日本の集団的自衛権が大きな影響を受ける可能性があることを取り上げたい。(梶川浩伸)