完了しました
旭化成のスエード調人工皮革「ディナミカ(旧ラムース)」が好調だ。髪の毛の18分の1ほどの極細繊維を使った独自の製造方法がソフトな手触りと機能性を生みだし、メルセデス・ベンツなど欧州の高級車の内装材のほか、高級家具やブランド雑貨にも使われている。旭化成唯一の製造拠点である宮崎県延岡市の工場を訪ね、約40年にわたる生産の歴史を聞いた。(尾谷謙一郎)
高さ100メートル超の煙突がそびえる延岡市。ディナミカの工場は北側の煙突が立つ岡富地区にある。工場内にあるショールームには色とりどりの製品が並び、触ってみると滑らかで心地よい。
ディナミカの強みはその構造にある。表面層、中間層、裏面層の3層で構成され、例えば燃えにくい特性を持つ太い糸を裏面に使えば、表面は極細繊維の美しさを残したまま難燃性が高まる。また、伸び縮みする織物を中間層に使えば、伸縮性も生まれる。不織布工場の鈴鹿隆治工場長は「三つの層によって、お客様の様々な要望に沿うバリエーションが可能です」と話す。
製造が始まったのは1980年。当初は衣料に使われていたが、ファッション業界は流行に左右されやすく生産は伸びなかった。90年代に入るとソファなどの家具に使われるようになり、2000年には第2系列と呼ばれる新工場が稼働した。しかし、08年のリーマン・ショックでは生産量が落ち込むなど厳しい状況に追い込まれることもあった。
1
2