吉川元農相、鶏卵生産大手から現金受領か 東京地検特捜部が関係者を聴取

2020年12月2日 06時44分
 自民党の吉川貴盛元農相(70)=衆院北海道2区=が、鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)側から現金を受け取った疑いがあることが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は、アキタ社の関係者を任意で事情聴取。現金の趣旨などを調べているもようだ。

吉川貴盛・元農相(2018年10月撮影)

 本紙は11月以降、アキタ社側からの現金提供の有無について、吉川氏の事務所に複数回にわたり質問状を送ったが、事務所は「政策秘書から回答がなければ、それが回答です」などとして明確に答えていない。
 アキタ社の担当者は、同社側が特捜部から事情聴取を受けたことを認めた上で、「詳細についての説明は控える」と話している。
 吉川氏は2018年10月から19年9月まで、安倍政権下で農相を務めた。
 鶏卵を巡って国際獣疫事務局(OIE、本部パリ)は18年11月、劣悪な環境での鶏の飼育を防ぐアニマルウェルフェアの基準として、止まり木や巣箱の設置を義務づける案を日本など加盟国に提示した。
 日本の鶏卵業界はこの案に反発。「新規の設備投資は生産者にとって大きな打撃となる」として、18年12月、案に反対する要望書を農林水産省に出した。19年初めには、1000筆を超える反対署名も提出。OIEが19年9月に公表した修正案では止まり木などの設置義務は削除された。
 アキタ社幹部は業界団体の役員を務めている。
 吉川氏は、自民党の故鳩山威一郎外相らの秘書や北海道議を経て、1996年衆院選で初当選。現在は6期目。経済産業副大臣や農水副大臣を歴任した。
 アキタ社は66年の設立。広島のほか、千葉や愛知にも拠点があり、「きよら」ブランドで知られる。
 昨年7月の参院選広島選挙区を巡る河井克行元法相夫妻の買収事件の関係先として、特捜部は今年7月、アキタ社の本社を家宅捜索していた。

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