兵庫県三木市緑が丘町のサンロード商店街周辺で毎年秋に開かれていた「三木さんさんまつり」が再開を断念した。歩行者天国でのダンスや踊りのパレードで知られる地域の一大行事だが、新型コロナウイルスの影響で中止が続いていた。地域住民有志でつくる実行委員会が、密を避けられないイベントの開催は今後も困難と判断し、約30年地域を盛り上げた行事が幕を下ろすことになった。(長沢伸一)
まつりは1992年に商店街の活性化を目指して店主らが企画したのが始まり。「みどりまつり」の名称で、県内の商品が集まる物産展や但馬の傘踊りなどの芸能が披露された。
当初は商店街のイベントだったが「もっと華やかにして人を呼び込もう」と、2000年ごろから踊りを中心にしたイベントに変更。青山や自由が丘地区の住民有志も実行委に加わり、新興住宅地全域の行事となり、後に「三木さんさんまつり」に名称を変更した。
イベントのフィナーレを飾るパレードのために幹線道路を歩行者天国とし、県内外のダンスや踊りのチームが毎年約60チーム参加。約300メートルを人で埋め尽くした。歩道のガードレールの内側にも多くの見物人があふれ、イベントの当初から携わった蔵迫登さん(73)は「まちが活気づいているのが分かった。新興住宅地の住民が集まれる日になっていた」と振り返る。
結果的に最後の開催となった19年は例年通りに行われた。20年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止。21年はフリーマーケットやダンスチームの募集を始めたが、夏前に感染者が急増し、再び中止に追い込まれた。
今年も実行委を開いたが、新型コロナの収束は見通せず、イベントの目玉のパレードは、屋外とはいえ四方から集まる人を規制することが難しかった。3年連続の中止が避けられず、再開に向けた機運が盛り上がらなかった。5月の実行委で19年の28回目を最後とし、「さんさんまつり」を終了することが決まった。
蔵迫さんは「実行委のメンバーは替わったが、住民有志で28回もまつりを続けたことは誇り。よくここまでできたという達成感が大きい」と話した。
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