• TSR速報

パナソニック液晶ディスプレイ(株)

パナソニック液晶ディスプレイの本社(TSR撮影)

パナソニック液晶ディスプレイの本社(TSR撮影)

 7月31日、パナソニックグループが特別清算を申請することを決議したと発表していたパナソニック液晶ディスプレイ(株)(姫路市飾磨区)は9月19日、神戸地裁姫路支部に特別清算を申請した。
 申請代理人は柴野高之弁護士(弁護士法人堂島法律事務所東京事務所、東京都千代田区神田神保町3-2)ほか1名。
 負債総額は約5836億円(2023年8月末時点)。

 2004年10月、当時の(株)日立ディスプレイズ(2013年4月に(株)ジャパンディスプレイへ商号変更)の出資により(株)日立液晶TVディスプレイの商号で設立された。2005年1月に(株)日立製作所(東京都千代田区)、(株)東芝(東京都港区)、松下電器産業(株)(現:パナソニックホールディングス(株)、大阪府門真市)による合弁会社として正式に発足した。

 広い視野角を特徴とするIPS方式の液晶パネルの開発製造、保守サービスを手掛け、2008年3月期には売上高約1523億9300万円をあげていた。しかし、激烈な価格競争を受けて赤字が続き、2009年3月期には債務超過に転落した。

 2010年には当時のパナソニック(株)の連結決算子会社となったが、その後も厳しい業況を脱せず、債務超過額が拡大していた。こうした状況に対し、パナソニックグループとしては当社事業である液晶パネル生産を終了し、自動車向け電池などの生産拠点として活用すると公表。しかし、米中貿易摩擦の激化などで業績改善に至らず、事業継続が困難であるとして徐々に業容を縮小し、2023年3月期には売上高約110億7300万円に対して当期純損失は約37億4700万円、債務超過額は約5832億1600万円となっていた。

 こうしたなか、2023年3月末をもって完全に事業活動を停止。2023年度に入り、所有する工場等資産の処分・移管が完了する見込みとなり9月1日、存続期間の満了をもって解散し、今回の措置となった。

※パナソニック液晶ディスプレイ(株)(TSR企業コード:322101352、法人番号:3140001065892、姫路市飾磨区妻鹿日田町1-6、設立2004(平成16)年10月、資本金5億円)
※(株)日立ディスプレイズ(TSR企業コード:294505385、2013年4月に(株)ジャパンディスプレイへ商号変更)
※(株)日立製作所(TSR企業コード: 291054757、法人番号:7010001008844、東京都千代田区)
※(株)東芝(TSR企業コード: 350323097、法人番号:2010401044997、東京都港区)
※松下電器産業(株)(現:パナソニックホールディングス(株)、TSR企業コード:570191092、法人番号:5120001158218、大阪府門真市)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「雇用調整助成金」の不正受給 1,157件 3月は94件、不正受給額は累計391億円

全国の労働局が4月30日までに公表した「雇用調整助成金」等の不正受給件数が、2020年4月から累計1,157件に達したことがわかった。不正受給総額は391億4,016万円にのぼる。 前回調査から2カ月で117件増加した。不正受給総額は月間最多の74億2,393万円と突出した。

2

  • TSRデータインサイト

「早期・希望退職募集」は 27社、対象は 4,474人に 黒字企業の事業再編で増加、年齢制限ない募集も

上場企業の人員削減が加速してきた。2024年5月16日までに、「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は27社(前年同時期20社)で、対象は4,474人(同1,314人)に達した。すでに、2023年(3,161人)の年間実績を超えており、年間1万人超のペースをたどっている。

3

  • TSRデータインサイト

4月の運送業倒産30件で前年同月から倍増 人手不足と高齢化で「後継者難」、人件費・燃料費上昇も収益圧迫

 2024年4月の道路貨物運送業倒産は、件数が30件(前年同月比114.2%増、前年同月14件)で、2カ月連続で前年同月を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

介護事業者の倒産が過去最悪ペース 他業界の賃上げで人材流出、通所・短期入所は過去最多

相次ぐ高水準の賃上げが、介護職員の人手不足を加速させている。さらに物価高も追い打ちをかけ、2024年1-4月の「介護事業者(老人福祉・介護事業)」の倒産は51件(前年同期比45.7%増)と、同期間の過去最多を記録した。

5

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

TOPへ