青島刑事が泣いている!! 大スランプにあえぐフジテレビが春の番組改編で、火曜午後9時のドラマ枠の制作を系列の関西テレビ(大阪)に譲ることが分かった。関テレ制作といえば、捏造(ねつぞう)騒動を起こした「発掘!あるある大事典II」が思い出される。以来、全国ネットのゴールデン帯(午後7~10時)の番組を失っていたが、8年ぶりの復帰だ。一方、フジにとって“火9”は過去に「踊る大捜査線」など人気ドラマを世に送り出した大ヒット枠。いったいなぜ手放したのか? 追跡すると――。

 ついに、ここまできたか。“ドラマのフジ”の看板が崩壊寸前だ。同局が、約20年続いた伝統の火曜午後9時ドラマ枠を、系列の関テレに明け渡すことになった。同枠はヒットドラマを連発し、中でも最大の利益をもたらした「踊る大捜査線」から“踊る枠”と呼ばれてきたが、それを放棄するのだ。

 今クールでは、女優中谷美紀(39)主演のドラマ「ゴーストライター」を放送中。これが4月からは「関テレ制作で『フットボールアワー』後藤輝基のグルメバラエティーになるそうです」とテレビ関係者。

 同枠のドラマは1996年に設定され、特番を除く通常放送で最高視聴率23・1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ=以下同)を叩き出した「踊る――」や、「古畑任三郎3」「神様、もう少しだけ」(いずれも同28・3%)など、ヒット作を放ち続けた。

「“月9”は王道の恋愛モノで“保守枠”。対して“火9”は“革新枠”とも呼ばれた。刑事ドラマはそれまで推理モノが多かったけど、『踊る――』は警察内部の人間模様に迫った。『古畑――』ではあえて犯人を冒頭から明示する手法でした。『神様――』ではタブー視されたエイズに焦点を当てた。従来の作風とは一線を画し、挑戦的な意欲作を送り続ける枠で“月9”と並ぶ看板だった。“ドラマのフジ”の象徴でもあったのです」(フジ関係者)

 キラーコンテンツだったドラマの枠をみすみす関テレに譲った理由は何なのか。

 制作会社関係者は、フジの制作費削減と現場スタッフの士気低下だという。

「現在、フジはプライム帯(午後7~11時)のドラマを5本抱えている。ドラマはとにかく制作費がかかり、内容にもよるけどバラエティーの1・5~2倍高くなってしまう。視聴率回復を目指すフジにとってドラマは、制作費がかさむ割に見込みほど視聴率を取れず、お荷物になっていた」

 亀山千広社長(58)は「4月以降、バラエティー番組の制作費を5%ダウンする」と宣言したと、一部で報じられた。
「フジは“火9”で自社制作のバラエティーを始める手もあったけど、制作費の削減で現場スタッフの士気低下が止まらない。だから、関テレに丸投げしてしまおうとなったみたい」(前出制作会社関係者)

 一方の関テレにとっては願ったりかなったりだ。2007年、同局が制作していた「あるある――」をフジ系全国ネット(日曜午後9時)で放送していたが、捏造問題で世間を騒がせ、同枠を“没収”された。現在はフジ制作で、ビートたけし本紙客員編集長(68)が“審査委員長”としてレギュラー出演するバラエティー番組「オモクリ監督」が放送されている。

「関テレは大阪の民放局で唯一、自社制作でゴールデン帯の全国ネット番組を持っていなかった。ゴールデン帯への復帰は悲願だった」(前出フジ関係者)

 俳優・女優陣にとっては、フジドラマ枠のマイナス「1」は死活問題。「踊る――」で青島刑事役を演じた織田裕二(47)も泣いているかもしれない。