ヴォルテール ヴォルテールの名言とされてきた文言

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ヴォルテール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 02:48 UTC 版)

ヴォルテールの名言とされてきた文言

言語 文章
英語の原文 “I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it” was his attitude now.
フランス語の翻訳文 “Je ne suis pas d’accord avec ce que vous dites, mais je défendrai jusqu’à la mort votre droit de le dire” était désormais son attitude.
日本語の翻訳文 「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」とは今の彼の態度だった。

有名な「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」(または「―権利には賛成だ」。フランス語の翻訳文では「命をかけて」は同義の「飽くまで」)という言葉は、民主主義自由主義のとりわけ表現の自由言論の自由の原則を端的に示した名文句として人々に記憶されている。

しかし実はヴォルテールの著作や書簡にはみえず、S・G・タレンタイアの著作『ヴォルテールの友人』("The Friends of Voltaire"、1906年)中の「'I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it,' was his attitude now.」の部分翻訳である。これは当時物議を醸した書物『精神論』とその著者クロード=アドリアン・エルヴェシウスに対するヴォルテールの態度をタレンタイアが要約したものであり、ヴォルテール自身の言葉とはされていない[36]

なお Norbert Guterman の『A Book of French Quotations』(1963)は、このホールの言葉を、ヴォルテールの1770年2月6日、M. le Riche あての書簡にある、「私はあなたの書いたものは嫌いだが、私の命を与えてもあなたが書き続けられるようにしたい」(Monsieur l’abbé, je déteste ce que vous écrivez, mais je donnerai ma vie pour que vous puissiez continuer à écrire.)にもとづくものとしているが、実際の Riche あての書簡にはそのような文言は存在しない。


注釈

  1. ^ この時創設したマニュファクチュール・ロワイヤル英語版は彼の死とともに断絶したが、2010年に複雑時計メーカーとしてジュネーヴ近郊のヴァローブフランス語版で復興した
  2. ^ 『ザディーグ』の日本語訳は岩波文庫の2005年版『カンディード 他五篇』に収録。
  3. ^ 士師記12-4-6でギレアデ族エフライム族を殺害した一節、民数記25-6-9を指すが、後者については故意の誤解によるものかと訳者は指摘している[31]
  4. ^ 中公版『哲学辞典』は 抜粋訳。中条省平解説
  5. ^ チャールス十二世とは、スウェーデン王カール12世をいう。

出典

  1. ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説”. コトバンク. 2018年1月13日閲覧。
  2. ^ エイヤー 1991
  3. ^ 「知の革命家 ヴォルテール 卑劣なやつを叩きつぶせ」p62 小林善彦 つげ書房新社 2008年11月20日第1刷
  4. ^ トレモリエール&リシ編 2004、400頁。
  5. ^ エイヤー 1991、5-6頁。
  6. ^ エイヤー 1991、第一章。
  7. ^ P・シャンピオン『わが懐かしき街』図書出版社、1992年、255頁。 
  8. ^ トレモリエール&リシ編 2004、412-413頁。
  9. ^ 『道楽科学者列伝 ― 近代西欧科学の原風景』p35 小山慶太 中公新書 1997年4月25日発行
  10. ^ ポーター(2004)pp.35-38
  11. ^ 「ビジュアル版 本の歴史文化図鑑 5000年の書物の力」p102 マーティン・ライアンズ著 蔵持不三也監訳 三芳康義訳 柊風舎 2012年5月22日第1刷
  12. ^ 「知の革命家 ヴォルテール 卑劣なやつを叩きつぶせ」p104 小林善彦 つげ書房新社 2008年11月20日第1刷
  13. ^ 「知の革命家 ヴォルテール 卑劣なやつを叩きつぶせ」p120 小林善彦 つげ書房新社 2008年11月20日第1刷
  14. ^ 「知の革命家 ヴォルテール 卑劣なやつを叩きつぶせ」p136 小林善彦 つげ書房新社 2008年11月20日第1刷
  15. ^ 「ヴォルテールの世紀 精神の自由への軌跡」p427 保苅瑞穂 岩波書店 2009年11月19日第1刷
  16. ^ 「知の革命家 ヴォルテール 卑劣なやつを叩きつぶせ」p154 小林善彦 つげ書房新社 2008年11月20日第1刷
  17. ^ エイヤー 1991、8頁。
  18. ^ エイヤー 1991、第六章。
  19. ^ エイヤー 1991、第二章。
  20. ^ エイヤー 1991、20、30、31、109~114頁。そのうち109~114頁の範囲を含む、86~114頁までの第三章は「パスカルおよびモーペルチュイに反対して」と題されている。
  21. ^ エイヤー 1991、主に26頁・33頁・35頁・37頁・38頁・41頁・50頁・192頁など。
  22. ^ #ポリアコフ III,pp.124-128.
  23. ^ 下村 1972、p.111.
  24. ^ Hans Liebeschütz,Das Judentum im deutschen Geschichtsbild von Hegel bis Max Weber. - Tübingen: Mohr, 1967,S,7.ff.
  25. ^ 『哲学辞典』「食人種」
  26. ^ 『哲学辞典』「ユダヤ人」
  27. ^ #ポリアコフ III,pp.124-126.
  28. ^ #ポリアコフ III,p.126.
  29. ^ a b c #ポリアコフ III,pp.127-128.
  30. ^ #ポリアコフ III,pp.131.
  31. ^ #ポリアコフ III,p.698.
  32. ^ #ポリアコフ III,p.141-142.
  33. ^ Amanda Scherker (2014年06月05日 16時30分 JST). “9人の偉人がコーヒー中毒だったなんて驚きだ”. The Huffington Post. 2017年8月20日閲覧。
  34. ^ 三浦一郎『世界史こぼれ話』p.40
  35. ^ How Voltaire Made a Killing in the Lottery (1985年9月5日 The New York Times, Opinions)
  36. ^ 「私はあなたの意見には反対だが、それを主張する権利は命がけで守る」という格言はヴォルテールのものではないという指摘”. GIGAZINE. 2023年3月4日閲覧。


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