おびただしい
「おびただしい」とは、「数や量がものすごく多いさま」を意味する日本語の形容詞である。しばしば「過剰である・多すぎる」というニュアンスが含まれる。「大量の」「膨大な」「甚だしい」「非常にたくさんの」などと言い換え可能な表現である。
「おびただしい」は基本的には「おびただしい人出」や「おびただしい出血」のように、名詞を直接に修飾する形で使える。あるいは、「おびただしい数の人」や「おびただしい量の土砂」のように、「数」や「量」の語を修飾する形でも用いられる。
「~であること、おびただしい」という定型的な言い回しにおいては「(程度が)甚だしい」という意味でも用いられる。もっとも、この用法は今日ではあまり用いられない。
「おびただしい」を漢字で書くと
「おびただしい」は、漢字では「夥しい」と表記される。「夥」は常用漢字ではないため、ひらがな表記されることが多い。漢字の「夥」は、音読みで「カ」、訓読みで「おびただ-しい」と読む。「夥」の字が用いられる言葉としては「夥しい」の他には「夥多(かた)」などが挙げられる。「夥多」は「非常に多い」あるいは「多すぎる」という意味の言葉である。
「おびただしい」の類語
「おびただしい」は、数や量が非常に多いさまを形容する表現であり、同じような意味の表現はたくさんある。たとえば「膨大な」「莫大な」「無数の」「幾多の」「数多の」「多数の」「大量な」「沢山の」「数え切れない」「幾つもの」「枚挙にいとまがない」といった言い方が挙げられる。「おびただしい」は古語「おびたたし」に由来する和語である。漢語に由来する「膨大」「甚大」などの表現とはまた違った趣がある。
「おびただしい」の対義語
「おびただしい」は、数や量が非常に多いさまを形容する表現であり、その対義語は「数や量が非常に少ない」という意味になる。具体的には、「僅少な」「過少な」「些少な」「微少な」「微々たる」「僅かな」「数えるほどの」などの言い方が挙げられる。「おびただしい」を含む熟語・言い回し
「おびただしい量」
「おびただしい量」は、物量がものすごく多いさま、とんでもない分量であるさま、を意味する言い回しである。「おびただしい夢」とは
「おびただしい夢」とは、清岡卓行が随筆「手の変幻」の中で用いた言い回しである。清岡は「ミロのヴィーナス」が両腕を欠いていることについて「おびただしい夢をはらんでいる無」と表現している。
この「おびただしい」は「数量がとても多い」という意味である。「夢」は「夢想・空想」と言い換えられる。
つまり「おびただしい夢をはらんでいる無」とは、かいつまんで言えば「腕がないからこそさまざまな空想を思い描くことができる(もし腕があったなら空想の余地がない)」という感慨を端的に表現しているわけである。
おびただし・い【×夥しい】
「おびただしい」の例文・使い方・用例・文例
- おびただしい情報
- おびただしい数の人々がその野球の試合を見にやって来た
- おびただしい数の流星
- 子供に少し愛情を注いで見給え、すると君におびただしい愛情が戻ってくる。
- 駅の近くの歩道には何処に行ってもおびただしい数の自転車が放置されているのが見かけられる。
- おびただしい数の人々が集まってきていた。
- おびただしい人の群れ, 大群衆.
- おびただしい出血.
- まったく山のような[おびただしい](台所の)ごみ.
- 腹の立つことおびただしい.
- とどのつまり新しいオートメ機械によっておびただしい新需要が作り出される.
- 海の上のおびただしい灯は空のおびただしい星との間に一つ一つ照応があるかのようであった.
- おびただしい量の液体を発散させる
- おびただしい数の情報
- ビルが倒壊し、おびただしい量の破片が押し寄せた
- おびただしい数の虐待
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