mova movaの概要

mova

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/29 03:54 UTC 版)

mova端末・N502it NEC製 2000年

第三世代携帯電話W-CDMA)サービス「FOMA」への移行が進んだことを理由に、2008年12月に新規の利用申込を停止。2012年3月31日限りでサービスを終了し、停波した。

概説

NTTは、1989年平成元年)7月DDIセルラーグループが採用したTACS方式(JTACS)による携帯電話サービスで提供されたモトローラ社製小型機MicroTAC英語版(容積約300cc[注釈 1]に対抗するため、日本の主要通信機器メーカー、松下通信工業(現:パナソニック モバイルコミュニケーションズ)、日本電気(NEC、現:NECカシオ モバイルコミュニケーションズ)、三菱電機および富士通の4社[注釈 2]と共同で容積200ccを目指したTZ-804型無線機を開発、1991年(平成3年)4月から提供。当時、世界最軽量・最小であり[1]、自動車電話及びショルダーホンと区別するため「携帯電話」という商品名で提供していた既存商品TZ-802・TZ-803型無線機と区別する「超小型携帯電話・ムーバ(mova)」と呼称する商品群とした。「mova」の名称は英語のmovable(動かせる、移動する)の最初の4文字から採ったもので、携帯のしやすさ、移動のしやすさを表現したものである。DDIセルラーグループ・日本移動通信のデジタル網は、IDOはセルラー・ドコモ、セルラーはIDO・ドコモというようにmovaにローミングした。なお、端末は当初はレンタルで、販売は1994年(平成6年)4月の売り切り制解禁からである。

1993年(平成5年)3月の第2世代デジタル方式サービス開始により、同サービス対応の携帯電話無線機を「デジタル・ムーバ」として従来のアナログ無線機と区別したが、1999年(平成11年)3月にアナログ方式サービスが終了し、2001年(平成13年)10月には第3世代デジタル方式の新サービス「FOMA(フォーマ)」に対応する無線機も発売されたことから、同年11月発売の211シリーズ以降は再び「ムーバ」に戻された。

「ムーバ」とは、登場以来長くドコモが販売した携帯電話無線機(例外機種あり)の商標であったが、同社契約約款を2004年(平成16年)4月にFOMAサービスを除く「携帯自動車電話契約」を「movaサービス契約」と名称を改正したことから、同社の第2世代携帯自動車電話サービスの総称を意味することとなった。なお、ドコモは2004年度(平成16年度)後半頃より、本来のカタカナ「ムーバ」はあまり用いず、ロゴなどでしか目にすることのなかった英字「mova」を契約約款での使用に準じて常用するようになっている。

2004年あたりから「FOMA」のサービスエリアの拡大、新機能の導入などで「FOMA」の普及が進むに連れ、「mova」加入者数の減少が急速に進み、2007年度末に1000万件を、2008年11月末には700万件を割り込んだ。2008年8月7日には、同年11月をもって「mova」新規加入の受付終了と、翌8月8日より、「FOMA」への契約変更手数料¥2,100を無料にする発表があった[2]。2009年1月30日のニュースリリースで、2012年3月31日限りでのmova(およびこれを利用したDoPaなどの)サービス提供の終了が正式に発表された[3]

mova端末

初代アナログmova N(TZ-804)改良版 NEC製
初期デジタル端末SO101 SONY製
デジタル・ムーバを利用した列車電話
一部の高速バスにも設置されていた

アナログ式時代は、まずNTT時代の1991年初登場のTZ-804型携帯無線電話機を「ムーバ x」(x=メーカ記号)とした。1993年に無線局免許証票の貼付を廃し、若干の改良(収納状態でも着信できるアンテナ、機器の発熱から耳を保護するイヤーパッドなど)を施したが、愛称に変更はない(厳密には名称は「 x1」となった)。 NTTドコモ譲受後の後継機種は「ムーバ x2」となり、「TZ-」系の型式番号は廃止された。

デジタル(PDC)方式が開始されると、これに対応した端末は「デジタル・ムーバ」となり、最初のものは各メーカごとに「デジタル・ムーバ x」から開始され、次いで「デジタル・ムーバ x2」となり、9.6kbpsデータ通信に対応したものは末尾に「HYPER」が付加された。その後は「デジタル・ムーバ xyyy」(y=型番数字)となり、型番は101から開始され、100番台および200番台で進められた。

iモード対応のものは501iから始まり、1.5GHz(シティフォン・シティオ)のものは151から始まっている。200番台のシリーズは209iからiモード対応となり、ドコモの800MHz端末は全部iモード対応に切り替わった。

高級仕上げや防水、高齢者向けなどの特殊仕様として、600番台がある。

なお、当初はドコモ標準ソフトを採用する端末メーカーであるP(松下通信工業)、N(日本電気)、D(三菱電機)、F(富士通)、R(日本無線)、M(モトローラ)製のものにだけ「ムーバ」の商品名が付けられており、ソニーシャープなど他社製の端末や変則的納入を行うメーカー、ドコモ標準ソフトを採用していない機種は2001年まで「ムーバ」を名乗れず、「DoCoMo by Sony SO502i」「DoCoMo NOKIA NM207」のような型番となっており、「byシリーズ」と呼ばれていたほか、メーカー記号も2文字とされていた。2001年4月(503iS・210iシリーズ)以降はムーバで統一された為に区別はされなくなった。

HYPERは9.6kbpsでデータ通信ができるものにつけられていたが、全ての端末でその機能が実装され、1999年に廃止された第1世代と区別する「デジタル」という言葉も必要がなくなったため、211i(2001年10月)以降、「ムーバ xyyyi」となった。


注釈

  1. ^ 後に、マイクロタックと同じボディのデジタルムーバM(TZ-821・MT-811)も発売された。
  2. ^ 端末を共同開発した4社のうち、NEC・富士通・三菱電機の3社はいわゆる「電電ファミリー」の一員となっている。
  3. ^ 京セラと共に第二電電の設立母体であったことから間接的にDDIセルラーグループと関係があり、ソニーの携帯電話事業はDDIセルラー向け端末が主力となっていた。一時期、NTTドコモ向け端末の開発を休止していたことがあったが、その間もau向け端末は引き続き開発・販売していた。

出典






英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「mova」の関連用語

movaのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



movaのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのmova (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS