WordStar カスタマイズ

WordStar

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 16:37 UTC 版)

カスタマイズ

WordStarの生まれた時代には、ビデオディスプレイ機能を内蔵したパソコンはまだ少なく、ビデオ表示端末 (VDT) をシリアル接続して操作するものが多かった。このVDTはメーカーにより様々な仕様が乱立していたため、マイクロプロ社は一般的なVDTの多くに対応できるように設計し、使用開始時に手持ちのVDTに合わせてカスタマイズ作業を行ってから使用することになっていた。特に内蔵ビデオ表示が可能な機種については直接VRAMに書きこむことで画面を高速に更新する機能も持ち、PC/AT互換機でもANSI.SYSディスプレイドライバに対応したエスケープシーケンスで制御する方法と、直接ディスプレイアダプタ(ビデオカード)を制御する方法が選べた。

プリンターについても、高品質なデイジーホイール方式から安価なドットマトリクス・インパクト方式に至る多種多様なメーカー・機種に対応し、これも必要に応じてカスタマイズすることができた。

Ver 3.x を最新OSで動作させる

WordStar 3.x はMS-DOSのファイル制御ブロック英語版 (FCB) を使用している。これはファイル入出力用のデータ構造で、CP/Mのファイル入出力機構によく似ている。FCBを利用したのは、CP/M上のアセンブリ言語で書かれたプログラムをMS-DOS移植しやすかったからである。その後MS-DOSはXENIX風のファイル記述子のインタフェースを採用し、FCBは互換性のためだけに維持されるようになった。FCBの互換性はその後ちゃんと保守されていないため、WordStar 3.x を最近のWindowsで正しく動作させることができない。特にファイルのセーブが不可能である。対策としてLinux上でFCBもちゃんとサポートしているエミュレータDOSEMU英語版を使う方法がある。なお、DOSBoxはLinux上でもFCBをちゃんとサポートしていない。WordStar 4.0 は新しい入出力インタフェースに対応しているため、このような問題は生じず、OS/2でも動作させることが可能だった。

ヘブライ語対応

イスラエルの企業エルビット・システムズは、1978年ごろにCP/Mマシン DS2100 を開発した。既にCP/Mマシンは珍しくなかったので、エルビットは他とは違う何かを必要としていた。そこで、マイクロプロと共同で英語とヘブライ語の両方に対応したWordStarを開発。ヘブライ語は英語とは書く方向が逆であり、世界初の左書きと右書きが可能な多言語対応のワープロソフトが完成した。

エルビットはソースコードの権利を買い取ってイスラエルでプロジェクトを進めた。数年後にはヘブライ語と英語に対応したWYSIWYGワープロソフトを開発し、一時期はイスラエルでデファクトスタンダードとなった。


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