SE計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 13:06 UTC 版)
概要
タイラント開発計画の始動
一年戦争の直後、ジオン軍事体制から独立したアナハイム・エレクトロニクスで、タイラント開発計画は始動した。その意図する所とは、高度な技術力、工業力を背景にした企業力の拡大、政治力の強化だった。戦争は終結したが、連邦、ジオン共に弱体化の極みにあり、復活は難問題だった。アナハイムはMS開発を軸とする軍需産業を中心として、両者を積極的に援助する事で、各勢力間にその影響力を拡げていった[3]。
SE計画への変貌
時にU.C.0083、エゥーゴとティターンズによるゲリラ戦が始まる3年前であるこの時代、次々と生み出される新世代MS群に対して、タイラント開発計画は次第にその姿を変えていき、単なる新型MS開発計画だったプロジェクトはやがて”SE計画”として正式に発足、ネオ・ファリアが生まれるのだった[3]。
火薬庫状態の地球圏
すでにこの時、アナハイムは経済力による地球圏支配を実質的に完了しつつあった。だがティターンズの台頭によりその経済的、政治的バランスが崩れる事になる。企業にとって軍事力はコントロールされる物であり、均衡状態が安定した利潤を生み出すのである。イデオロギーは問題ではないのだが、軍人にとってそれは関係ない。連邦内に生まれたティターンズという、突出した軍事力をアナハイムは嫌い、やがてエゥーゴを生み出す布石となる。この時を境にしてアクシズ(ネオ・ジオン)の動向やジュピトリス(木星圏勢力)の拡大など、急激に地球圏はキナ臭さを強めていく。ティターンズは政治色を強め、同様に連邦軍は全体主義的傾向を見せ始めた。言わば戦国時代にも等しい世界情勢で、このままでは再び戦闘状態へ突入する事は火を見るより明らかだった[3]。
タイラント・ソードのロールアウト
各勢力の間で、アナハイムはあくまで表舞台に立つ事なく、影からの支配を維持するためのブラフ(はったり)として、”超兵器ソード”の実用化を急ぐ事になった。U.C.0086の半ば、プロトタイプのタイラント・ソードがロールアウトされた時期は正に戦乱の真っ只中だった。だがタイラントのポテンシャルは、開発者の意図を越えて、あまりにも強大で危険な存在になろうとしていた[3]。
タイラント・ソード開発の副産物
一つの新兵器の開発は、それが革新的であればあるほど、そこで培われた技術が様々な技術を生み出す。タイラント・ソードも同様であり、ソード・システムに使用された技術があらゆる新世代MSに利用され、「ZETA」、「エプシィG」、「ディジェ・ソード」等の代表的なスピンオフ機動兵器に結晶した。さらにある細かな技術の一つは全地球圏のほとんどのMS群に影響を与えていた[3]。
SE計画の予定されていた最終段階
「SE計画」の最終段階における予定されていた構想では、タイラント・ソード一機、強力な火器を用いて前衛を務めるパシケファロ・ソード三機、後方支援用アパト・ソード二機、情報収集用に索敵能力が高められたイクチオン・ソード一機、タイラントをガードするスレイヴ・ソード二機を随伴するはずだった。これら無人の補助兵器4種8機により、一つのユニットを形成するのである。このシステムが完成していれば、ソードは地球軍の全MSに匹敵する戦力となると想定される。しかし、これがネオ・ファリアとソードが消滅した理由その物だった[4]。
SE計画の終焉
既に充分な力を手に入れていたアナハイムにとって、強すぎるカードはブラフの意味を持たない。タイラント・ソードは”強すぎるカード”だったのだ。戦争の終結を前にして、タイラントは消える運命だった[3]。
- ^ a b 月刊ホビージャパン1987-10, p. 59.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 月刊ホビージャパン1987-11, p. 57.
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- ^ a b c 月刊ホビージャパン1987-12, p. 61.
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- ^ 月刊ホビージャパン1987-12, p. 52、62.
- ^ a b c d 月刊ホビージャパン1987-12, p. 35.
- ^ a b c d 月刊ホビージャパン1988-02, p. 16.
- ^ a b c 月刊ホビージャパン1988-02, p. 25.
- ^ a b c 月刊ホビージャパン1988-02, p. 21.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 月刊ホビージャパン1987-12, p. 59.
- ^ 月刊ホビージャパン1988-02, p. 17.
- ^ 月刊ホビージャパン1988-02, p. 22.
- ^ MS(モビルスーツ)大全集―「機動戦士ガンダム」から「逆襲のシャア」まで, p. 67.
- ^ a b c d 月刊ホビージャパン2006-09, p. 53.
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