PC-6000シリーズ PC-6001mkII

PC-6000シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 01:01 UTC 版)

PC-6001mkII

PC-6001mkII外観

1983年7月1日に発売された、PC-6001の上位互換の後継機。メーカー希望小売価格は8万4800円。

この時代の8ビットのミドルレンジ機は何れも十数万という高価格帯にあり、折からのパソコンブームに乗ってかなりのヒット機種となった。

PC-6001に対し、キーボードが通常タイプのものに変更され、デザインも一転して硬質になった。本体のカラーは、メタリックシルバーとアイボリーホワイトの2種類、幅365mm高さ87mm奥行260mm、重量は3.3Kg[8]

グラフィック機能も大幅に強化され、RGBディスプレイの接続により鮮明な表示が可能となった。専用ディスプレイ使用時は最大15色、PC-8000シリーズ用やPC-8800シリーズ用などの一般的なものでは最大8色。RGBディスプレイの接続はより高い精度の表示が可能になった反面、色信号のずれを利用した着色を行っていたソフトウェアは白黒表示となってしまい、“色が出ない”という問い合わせがユーザーから寄せられることになった。ページ切り替えのシステムも継承され、最大4画面、うち1画面はテキスト専用。テキスト画面とグラフィック画面の共存ができない難点もそのまま継承された。

また、通常の英数字・カタカナ・ひらがなのキャラクタセットとは別に、絵文字のキャラクタセットが追加された。さらに、32KBの漢字ROM搭載により、当時の教育漢字996文字+教育漢字に含まれない都道府県名19文字+その他9文字(札、幌、盛、仙、甲、津、那、覇、啓)の1024種の漢字をグラフィックで表示できた。漢字表示には、N60m-BASICでサポートされるKANJI命令を使用[9]。ただし漢字はグラフィック画面にしか描画できず、非漢字文字はテキスト用のシステムフォントしか用意されていないため、かな漢字混じり文は文字の大きさが一律にならなくなる難もある。

特徴的な機能としてオプションだったμPD7752による音声合成が標準装備となり、BASICからTALKコマンド[10]で日本語を発声させることが可能となった。

PC-6001のさまざまなハードウェア構成(拡張BASICの有無、拡張RAMの有無)と互換性を持たせるため、起動時にBASICのモード(1〜5)を選択する以下のようなメニューが表示された。

  1. N60-BASIC (RAM 16K)
  2. N60-BASIC (RAM 32K)
  3. N60拡張BASIC (RAM 16K)
  4. N60拡張BASIC (RAM 32K)
  5. N60m-BASIC (RAM 64K)

ページ数の指定と、最大(切替可能画面)枚数 (How many files?) はソフトウェア側からは指定できず、リセット、起動時に毎回2度の入力を要する面倒な仕様となってしまった。

実用用途のメインストリームはすでに同社のPC-8801mkII等に移ってしまっていたため、市場には主にホビー用途として迎えられた。

160×200ドット15色という画面モードは、解像度の低さの反面、画素数の少なさから必要な処理が軽減され、動きのあるソフトウェアが作られた。なおRGBで15色を出力させるために通常のデジタルRGB出力と一部仕様が異なっており、コネクター8P-DINの1番が+12Vからクロック信号に、3番のクロック信号が色相制御信号に変更されている。専用カラーディスプレイのPC-60m43がこの信号に対応した。

一方、グラフィック画面で特に文字表示する場合において最低限の精度である320x200ドットのモードでは4色表示となりこの中精度画面モードでの色不足は表現上大きな難点であった。4色は8種類のカラーセットから選ぶ方式で自由に設定することはできない。

グラフィックチップが汎用のMC6847英語版からカスタムICに変更されたため、PC-6001用のソフトの中でN60-BASICでサポートしていない画面モードを使用しているのソフトは正常に動作しなくなっている(アスキーのAXシリーズなど)。その他にSCREEN1のカラーセットが変更されていることによる発色の差異も存在する。

テレビや雑誌の広告、パンフレットなどで、タレントの武田鉄矢をイメージキャラクターとして起用した。

仕様

  • CPU μPD780C-1 4MHz(3.9936MHz[11])
  • RAM 64キロバイト
  • テキスト表示 40桁×20行
  • グラフィック表示 320×200ドット 4色 または 160×200ドット 15色 最大3面
  • サウンド PSG AY-3-8910[12] / μPD7752[12]
  • BASIC N60m-BASIC (RAM64キロバイト),N60-BASIC(RAM 16キロバイト/32キロバイト),N60-拡張BASIC (RAM 16キロバイト/32キロバイト)
N60m-BASICは本機にしか搭載されていない。
別売のPC-60m31を接続することでPC-6601とほぼ同一のスペックとなる。違いは以下の通り。
  • 音声合成機能の音階は未サポート
  • PC-6601固有のI/Oポート経由でアクセスするFDソフトは動作不可(コロニーオデッセイなど)

  1. ^ アスキー書籍編集部『みんながコレで燃えた! NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001 永久保存版』アスキー、2005年、17頁。 
  2. ^ a b 「チップチューンのすべて All About Chiptune: ゲーム機から生まれた新しい音楽」 - ISBN 4-416-61621-X、ISBN-13:978-4-416-61621-5。
  3. ^ a b 日本電気社史編纂室『日本電気株式会社百年史』日本電気、2001年、655頁。 
  4. ^ 佐々木潤 2013, p. 9.
  5. ^ “日電、新日電低価格パソコン強化、7月1日から発売―漢字ROMなど装着。”. 日経産業新聞: p. 6. (1983年6月29日) 
  6. ^ a b c ASCII 1982年8月号, p. 64.
  7. ^ a b ASCII 1983年2月号, p. 27.
  8. ^ ASCII 1983年10月号, p. 160.
  9. ^ ASCII 1983年10月号, p. 154.
  10. ^ http://000.la.coocan.jp/p6/talk.html にて、μPD7752とTALKコマンドの説明がされている。
  11. ^ ASCII 1983年10月号, p. 156.
  12. ^ a b ASCII 1983年10月号, p. 157.





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