NFLドラフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 02:01 UTC 版)
補償ドラフト (Compensatory Draft)
フリーエージェントで選手を失った球団に対し、Compensatoryドラフト(補償ドラフト)の指名権が与えられる。指名権は失った選手の平均年俸やプレー時間などから自動的に計算されて3ラウンド目の後から7ラウンド目の後まで合計で32回の指名が行われる。この計算式は公開されていない。1チームは最大で4つまでの指名権が与えられる。この補償ドラフト権利もまた、トレードの対象となる。補償ドラフト数が32に満たない場合は、足りないだけの指名数を7ラウンド指名の後に8ラウンド目があった場合と同様の指名順で行う。
その他のドラフト順追加及びはく奪
"ルーニー・ルール" - マイノリティ雇用による恩恵
2021年ドラフトより、人種間の平等を推進する通称"ルーニー・ルール"の拡張として、コーチ及びフロントのマイノリティのスタッフが、他チームのGMあるいはHCになった場合、元のチームは2年にわたり、3ラウンド目の補償ドラフトの後に使用できる指名権を一つずつ与えられる。2人のスタッフが同様に他チームのGMあるいはHCになった場合は、3年にわたり指名権を一つずつ与えられる。この指名権もまたトレード対象となる。
2021年ドラフトにおいて、スタッフだったブラッド・ホルムズがデトロイト・ライオンズのGMに就任したロサンゼルス・ラムズは2年にわたり指名権を与えられ[5]、スタッフだったロバート・サレーがニューヨーク・ジェッツのHCに就任し、同様にマーティン・メイヒューがワシントン・フットボールチームのGMに就任したサンフランシスコ・49ersは3年にわたり指名権を与えられることになった[6][7]。その他ボルティモア・レイヴンズ、ニューオーリンズ・セインツ(ただし2021年はデンバー・ブロンコスにトレードされた)も2年にわたる指名権を得た。
規則違反によるはく奪
コミッショナーは、種々の規則違反に対してドラフトの権利を一部取り上げることができる。2021年ドラフトに際しては、ニューイングランド・ペイトリオッツが3ラウンド目を[8]、ミネソタ・バイキングスが7ラウンド目を失った[9]。
補足ドラフト (Supplemental Draft)
1977年から始まった制度である。4月時点で何らかの事情でNFLドラフトにエントリーしていなかった選手が対象のドラフトであり、必要に応じて行われる。レギュラーシーズンで6勝以下だったチーム、それよりは成績が良かったがプレーオフに出られなかったチーム、プレーオフに出たチームの3グループに分かれて行われる。各チームは、翌年のドラフト権を賭けて選手を指名することができ、1人の選手に対し最も上位のドラフト権を賭けたチームが権利を獲得するが、賭けた翌年の同巡指名権を失う。権利を得られなかったチームは翌年の指名権に影響がない。
1985年にはバーニー・コーザーが希望するチームであるクリーブランド・ブラウンズに入団するためにレギュラードラフトにはエントリーせずにこの制度を利用した。コーザーの獲得にはニューヨーク・ジャイアンツ、ミネソタ・バイキングスが興味を示していた。
1987年にはシアトル・シーホークスが1巡でブライアン・ボズワースを指名、当時の新人最高額の契約を結んだが期待はずれに終わった。またフィラデルフィア・イーグルスが4巡でクリス・カーターを指名している[10]。
1989年にはダラス・カウボーイズがその年就任したジミー・ジョンソンの教え子であるスティーブ・ウォルシュを指名した。またフェニックス・カージナルスが1巡でティム・ローゼンバック、デンバー・ブロンコスが1巡でボビー・ハンフリーを指名、ハンフリーはその年1,000ヤードラッシャーとなり、チームは第24回スーパーボウルへ出場した[10]。
1990年にはニューヨーク・ジェッツがロブ・ムーアを1巡目で指名した。
1992年にはニューヨーク・ジャイアンツがデイブ・ブラウンを1巡目で指名した。またカンザスシティ・チーフスがダレン・ミッケルを2巡目で指名した。
1998年にはグリーンベイ・パッカーズがマイク・ウォールを2巡目でサンディエゴ・チャージャーズがジャマル・ウィリアムズを2巡目で指名した。
2006年にはシンシナティ・ベンガルズがアーマド・ブルックスを3巡目で指名した。
2009年にはワシントン・レッドスキンズがジェレミー・ジャーモンを3巡目で指名した[11]。
2011年にはNCAA規定違反によりオハイオ州立大学でのプレーが不可能となったテレル・プライアーが3巡目でオークランド・レイダースに指名された[12]。
2012年にはクリーブランド・ブラウンズが2巡でベイラー大学などでプレーしたジョシュ・ゴードンを指名した[13]。
2013年-2014年、2016年-2017年、2020年-2023年には指名される選手はいなかった。
注釈
- ^ 当初はラスベガスのシーザーズ・パレスで開催予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行により、NFLではすべてのライブ活動を中止したため、NFLドラフトは各指名候補選手が自宅からのビデオ会議で参加することになった。
出典
- ^ “NFLドラフトは予定通り開催、一般向けイベントは中止”. AFP (2020年3月17日). 2020年4月18日閲覧。
- ^ “ビッグベン、「2004年ドラフトQB組が史上最高になる」”. NFL JAPAN (2011年11月2日). 2012年11月4日閲覧。
- ^ “NFLドラフトで チームが 優秀選手に注目”. NFL JAPAN (2000年3月30日). 2012年7月19日閲覧。
- ^ NFLドラフトにおいて球団が保有していた全指名権をトレードで譲渡したのはこの1例だけである。
- ^ “Rams just earned two extra draft picks thanks to a new NFL rule and the Saints could be next”. CBS Sports. 2021年1月15日閲覧。
- ^ “Where 49ers' draft picks stand after Jets hire Saleh”. NBC Sports. 2021年1月17日閲覧。
- ^ “Report: Martin Mayhew will be Washington GM”. Niners Wire. 2021年1月24日閲覧。
- ^ Reiss, Mike (2020年6月28日). “New England Patriots fined $1.1 million, lose draft pick in film crew fallout”. ESPN. 2020年12月29日閲覧。
- ^ Craig, Mark (2021年3月19日). “Vikings lose seventh-round draft pick for salary-cap violation”. 2021年3月19日閲覧。
- ^ a b “印象に残る補足ドラフト指名トップ5”. NFL JAPAN (2012年7月4日). 2012年7月14日閲覧。
- ^ “補足ドラフトは1人、「第2のチャンス」を得たDEジャーモン”. NFL JAPAN (2009年7月17日). 2011年8月28日閲覧。
- ^ “補足ドラフト、注目QBプライアーはレイダース指名”. NFL JAPAN (2011年8月23日). 2011年8月28日閲覧。
- ^ “ブラウンズ、補足ドラフトで注目WRゴードンを指名”. NFL JAPAN (2012年7月13日). 2012年7月13日閲覧。
- 1 NFLドラフトとは
- 2 NFLドラフトの概要
- 3 補償ドラフト (Compensatory Draft)
- 4 エクスパンジョン・ドラフト (Expansion Draft)
- 5 脚注
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