CD-DA CD-DAの概要

CD-DA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/28 18:01 UTC 版)

Compact Disc Digital Audio
CD-DA
メディアの種類 光ディスク
記録容量 74分(783MB相当)※規格上の容量
79分57秒(835MB相当)※最大限の容量
コーデック リニアPCM 16bit 44.1kHz
2.0chステレオ
読み込み速度 1.2 Mbps
(150 kiB/s、1倍速)
回転速度 200 - 530 rpm
読み取り方法 780 nm赤外線レーザー
策定 ソニーフィリップス
主な用途 音声
ディスクの直径 12 cm
大きさ 120×120×1.2 mm
関連規格 コンパクトディスク
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従来のアナログオーディオと比較して、CD-DAはほとんどメンテナンスフリーかつディスクをプレーヤーに配置するだけで再生でき、ワウフラッターノイズが無く、人間の可聴帯域(大体20Hz~20000Hzの帯域)の音声の記録と再生に対応したオーディオ規格となっている。ディスクの大きさが最大12cmで、プレーヤーに複雑な機構を設ける必要もないため、プレーヤーの小型化も容易になっている。このような利便性の高さから急速に普及し、アナログレコードに代わって世界標準の音楽供給媒体になり、後のデジタルオーディオシステムにも影響を与えた。

CD-DA規格制定当時はディスクに記録されたデジタルデータをコピー(リッピング)する手段がなかった。しかし1990年代後半のWindowsパソコン普及後にバックアップツールが登場したうえ、CD-DAにはSCMSフラグ以外の著作権保護機能が存在しないことから、コピーを無制限に行えることが問題視された[3]。この対策としてコピーコントロールCD(CCCD)と呼ばれるコピーガードを搭載したディスクなどが登場するが、エラーが多発[注釈 1]して音質が低下したり、一部のプレーヤーでは再生自体ができないか故障の原因になるなどの弊害がある。またコピーガードを搭載したことで、CD-DAの仕様から逸脱したディスクにはCD-DAのロゴマークを付与することができない。このような問題からCCCDは登場から2年半で市場から撤退し始めた[4]

一方で音質向上の観点から、CD-DAの仕様範囲内の「高音質CD」と呼ばれる製品が登場したり、ハイレゾなどの音質向上技術が採用された音楽CDも開発されている。高音質化処理が施されていない旧来のCDであっても、高タップ数有限インパルス応答フィルタ適用や倍音復元などの高度な計算処理を伴うアップサンプリングを行うことで再生時のDACにおける情報欠損を最小化し、本物のハイレゾ音源には及ばないものの生々しい再生音を得ることが可能となった。

こうしてCD-DAは登場以来、音声コンテンツを供給する規格として利用され続けている。しかし生産量は12 cmのCDアルバムに関しては、1998年の3億291万3千枚をピーク[5]に減少している。そしてインターネットを介して利用する音楽配信サービス[注釈 2]が普及するに伴い、CDの市場は縮小し続けている[7]


注釈

  1. ^ コピー防止のためにエラー訂正機能をわざと酷使させてCDプレーヤーに多大な負荷を掛ける
  2. ^ ダウンロード販売は2003年開始のiTunes Music Store、ストリーミング配信は2008年開始のSpotify[6]
  3. ^ 隠しコード化とは、LSB(Least-Significant Bit,最下位ビット)側に音が聴き取れない程度の微小振幅のビット列を入れ込むということ。つまり隠しコードをデコードせずに通常のCD-DAとして再生する場合には下位数ビットが無意味なデータで破壊された状態(ノイズ)になる。音声データの一部を壊してまで隠しコード化を行う理由は、CD-DAの規格上、元々の音声データ領域の他に追加データを入れられる領域が無いためである。
  4. ^ 古い時代のレコーディングでマスターテープがアナログしか残されていない場合は、可能な限りデジタル処理に寄せたとしてもADDの工程を採用するしかない。またアナログマスターテープの音をそのままCDに記録するような企画の場合はAADの工程を採用する。DDDによる音圧が高くワウフラッターのない安定した音が普及しきった時代には、高度な処理を施せるADDの採用が一般的であるが、逆にAADのマスターテープそのままの音が見直される場面も出てきている。
  5. ^ 例えばPCエンジンメガドライブでCD-ROMを使用するための周辺機器であるCD-ROM2メガCDが発売された際は、それまでのゲーム機よりも音質の高い音楽や効果音、人間の肉声などをゲーム内で多く用いることができる点が特長の1つとして大きく取り上げられた。
  6. ^ 一例として、PC-98版『信長の野望・天翔記』ではBGMとして内蔵音源とCD-DA音源の2種類が選べるが、CD-DA音源は内蔵音源よりも曲数が少なくなっている。

出典

  1. ^ Sony Global -Sony History- - ウェイバックマシン(2002年10月30日アーカイブ分)
  2. ^ "CD". ASCII.jpデジタル用語辞典. コトバンクより2023年5月4日閲覧
  3. ^ seminar1103-1.html”. www.iajapan.org. 2023年4月26日閲覧。
  4. ^ コピーコントロールCDを徹底的に総括する ファンとアーティストを傷つけ、法制度面でも問題山積”. asahi.com. ネット最前線>ASAHIパソコンNEWS. 朝日新聞 (2004年11月30日). 2023年5月4日閲覧。
  5. ^ 音楽ソフト 種類別生産数量推移”. 一般社団法人 日本レコード協会. 2023年8月25日閲覧。
  6. ^ インターネットことはじめ 第6回 音楽配信への道~CDからストリーミングへ~”. ニュースレターNo.71. 日本ネットワークインフォメーションセンター (2019年3月). 2023年5月4日閲覧。
  7. ^ 竹内 謙礼. “CDが売れないサブスク時代に「CDレコ」がバカ売れしている「意外な理由」”. マネー現代. 2023年4月26日閲覧。
  8. ^ CD Products”. フィリップス. 2020年8月8日閲覧。
  9. ^ ソニーグループポータル | Sony History 第8章 「レコードに代わるものはこれだ」”. www.sony.com. 2023年11月6日閲覧。
  10. ^ 一般社団法人 日本オーディオ協会 | PCMのビットとダイナミックレンジ”. www.jas-audio.or.jp. 2023年11月6日閲覧。
  11. ^ マイクダイナミックレンジは24bitのビット深度で完全にカバー可能である。
  12. ^ Pacuła, Wojciech (2020年7月1日). “SPARS Code” (英語). Positive Feedback. 2023年4月26日閲覧。
  13. ^ ボベスコ、リヒター、渡邉暁雄のTOKYO FMライヴ録音をAADによりCD化! - TOWER RECORDS ONLINE”. tower.jp. 2023年4月27日閲覧。
  14. ^ 「K2」沿革”. 株式会社JVCケンウッド. 2023年11月8日閲覧。
  15. ^ K2 TECHNOLOGY”. www.jvcmusic.co.jp. 2023年11月8日閲覧。
  16. ^ a b MQAおすすめ情報”. MERIDIAN AUDIO メリディアン・オーディオ. 2022年1月10日閲覧。
  17. ^ Home”. MQA Japan. 2022年1月10日閲覧。


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