C-41現像 C-41現像の概要

C-41現像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/14 17:22 UTC 版)

C-41現像処理済のネガフィルムは、染料でつくられた画像からなる。長期間でみると、染料の不安定な性質から、経年による退色や色移りが起きる。初期のフィルムにとっては重要な問題で、比較的新しいフィルムも、アーカイヴされるべきかそうでないかは、いずれ必ず議論になるとされる。

フィルム階層

C-41フィルムは、アセテートあるいはポリエステルをベースにできており、その上には感光乳剤がコーティングされている。それぞれの階層は、可視光線の一定の色彩に対してのみ、感度があるものである。古典的な説明で言えば、3種類の感光乳剤がある、1つは赤色感度のもの、もう1つは、緑色感度のもの、そして最後に青色感度のものである。もっとも上部の階層は青色感度である。青色層の下には黄色いフィルターがかかっており、染料あるいはコロイド状の銀が構成している。銀ベースの写真乳剤は、すべて、それがどの色に感度があるものであろうと、青色の光に対するなんらかの感度をもっている。このフィルターは、青色の光を取り除く働きをもっており、その下にある階層の感光を防いでいる。青色感度の階層と黄色いフィルターの下には、緑色と赤色の階層がある。

この説明例は、だいたいのアウトラインは示すものの、実際のフィルムの設計とは、階層の数の点が違っている。ほとんどすべてのC-41フィルムは、それぞれの色彩に対して感度をもつ、多数の階層からできている。これらの階層のひとつひとつが、異なる速度とコントラストの性質をもっており、もっと広いレンジでのさまざまな光線の状態をカヴァーして正しく感光することを可能にしている。

多数の感光乳剤の階層に加えて、実際のリアルなフィルムには、光を感じないほかの階層もある。なかには、紫外線をカットする階層や傷から守る保護膜を最上層にコーティングしているものもある。異なる乳剤、あるいは付加的なフィルターの階層にも余地を残しているようだ。

C-41は、通常の黒白フィルムに対しては、行なうことはできない。

それぞれの乳剤階層は、感光成分に加えて、染料結合英語版という薬品が含まれている。青色・緑色・赤色の階層にあるこの結合剤は、それぞれ、イエロー・マゼンタ・シアンの染料を生み出し、そのときに、現像が成立し、色彩の像が結ばれる。

現像

C-41現像は、製造会社の異なる現像薬剤が微妙に異なるとはいえ、すべてのC-41フィルムに共通なものである。

露光後、フィルムはカラー現像液のなかで現像される。現像液の重要な成分は、CD-4として知られるパラフェニレンジアミンベースの薬品である。現像液は、感光乳剤層にを発現させる。銀が発現していくにつれ、酸化した現像液は染料結合英語版に反応して、結果として染料による色彩をもたらす。

温度の調節を行い、現像液のなかでフィルムを撹拌することが重要で、これがどのように行われたかが決め手になって、正確に結果として出てくるものである。温度を間違うと、深刻な色移りを起こしたり、現像が足りなかったり過剰だったりといった結果となる。

次に、現像液が生成した銀を、漂白剤が剥がす。その次には、定着剤が、露光せず現像されなかったハロゲン化銀を剥がす。洗浄し、最後に安定剤とすすぎで、現像処理の過程は完結する。

現像処理の過程を単純化することもできる。結合エチレンジアミン四酢酸を使用して、現像液が生成した銀を溶解し、現像されなかったハロゲン化銀を剥がす方法である。この方法は、商業的なC-41現像の業者は行っておらず、家庭あるいは野外で行われている。

増感現像

黒白フィルムの現像と同様に、C-41現像は、増感現像英語版に使用できる。フィルムの複雑さと現像の厳格な性質から、さまざまな現像結果がもたらされる。黒白フィルムのネガと同様に、現像は一般に、コントラストがハイぎみになったり、ときに粒子がハイぎみになったネガをもたらす。




  1. ^ a b c デジタル大辞泉『C-41現像』 - コトバンク、2011年11月30日閲覧。
  2. ^ a b c Manual Z-131, コダック、p."3-1".
  3. ^ a b c d 『ナニワカラーキットN 使用説明書』、エヌ・エヌ・シー、p.2-3.


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