64式7.62mm小銃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 05:28 UTC 版)
特徴
基本構造
銃身と銃床が一直線上にある直銃床デザインを取り入れ、ガス圧利用(ショートストロークピストン式)、ボルト後端をレシーバー下部の窪みにはめ込むことでボルトを閉鎖するティルトボルト式、直動式撃鉄による撃発機構を採用している。国産小銃として日本人の体型に合わせた設計を考慮[注 8]したものの、当時の自衛隊は防御戦闘が主眼であり、多少の重量増加よりも射撃時の命中精度、弾幕散布界の小径化を考慮した小銃となった。これはソ連軍機械化部隊の侵攻を遅滞するため、多数の敵に損害を与えられ、対物射撃にも威力を発揮する7.62mm弾の連射に対応するよう設計されたことによる。また、防御戦闘重視の自衛隊の用兵思想に準拠して、携帯性の高い軽機関銃としての要素も有している。回転速度を下げて連射時の銃口の跳ね上がりを抑えるため、コイルばねと棒状の撃鉄を納めた撃鉄筒が床尾内に入り込む設計となっており、他国の小銃や89式5.56mm小銃の様な折曲銃床(折畳銃床)型を製作することは不可能になっている。
銃口部の消炎制退器(フラッシュサプレッサー)は、発砲炎を水平方向に拡散することで射撃位置の秘匿に効果がある[59]ほか、反動の30%を軽減する[60]。試作の際、ガス抜き穴を上下左右にまったく対称に設けたところ、ガス作用が釣り合って中心に芯ができ、銃口が安定することで命中率が非常に良いことが判明している[61]。現行の様に三つ穴が左右に設けられるに留まったのは、下方向にガスが抜けると地面の砂を舞い上げてしまい、射撃に影響を及ぼすためと、射撃位置を暴露してしまうためである[62]。なお、下方向にガスの反作用が生じることとなったが、支障となるほどではないという[62]。一方で、制退器の締め付け具合は命中に影響を与え、特に分解組付を行った際に狂いが生じたとされる[58]。
銃身内部にはクロムメッキを施して耐久力と防錆能力の向上に努め、銃身後端の薬室肉厚も九九式短小銃よりも0.7mm厚い12.1mmとする[63]ことで、銃身寿命は軽機関銃並みの発射数37,000発以上[1]、尾筒寿命は発射数24,000発[64]となっている。また、クロムメッキを施したことで摩耗衰損を防ぎ、弾道維持も図られている[60]。銃としても非常に堅牢でもあるため、2000年代中盤頃より制式化直後に導入された後継の89式が耐用限界を迎えて用途廃止となり始めた時点においても、多くの64式が現役で使用されている[65]。
ストレート形状の二脚(バイポッド)を有するが[66]、89式のように取り外しての射撃を考慮したものではない[注 9]。左右対称デザインの銃床は木製[67]で、木材部分は調達が容易で加工しやすい東南アジア産の赤ラワン材を用いており、赤みを帯びた木製部品が目立つ外観となった。1966年から1967年にかけてストックやグリップをプラスチック化する試作が行われた[68]。耐久力や強度に問題はなかったものの、木製に比べて高価となったため、採用は見送られた[68]。床尾板は金属製で、ショルダーレストを有する[67]。また、付属品室の蓋がある[67]。
可倒式の照門・照星(サイト)を有する。照星は微調整不可能な固定式[66]だが、照門は上下左右に微調節可能なダイヤル式となっている[67]。右側面についたダイヤルで左右、照門下のダイヤルで上下に移動する。一方で、それぞれ完全に固定する機構がない。66式鉄帽を目深に被った状態での伏せ撃ちの際、鉄帽のひさし部分が照門に干渉したり、射撃中の反動で倒れることがある[1][注 10]。量産に入った初期の段階においても、連発時に照門が銃の振動(銃が発砲時に後退した際、慣性によって照門がその場に残ろうとする)によって倒れる事故が頻発していた[69]。これは図面の改正で一応の修復はできたものの[69]、完全な防止には至らなかった。
被筒(ハンドガード)は金属製の上下分割式を採用したが、89式のものとは異なり、専用工具を用いなければ外すことはできない[67]。下部被筒の前部は鋼板で補強されているが、本体はヤング率の低い軽合金を採用しており、一度変形すると元に戻り難い。取扱不良などにより変形している個体もあり、そのような個体では被筒が脱落する可能性が高くなっている[注 11]。本銃に限らず、装備品の管理に厳格な自衛隊では、演習などの訓練時に部品の脱落を警戒してビニールテープなどによる脱落防止処置が行われる。
軍用ライフルとしては部品点数が58個と比較的多く、整備のための通常分解(日常の手入れ分解[注 12][70])時にも床尾板の整備用具入れに入っているプラスドライバー、ピンポンチを必要とする。また、誤った状態でも組み付けが可能な部品(ピストン稈止)が存在するという[65]。
発射モードの切替え軸部にはア(安全)/タ(単発)/レ(連発)と記されており、「当たれ」と表現されることがある。
採用当時のジェーン年鑑の本銃の記事には、JANEによる64式の実弾射撃などが行われたかどうかは明記されていないが、Very good weaponとの記述[71]がある。また、豊和工業の英文資料によると、全米ライフル協会のジャック・ウェラーは、64式を評してThis is themost accurate rifle that I have seen everおよび、Type 64 rifle is the best service rifleと述べたとされている[72]。
内部機構
米国特許も取得した[73]独自の緩速機構による低発射速度を採用し、二脚を使用しての連射においては、同時期に米軍が使用していたM14と比較して優れた命中精度を発揮した。内部の撃鉄など直線運動が銃身軸延長線上、または平行線上で動くように配置されているため、回転偶力が起きず余分な振動を起こさない[60]。また、引き金を引いてから撃鉄が作動し、撃鉄に叩かれた撃針が弾の雷管を突き発射するまでの時間(ロックタイム)が他の軍用銃と比較して長い。これは連発射撃時の発射速度を意図的に落とすための機構でもある[注 13]。スライドを後座させるためのガス導入量を調整する「規整子」(レギュレーター)を操作することで、常装弾や小銃擲弾も発射可能。
試作型[注 14][74]や64式の初期型[注 15]においては、撃鉄筒が機関部と一体化されておらず、床尾内にねじ込まれる設計になっていたため、何らかの理由で床尾に大きな衝撃が加わると機関部と撃鉄筒がずれてしまい、撃鉄が引っ掛かって停止し、作動不良や後退不良、最悪の場合は暴発を起こす恐れもあった[注 16]。撃鉄筒の構造は銃番号79055以降はより強度の高い機関部一体式に改良されたが[注 17]、現在でも前述の訓練における禁忌事項は特に変更されていない。
潤滑油切れ、汚れの付着などにより遊底の後退速度が不安定になると、装弾不良、排莢不良を起こす場合がある。これは軽量化のため官II型(改)を官III型へと改良する際に尾筒部(レシーバー) 10mmを短縮した結果、一般的な小銃に比べ遊底の後退距離に余裕がなくなっている設計[注 18][75]に起因したものである。この後退距離に余裕がない設計は、量産初期において相当期間故障を招き、品質の点でも悩まされたとされる[75]。
安全装置
64式の安全装置は、他国の銃に類を見ない「引っ張って回す」構造となっている(似たような構造としてはラインメタルFG42自動小銃のセレクターがあげられる)。その構造ゆえに、比較対象となったM14や後継の89式5.56mm小銃などと比べると、迅速な安全装置の解除やその他の位置への切り替えが難しい。この構造は、行軍の際に木の枝などの他物に動かされることが絶対にないことを最大の目的として考案された旨が、当時の開発者が昭和56年に『全猟』誌に発表した雑誌論文に記載されている。
- ア/タ/レの表記及び安全装置の基本構造は、旧陸軍の岩下大佐により発案された物である。
- ア/タ/レの各位置には穴があり、レバーの突起がこの穴に入り込む。回すにはレバーを摘んで引っ張り、突起を穴から出さねばならない。
- この「両側から摘んで引っ張り、回す」動作は、自然界の不特定要素に起因して発生することはまずありえないものであり、「押して回す」三八式歩兵銃の安全装置と比べ操作は多少不便となるが、停止・固定がより確実で、射手が気付かないうちに(物に引っかかって動いたり、無意識に)動かされる事態が起こらない安全装置となっている[76][77]。
89式などと異なり切り替え軸が左側面に露出していないため、レバーがどの状態にあるかは右側面のみでしか確認できない。なお、切り替え軸はア(安全)からタ(単発)、レ(連発)の順に回転し、連発から安全へと180度回転することはできない[注 19]。
重量
開発当初は、「重量を上げることで、反動を弱める」という思想があった。質量は二脚を含め約4.3kg[56]。普通科隊員の扱う小銃としては重く不便とされることがある。実際に工法が削り出しを多用している点や、陣地における二脚の使用を前提とした軽機関銃的運用を考慮した設計、銃身肉厚の強化などで重量が増加している。しかし、上部被筒にはFRPを使用するなど、軽量化も図られている。その結果、同じ7.62mm NATO弾を使用するFAL、G3、M14など、同クラスの小銃と比較すると、64式の銃身長が短いことも関係するが若干軽量となっている。
銃身の肉厚や二脚によってバランスは前方に偏っているが、これによって発砲時の銃口の跳ね上がりは軽減される。
使用弾薬
使用する7.62mm NATO弾は、採用当時の日本人の体格を考慮し、常装薬弾に比べ薬量を削減した減装薬弾を使用している[78]。採用された弾薬は「M80普通弾」「M62曳光弾」「M82摸擬弾」「M63空包」などがあった[26]。結果的に連射速度が低下し、遊底の作動が緩やかになるため、命中精度の向上に寄与しているとされる。また、常装薬弾に比べ反動が軽減しているといわれている。64式専用の弾倉(マガジン)は複列(ダブルカラム)式で、最大20発装填できる[67]。また、残弾確認孔が左側面に存在する[67]。
一方で、国産弾は規格を定める際に64式の性格を熟知した担当官によって雷管の性能を64式に合わせて鈍感にしてあったため、ドイツ製NATO弾で射撃をしたところ、全弾が遊底閉鎖と同時に発火(自爆)してしまったという[79]。開発者の一人である津野瀬光男は、有事の際にアメリカ製NATO弾の補給を受ける場合は、危害防止の措置として雷管の性能チェックをしておく必要がある、と自身の著書で述べている[79]。
そのため、規整子(ガスレギュレーター)を切り替えることで通常薬量の7.62mm NATO弾を発射することも可能ではあるが[65]、弾薬のチェックが必要となるのでは結果的に補給面には不安が残った[注 20]。
-
64式用の弾倉(レプリカ)
同世代ライフルとの比較
64式小銃 | AK-47 | FAL | G3 | M14 | |
---|---|---|---|---|---|
画像 | |||||
口径 | 7.62 mm | ||||
銃身長 | 450 mm | 415 mm | 533 mm | 450 mm | 559 mm |
全長 | 990 mm | 870 mm | 1,090 mm | 1,025 mm | 1,181 mm |
重量 | 4,300 g | 3,900 g | 4,300 g | 4,100 g |
|
発射速度 | 450 – 500発/分 | 600発/分 | 650 – 700発/分 | 500 – 600発/分 | 700 – 750発/分 |
作動方式 | ガス圧作動[注 21] ティルトボルト式 |
ガス圧作動[注 22] ロータリーボルト式 |
ガス圧作動[注 21] ティルトボルト式 |
ディレードブローバック方式 ローラー遅延式 |
ガス圧作動[注 21] ロータリーボルト式 |
64式7.62mm狙撃銃
64式には64式用狙撃眼鏡[80](スナイパースコープ)が装着可能で、狙撃銃としても運用されていた(種別としてはマークスマン・ライフルに相当)。命中精度の高い個体を選別・使用してはいるわけではなく、各分隊内で射撃技術の高い者が「狙撃手」(他国における選抜射手に類似する)となり、生産ラインから射手に合った64式小銃を選抜しスコープを取り付けたものが支給された[65]。基本的に演習または射撃競技会に使用する場合以外には狙撃眼鏡は装着されず、常に狙撃銃仕様となっているわけではない。狙撃手は小銃班と共に活動するが、中・小隊長には必要に応じて各小銃班の狙撃手を集めて臨時的な「狙撃班」「狙撃隊」の編成も認められていた[81]。
自衛隊の狙撃銃に関しては創設時から供与されていたM1903A4狙撃銃[注 23][81]や、7.62mm小銃M1の狙撃銃仕様であるM1C/Dを使用していたが[81]、64式の採用によって狙撃銃に関しても64式で更新されることとなった[82]。1960年代後半にはM1903A4が、1970年代にはM1C/Dがそれぞれ更新された[82]。
狙撃手用の64式には「64式用狙撃眼鏡」「頬当て(チークパッド)」が装着される。64式用狙撃眼鏡はアメリカ軍が第二次世界大戦時に採用したM1C/D狙撃銃に装備されるM84スコープに似た日本光学(現:ニコン)製[83]のもので、視界は5.2度[83]、倍率はM84と同様2.2倍[83]の低倍率となっている。この照準眼鏡の上下転輪には0 – 800mまでの表示があり、射撃距離に合わせることにより各距離に対応するが、64式の命中精度と眼鏡の倍率の制限により、人型的に確実に命中させられる射程はおおむね500mまでとされる。また、この眼鏡の鏡内目盛(レティクル)は中心部が離れたT字型で線自体も細いため、薄暮時や黒い標的に対しては照準がし難いものとなっている。
照準眼鏡の取り付け部はネジ1個によって固定されるため些細な衝撃などで照準が狂いやすいほか、マウントと尾筒部(レシーバー)に隙間が存在し、マウント装着時には尾筒部との間に裁断布や空き缶の切れ端などを挟み、隙間を埋めるといった工夫がされている。銃の構造上、銃身の真上に照準眼鏡を装着できず眼鏡の位置が銃身左斜め上になるように装着しなければならないため[注 24]、通常の照門、照星は使用できなくなる[83]。また、このネジ穴は照準眼鏡以外にも交戦装置などの固定にも使用されており、中にはネジ穴1箇所で照準眼鏡と交戦装置の両方を装着する例もあった。
照準眼鏡が銃の中心線から外れるため、銃床部分に頬当て(チークパッド)が装着され、頬の当たる反対側(右側)で縛って固定していた[83]。
長らく陸上自衛隊にて選抜射手に準じた運用がされてきた狙撃手と64式であったが、市街戦における狙撃手の有効性が注目されるようになり、2002年度に評価・研究用として約60丁のレミントン・アームズ社製「M24」が調達され、後に「対人狙撃銃」として制式採用され配備が開始された[82]。合わせて狙撃専門の部隊を編成することも決まり、現在ではほとんどの普通科部隊に「狙撃班」が編成されている[83]。これにより普通科に関しては、狙撃銃としての64式は対人狙撃銃で更新されたが、それ以外の職種部隊では引き続き64式が狙撃銃として運用されていた[83]。
オプション
- 64式銃剣
- 41cm(刃渡り29cm[84])の銃剣。着剣状態ならAKM(876mm + 銃剣長)などより長くなり、堅牢な造りで適度な重量があることから、銃剣格闘にも対応できる。
- 銃剣の長さについては、開発当時に富士学校にて「新小銃(64式)は突撃銃であるから銃剣は無用」とする銃剣廃止論が挙げられ、必要論者と陸軍戸山学校の流れをくむ体操学校の長槍論者が加わっての三つ巴の論争となり、ついには決闘騒ぎに発展した経緯がある[84]。仲裁が入り、三者の平均をとることで決着がつく[84]。長剣の三十年式銃剣と短剣のM1騎銃用銃剣との中間値と決定し、7.62mm小銃M1用の銃剣長より3cm長い刃渡り29cmとなった[84]。
- 駐屯地によっては、正門の歩哨などが着剣した状態の小銃を保持している姿を見ることができる。平時は刃引きされた状態で、有事の際の戦闘準備で刃を研ぐことになる。刃引きされた状態でも刺突武器としては有効。
- 64式用照準眼鏡
- 狙撃銃として運用する際に用いられる。「#64式7.62mm狙撃銃」を参照
- 63式狙撃用暗視装置I型
- 1950年代より技術研究本部が研究を行い、1963年に制式化した赤外線暗視装置[83]。M1903A4と共に狙撃用として供与されていた「特殊照準装置」を基とし国産化したもので、日本電気株式会社(NEC)が量産を担当した[83]。試作時にはM1903A4やM1C/Dが使用されていたが、同じく試作されていた新小銃(64式)への装着を前提としての開発であった[83]。
- アクティブ式暗視装置で光投部と受像部を小銃に装着して使用するが、それぞれの重量が2kgと4kgの計6kg、更に9kgのバッテリーを背負う必要があった[83]。視認距離が100mで倍率は3倍固定、改良型のB型で100m以上の3.7倍固定で、偵察任務にも用いられた[83]。2012年現在ではすべて退役している[83]。
- 75式照準用微光暗視装置II型
- 63式狙撃用暗視装置I型の後継として開発され、微光暗視(スターライト・スコープ)方式を採用した暗視装置[83]。64式のほか、62式7.62mm機関銃や84mm無反動砲にも装着可能であるが、89式5.56mm小銃はマウント形状が異なるため装着できない[85]。
- 詳細は「75式照準用微光暗視装置II型 (B)」を参照
- M31対戦車小銃擲弾[86]
- アメリカ軍から供与されていた対戦車小銃擲弾(ライフルグレネード)で、64式の銃口に装着し擲弾薬筒で発射する[86]。
- 最大射程は185m[86]。装甲貫通力250mm、コンクリート500mm[86]。
- 詳細は「M31 HEAT ライフルグレネード」を参照
- 06式小銃てき弾
- 2006年に制式化された、64式及び89式に対応した小銃擲弾。
- 詳細は「06式小銃てき弾」を参照
- 空砲発射補助具
- 薬莢受け
- 訓練で薬莢を回収しやすくするために使用される。取り付けは上から金具部分を被せるように取り付けて被筒部のネジ穴に固定する、薬莢は袋に収納される。狙撃仕様時は金具の形状上ネジ穴による固定ができないなどの理由で主に上から被せる形状に改造した薬莢受けを使用し、撃った弾は収納されず銃の真下に落ちるよう工夫されている。
注釈
- ^ しかし、この実包は体格の良いアメリカ兵にとっても反動が強く、特にフルオート時はジャンプ力が大きく、集弾密度も拡散しやすかった。
- ^ 帝国陸軍において主に銃器の開発に携わり、小倉陸軍造兵廠第2製造所長・研究所長、同廠糸口山製作所長、第1陸軍技術研究所員を歴任
- ^ M1小銃と同じ.30弾薬M2を使用可能に改造したもので、32,500丁が教育用の代用火器として使用され、昭和30年代まで使用された。
- ^ 偏に戦時型と言っても、戦時中の省力化・未熟な作業者による製造や、形状の簡略化、材質寸法精度の低下など、あらゆる増産・生産性向上の改造が施されたことで、同じ部品であってもその形状は多岐にわたっていた。
- ^ 送られてきたパンフレットには、AR-10からAR-15までのアーマライト社の自動小銃、ドイツのH&K G3、ソビエト連邦のAK-47などがあった。
- ^ これらは陸上自衛隊武器学校に現在も研究用として保管されている。試作銃の原型は、アーマライトAR-10に範を取っている。
- ^ これはスポットライフルの開発の際にも行われた手段だったという。このときも12.7mm NATO弾が入手できず、富士演習場に来ていた沖縄のアメリカ軍から譲り受けている。
- ^ ただし、この内容に対しては否定的な意見(グリップから引き金の位置が遠い、グリップが細い)もある。並木書房『自衛隊 89式小銃 日本が誇る傑作小銃のすべて』53ページ「実戦を考えていない64式?」より
- ^ 取り外すには、脚の基部部分のリングを外し、ピンを引き抜くという分解作業が必要となる。
- ^ 後継の89式はサイトが銃本体と固定されているのに比べ、64式は射撃の際にはこれを引き起こすという操作手順が増える。64式を用いた戦闘訓練の際には、前進開始前に予め照星のみを起こしておき、遮蔽物の陰に入り、伏射・膝射の各射撃姿勢に移る際にその都度照門を起こして射撃、次の遮蔽物まで前進する際には照門のみを必ず倒してから前進するという訓練内容になっているが、伏せや遮蔽物に隠れる際に他物に当たることで照星が倒れるおそれがある。
- ^ 正規の整備が行われており、部品の損耗、劣化などがなければ簡単に脱落する部品はないが、消炎制退器止めねじ、ピストン桿止め用ばねピン等、他国の軍用銃では見られないような脱落しやすい構成部品もある。
- ^ このほか、部隊整備員が細部の手入れのために行う「特別分解」がある。
- ^ 撃鉄自体の質量が大きいことからくる撃発時の衝撃の大きさも加わり、低錬度の射手が単発射撃を行うと命中精度低下を引き起こしやすいとされる。
- ^ 非公式にはA型と呼ばれ、最初期に配備された64式も含まれる。逆鈎の形状が現在配備されているC型とは異なる形状をしており、M31対戦車小銃擲弾の射撃試験を行った際に、擲弾発射薬筒(空包)を薬室に装填し、擲弾を銃口に付けたと同時に暴発する事故を起こした。原因は逆鈎及び補助逆鈎の形状に起因するものと判明し、逆鈎形状に改良が施された。
- ^ 非公式にはB型とも呼ばれている。A型とB型は銃番号1-79054の銃が相当しており、自衛隊新隊員の教本である「新入隊員必携」にもこの仕様について記述されている。部隊運用の中で何度かの改良が施されたが、「新入隊員必携」にはA型からB型への改良点の詳細や該当銃番号などは特に言及されていない。
- ^ このため、64式においては、空挺降下の際や突撃時の伏せ姿勢移行時に床尾を地面に叩き付ける行為が禁忌とされた。
- ^ 非公式にはC型と呼ばれる。この変更点については「新入隊員必携」でも変更された銃番号を明記した上で言及されている。
- ^ スライドを後方いっぱいに引いた際、遊底の前端と弾倉内の実包後端までの隙間が6mmしかない。
- ^ 元自衛官で現在は自営業の傍ら小説家としても活躍している柳内たくみは、自身の著『ゲート 自衛隊彼の地にて斯く戦えり』にて、「切り替え軸を完全に「ア」の位置に合わせず「タ」に僅かに近づけた位置で止めておく」というテクニックを紹介している(『ゲート 自衛隊彼の地にて斯く戦えり 3.動乱編』p171∼p172 ISBN 978-4434152542)。
- ^ しかも、64式開発の最中、アメリカ軍ではベトナム戦争での戦訓を受けて5.56mm NATO弾を使用するM16が採用された。7.62mm弾そのものは使用され続けていたものの、5.56mm弾の共有が可能になるには後継機種である89式5.56mm小銃の開発・採用まで待たねばならなかった。
- ^ a b c ショートストロークピストン式
- ^ ロングストロークピストン式
- ^ 当時は他の小銃と区別するため、「狙撃銃」との名称が使われた。
- ^ 現在ではタスコジャパン(現:サイトロンジャパン)が銃身の真上にベース部分が来る64式向けマウントベースを取り扱っており、官公庁向けカタログに製品として掲載されている。
- ^ ただし、普通科連隊・特科連隊(隊)・戦車連(大)隊などの部隊にて新隊員前期教育を受ける者は89式を使用するため、64式に関しては教育終了間際の僅かな時間に基礎的な扱い要領程度を習得する程度である。
- ^ 保管されている64式は比較的射撃回数が少なく各部品の摩耗も少ない良品を補給処への返納後にパーカーライジング処理したものか、またはメーカーから納入された状態で一度も部隊で使用されず予備火器として保管されたものとされる。有事の際は臨時に編成された予備自衛官部隊へ納入すると予想される。
- ^ 部品の摩耗などによりガタがきており命中精度も低下しているが、基本的に常に射撃訓練を行う事を前提としていない為に海自や空自では一部を除き部隊内での個人指定はせず射撃訓練などでは共用している
- ^ スタンダードバージョン所有者向けに、木製握把と銃床のみの販売も行われていた。
- ^ 実銃は片方が荒くなっているが、ホビーフィックス社製では再現されていない。
出典
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- ^ 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p206-p207
- ^ a b 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p207
- ^ 伊藤眞吉「鉄砲の安全(その4)」『銃砲年鑑』10-11年版、117頁、2010年
- ^ 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p198
- ^ a b c d 月刊アームズ・マガジン 2006年12月号 p29
- ^ a b 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part2]」p44
- ^ a b c d e f g 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part2]」p45
- ^ a b 『月刊Gun』1992年5月号p61
- ^ a b 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p206
- ^ 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part1]」p74
- ^ a b 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p3
- ^ Our History (Howa Machinery Firearms Dept.) - 豊和工業
- ^ アメリカ合衆国特許第 3,236,154号 - Mechanism for reducing the rate of fire in automatic firing arms
- ^ 伊藤眞吉 「鉄砲の安全(その1)」『銃砲年鑑』05-06年版、267頁、2005年
- ^ a b 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p186
- ^ 伊藤眞吉 「鉄砲の安全(その2)」『銃砲年鑑』06-07年版、249-268頁、2006年
- ^ 上記は再掲載版。原出典は古今東西の銃器の安全機構全般に関する論文として、昭和55年〜56年に掛けて『全猟』誌にて発表。論文筆者の伊藤眞吉(いとう しんきち、1918年-2007年12月6日)氏は、戦中は陸軍技術本部銃器研究課に属し、九九式短小銃を開発した旧陸軍の銅金義一大佐に師事、戦後は防衛庁技術研究本部に属し64式を開発。その後は民間銃器メーカーで各種銃器の開発及び、旧JISの銃砲火薬関連規格の制定に携わった
- ^ 津野瀬光男著「小火器読本」P167
- ^ a b 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p188
- ^ 月刊アームズ・マガジン 2002年11月号 p40
- ^ a b c 『丸』2012年8月号p88
- ^ a b c 『丸』2012年8月号p89
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 『丸』2012年8月号p90
- ^ a b c d 「幻の自動小銃 六四式小銃のすべて」p204
- ^ 『丸』2012年8月号p91
- ^ a b c d 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part1]」p126
- ^ 装甲車両・火器及び弾薬の 開発・調達について
- ^ a b c 「こんなにスゴイ 最強の自衛隊」p56
- ^ 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part1]」p28
- ^ 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part2]」p59
- ^ 「ヒーローたちの名銃ベスト100」p154
固有名詞の分類
自動小銃 |
89式5.56mm小銃 ZH-29半自動小銃 64式7.62mm小銃 H&K HK33 AO-63 |
アサルトライフル |
FN FNC 89式5.56mm小銃 64式7.62mm小銃 H&K HK33 AO-63 |
陸上自衛隊の小火器 |
74式車載7.62mm機関銃 89式5.56mm小銃 64式7.62mm小銃 ミニミ軽機関銃 06式小銃てき弾 |
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