麦芽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/15 02:54 UTC 版)
麦芽の種類
- ベースモルト
- 低温で焙燥した麦芽のため糖化酵素が残り、糖化力が強く淡い色をしているのが特徴である。そのため、ビールに色をつける効果は薄い。
- 二条大麦をはじめとした大麦のほか、小麦やライ麦が使用される。
- キルンドモルト
- ベースモルトを高い温度で焙燥させ、様々な色と風味を出したもの。また、色の濃淡や風味は焙燥させる温度や時間で異なる。キルンとは焙燥炉 (kiln) のこと。糖化酵素はあまり強くなく、ベースモルトと併用する。
- カラメルモルト
- 高温での焙燥により糖がカラメル化した麦芽で、ビールに色・風味・コクをもたらす。糖化酵素が失活するまで焙燥しているため、糖化目的には使用できない。
麦芽を使った料理・食品・飲料・医薬品など
料理・食品
麦芽の酵素を利用するほかに、その独特の香りや色をつけたり、味わいを生み出したりする目的がある。
- パン
- 小麦やライ麦の芽を主に使用し、風味を加える。
- 水飴(麦芽水あめ)
- 穀物や芋類などに含まれるデンプンを、麦芽の酵素で糖化させ、煮詰めて粘液状にしたもの。麦芽と米を原料とするものは米飴と呼ばれる。
- モルトエキス(麦芽エキス)
- 麦芽を糖化し、減圧濃縮したもの。製パン、製菓材料として、製品の色、甘味と風味を良くする。
- モルトシロップ
- モルトエキスをシロップ状にしたもの。
飲料
麦芽の粉末に甘味料、コーヒー・ココアなどの香料、乳製品などを加えた飲料がある。著名な製品はネスレ・ミロ、ホーリック、オバルチンなどである。また日本では調整豆乳に麦芽・甘味料・コーヒーなどを加えてコーヒー牛乳風にしたものが複数のメーカーから販売されている。
ビールなどの酒、ビールテイスト飲料、ホッピーなども麦芽を原料にしているが、これらを取り立てて「麦芽飲料」と呼ぶことは普通ない。
医薬品など
- 炒麦芽
- 麦芽を炒ったもので、漢方薬として使われる。
- アミラーゼ(ジアスターゼ)
- 1833年にフランスの生化学者、アンセルム・ペイアン (Anselme Payen) とジャン・ペルソー (Jean F. Persoz) が大麦の芽から取り出したもの。
- ^ 桜井芳人他 編 『総合食料工業』恆星社厚生閣、1970年、484頁。 NCID BN03615007。
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