魔方陣 特殊な魔方陣

魔方陣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 00:20 UTC 版)

特殊な魔方陣

完全方陣

斜め方向の和が、対角線以外でも等しくなるような物を完全方陣または汎魔方陣と呼ぶ。

一辺nが4以上でかつ n≠4k+2 の時、完全方陣が作成可能である。

例:

この図において斜めの和を見ると、

  • 6+1+11+16 = 12+14+5+3 = 7+4+10+13 = 9+15+8+2 = 34
  • 9+14+8+3 = 7+1+10+16 = 12+15+5+2 = 6+4+11+13 = 34

が成り立っている。

その他、「四隅(上図では6+9+3+16)」の合計が34になる。

さらに、「任意の2×2の固まり」も、34になる(「カド」と「中央」の2×2の固まりの合計は、どんな4×4の魔方陣でも必ず34になる)[9])。

ペントミノT型)の5つの数字の合計が34になるものもある。

また、任意の「斜めの一つ置き」の和は、17になる[9]。上の図では

  • 6+11、12+5、15+2、1+16、7+10、9+8、14+3、4+13の8組

多重魔方陣

すべての数を2乗しても、縦・横の和が一定になる物を多重魔方陣multimagic square)と呼ぶ。

例:

図は8×8の魔方陣である。各列の数の合計は260になり、この各数を2乗すると、縦横の各列の和は11180になる。

親子方陣

n×n の魔方陣の中央部の (n-2)×(n-2) の部分も魔方陣として成り立っているものを親子方陣[10]または同心方陣という。

3方陣かつ5方陣
楊輝「楊輝算法」より
1 23 16 4 21
15 14 7 18 11
24 17 13 9 2
20 8 19 12 6
5 3 10 22 25

奇数・偶数分離魔方陣

中央の奇数エリアと、四隅の偶数エリアに分かれているもの[11]。 任意の奇数次において奇数・偶数分離魔方陣を作ることができる。

1を最上段の中央に置き、3以降の奇数を右斜め下方向へ配置していく。

偶数エリアは、すべて縦横それぞれの方向で等差になっている。

対称魔方陣

n次の魔方陣の中で、中心に対して対称の位置にある2つの数字の和が常に n2+1 となるものを対称魔方陣[12]と呼ぶ。

奇数次の場合「ヒンズーの連続方式」「バシェー方式」で作られたものは対称魔方陣となる。4の倍数次の対称魔方陣も既出の方法で作ることができる。4の倍数でない偶数次の対称魔方陣は作ることができない[13]

奇数次の対称魔方陣の中で、中央を通る4列の数字がそれぞれ等差数列をなしているものをシェフェルの魔方陣という[14]。1935年にシェフェルという人物が発表したのが名前の由来であるが、建部賢弘も同様の性質を持つ魔方陣を発表している。

ヘテロ陣のうちのアンチ陣

和がすべて異なるものをヘテロ陣、その和がすべて連続数になっているものをアンチ陣と呼ぶことがある[15]

縦・横・斜めの和が12から19の例(8がなく10を使用)。

正方形分割方陣

1991年に魔方陣作家の阿部楽方によって発表された魔方陣。21個の異なる大きさの正方形に分割された224次の魔方陣であり、分割された21個の正方形も魔方陣として成立している[16]

その他の魔方陣

以下は乗算した結果が等しくなる例

その1: 2のべき乗{1,2,4}と3のべき乗{1,3,9}を掛け合わせたものの例

縦・横・斜めの積がそれぞれ216である。(216=(1×2×4)×(1×3×9))

以下のように分解することで構成要素がより明確になる。

2のべき乗の要素

3のべき乗の要素

その2: 奇数{1,3,5,7}と2のべき乗{1,2,4,8}を掛け合わせたものの例

縦・横・斜めの積がそれぞれ6720である。(6720=(1×3×5×7)×(1×2×4×8))

同様に以下のように分解することで構成要素を明確にできる。

奇数の要素

2のべき乗の要素


注釈

  1. ^ 大森 2013では、関孝和幸田露伴らの作が紹介されている。
  2. ^ a b この2つは礒村吉徳の『頭書 算法闕疑抄』(復刻版p.68)にも載っている。「九九図」は楊輝の『楊輝算法』にも「九九幻方図」として載っている。

出典

  1. ^ 2010年1月 作れます 誰ももたない 魔方陣 ~7は2と5に分けるのがよく似合う~(数学科) - 富山大学 理学部・大学院理工学教育部理学領域 トピックス
  2. ^ a b c d 鈴木睦. “4次の魔方陣”. 東北大学. 2001年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月16日閲覧。
  3. ^ 4次魔方陣の性質 大同大学 情報学部 情報システム学科 大石研究室
  4. ^ “T2K-Tsukubaを用いて高校生が5×5魔法陣の解を求めることに成功 - 筑波大”. マイナビニュース (マイナビ). (2014年3月3日). https://news.mynavi.jp/techplus/article/20140303-a409/ 2017年1月16日閲覧。 
  5. ^ 鈴木睦. “5×5の魔方陣の総数を求めるプログラム”. 東北大学. 2001年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月16日閲覧。
  6. ^ 大森 2013, p. 51, コラム2『算法統宗』と『算法疑闕抄』の魔方陣
  7. ^ 魔方陣をつくる 芝浦工業大学 数理科学研究会 佐藤晶子 平成27年11月6日(参考文献 大森清美, 魔方陣の世界, 日本評論社, 2013年)
  8. ^ Alex Bellos (2011年4月3日). “Magic squares are given a whole new dimension” (英語). The Guardian (Guardian News and Media Limited). https://www.theguardian.com/science/2011/apr/03/magic-squares-geomagic-lee-sallows 2017年1月16日閲覧。 
  9. ^ a b 4x4 Magic Square
  10. ^ 佐藤, 山司 & 西田 2009, p. 202, §3.24 方陣
  11. ^ 大森 2013, pp. 27f
  12. ^ 大森 2013, p. 98
  13. ^ 大森 2013, p. 170
  14. ^ 大森 2013, p. 189
  15. ^ 高木ほか 2011, pp. 232f
  16. ^ [1]
  17. ^ a b c d e f g h リリアン・トゥー『図説 風水大全』東洋書林、1998年9月10日、84-85頁。 





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