高炉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 05:07 UTC 版)
高炉の耐火煉瓦の劣化状況の把握
耐火煉瓦の劣化状況を調べるためにかつては耐火煉瓦内にコバルト60を入れて製品への含有量から劣化状況を間接的に把握していた[3][4]。
炉底の耐火煉瓦の劣化状況など、稼働中の溶鉱炉の内部を外部から透視することは長年できなかったが、現在では分解能は低いものの、溶鉱炉内の様子をミュー粒子で透視するミュオグラフィの開発が産学連携で進められる[5][6]。
コバルト60を用いたことから現代の鉄鋼製品には極微量のコバルト60が環境に拡散された。無論、人体や生態系に影響を及ぼすものではないものの、微量放射能検出の際には障害となるため、太平洋戦争前に金属鉄となった鉄が環境放射能の遮蔽材として使われる。日本における代表例が戦艦陸奥の船体引き上げで得られた陸奥鉄である。
日本の高炉の詳細
会社 | 製鉄所 | 高炉番号 | 炉容積 (m³) |
最近の火入れ |
---|---|---|---|---|
日本製鉄 | 北日本(室蘭) | 第2高炉 | 3,014 | 2020年11月22日[7] |
東日本(君津) | 第2高炉 | 4,500 | 2012年5月28日 | |
東日本(君津) | 第3高炉 | 4,822 | (2016年3月12日休止) | |
東日本(君津) | 第4高炉 | 5,555 | 2003年5月8日 | |
東日本(鹿島) | 第1高炉 | 5,370 | 2004年9月29日 | |
東日本(鹿島) | 第3高炉 | 5,370 | 2007年5月22日(2024年度末休止予定)[8] | |
名古屋 | 第1高炉 | 5,443 | 2007年4月25日 | |
名古屋 | 第3高炉 | 4,425 | 2022年8月27日[9] | |
関西(和歌山) | 第5高炉 | 2,700 | 1988年2月22日(2019年1月18日休止)[10] | |
関西(和歌山) | 第1高炉 | 3,700 | 2009年7月17日(2020年4月25日休止)[8][11] | |
関西(和歌山) | 第2高炉 | 3,700 | 2019年2月15日[10] | |
瀬戸内(呉) | 第1高炉 | 2,650 | 1995年4月(2021年9月29日休止)[12][13] | |
瀬戸内(呉) | 第2高炉 | 2,080 | 2003年11月(2020年2月15日休止)[12][13] | |
九州(八幡) | 戸畑第4高炉 | 5,000 | 2014年4月20日 | |
九州(八幡) | 小倉第2高炉 | 2,150 | 2002年4月(3次) (2020年7月18日休止)[14] | |
九州(大分) | 第1高炉 | 5,775 | 2009年8月2日 | |
九州(大分) | 第2高炉 | 5,775 | 2004年5月15日 | |
神戸製鋼所 | 加古川 | 第1高炉 | 4,550 | (2007年5月20日休止) |
加古川 | 第2高炉 | 5,400 | 2007年5月29日(3次) | |
加古川 | 第3高炉 | 4,844 | 2016年12月23日(3次) | |
神戸 | 第3高炉 | 2,112 | 2007年12月16日(2017年10月31日休止)[15] | |
JFEスチール | 東日本(千葉) | 第6高炉 | 5,153 | 2023年1月13日(3次)[16] |
東日本(京浜) | 第1高炉 | 4,907 | (2004年3月23日休止) | |
東日本(京浜) | 第2高炉 | 5,000 | 2004年3月24日(2次) (2023年9月16日休止)[17] | |
西日本(倉敷) | 第1高炉 | 2,564 | (2002年1月23日休止) | |
西日本(倉敷) | 第2高炉 | 4,100 | 2003年11月13日(4次) | |
西日本(倉敷) | 第3高炉 | 5,055 | 2010年2月11日(4次) | |
西日本(倉敷) | 第4高炉 | 5,100 | 2021年12月13日(4次)[18] | |
西日本(福山) | 第2高炉 | 2,828 | (2011年5月12日休止) | |
西日本(福山) | 第3高炉 | 4,300 | 2011年5月14日(4次) | |
西日本(福山) | 第4高炉 | 5,000 | 2006年5月5日(4次) | |
西日本(福山) | 第5高炉 | 5,500 | 2005年3月31日(3次) |
脚注
- ^ 長谷川雅康「日本最初の洋式高炉に挑んだ薩摩藩と近代化への寄与」『金属』第86巻第4号、アグネ技術センター、2016年、11-18頁、ISSN 0368-6337、NAID 120006647627、2022年6月6日閲覧。
- ^ “溶鉱炉(ようこうろ)”. 尚古集成館. 2017年9月24日閲覧。
- ^ 富永在寛, 八塚健夫, 庄野四朗、「ラジオアイソトープによる高炉炉壁の侵蝕調査(I)」『鉄と鋼』 1960年 46巻 1号 p.7-11, doi:10.2355/tetsutohagane1955.46.1_7
- ^ 飯島弘, 山口哲夫、「製鉄用耐火物に対するラジオアイソトープの応用」『窯業協會誌』 1959年 67巻 764号 p.C259-C264, doi:10.2109/jcersj1950.67.764_C259
- ^ 高炉内測定の新たな可能性を拓く宇宙線ミュオン
- ^ ミュー粒子の工学応用による地中空洞化調査システムに関する調査研究報告書(要旨)
- ^ “北海製鉄 第2高炉の火入れについて”. 日本製鉄ニュースリリース. 日本製鉄 (2020年11月24日). 2020年11月24日閲覧。
- ^ a b “日本製鉄グループ中長期経営計画について”. 日本製鉄株式会社. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “日本製鉄、名古屋第3高炉火入れ”. 鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」. 2022年8月31日閲覧。
- ^ a b 新日鉄住金、和歌山の新第2高炉が稼働。第5高炉、世界最長寿で吹き止め - 鉄鋼新聞(2019年2月20日)
- ^ “高炉の再稼動(バンキング解除)について”. 日本製鉄ニュースリリース (2020年10月6日). 2021年10月4日閲覧。
- ^ a b “生産設備構造対策と経営ソフト刷新施策の実施について”. 日本製鉄株式会社. 2020年4月15日閲覧。
- ^ a b “日本製鉄・瀬戸内製鉄所呉地区/高炉の火消える/きょう59年の歴史に幕 | 日刊鉄鋼新聞 Japan Metal Daily”. 日本製鉄・瀬戸内製鉄所呉地区/高炉の火消える/きょう59年の歴史に幕 | 日刊鉄鋼新聞 Japan Metal Daily. 2021年10月4日閲覧。
- ^ “» 日本製鉄 九州製鉄所・八幡地区 小倉第2バンキング | 鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」”. 2020年10月21日閲覧。
- ^ “神鋼 神戸の高炉31日停止 製鉄の火燃やし59年”. 神戸新聞. (2017年10月31日) 2017年11月2日閲覧。
- ^ “JFEスチール株式会社”. JFEスチール株式会社. 2023年2月2日閲覧。
- ^ “JFE、川崎の第2高炉休止 鉄鋼需要減り7基に集約”. 共同通信. 2023年9月17日閲覧。
- ^ “西日本製鉄所(倉敷地区)第4高炉(4次)火入れについて”. www.jfe-steel.co.jp. 2022年1月1日閲覧。
- 1 高炉とは
- 2 高炉の概要
- 3 高炉による銑鉄生産
- 4 歴史
- 5 高炉の耐火煉瓦の劣化状況の把握
- 6 関連項目
高炉と同じ種類の言葉
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