高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 高年齢者等の再就職の促進等

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/04 06:30 UTC 版)

高年齢者等の再就職の促進等

国は、高年齢者等の再就職の促進等を図るため、高年齢者等に係る職業指導、職業紹介、職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるように配慮するものとする(第12条)。公共職業安定所は、高年齢者等の再就職の促進等を図るため、高年齢者等の雇用の機会が確保されるように求人の開拓等を行うとともに、高年齢者等に係る求人及び求職に関する情報を収集し、並びに高年齢者等である求職者及び事業主に対して提供するように努めるものとする(第13条)。公共職業安定所は、高年齢者等にその能力に適合する職業を紹介するため必要があるときは、求人者に対して、年齢その他の求人の条件について指導するものとし、公共職業安定所は、高年齢者等を雇用し、又は雇用しようとする者に対して、雇入れ、配置、作業の設備又は環境等高年齢者等の雇用に関する技術的事項について、必要な助言その他の援助を行うことができる(第14条)。

事業主は、その雇用する高年齢者等が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他これに類するものとして厚生労働省令で定める理由(継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めた場合における当該基準に該当しなかったことその他事業主の都合。以下「解雇等」という。)により離職する場合において、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該高年齢者等の再就職の援助に関し必要な措置(再就職援助措置)を講ずるように努めなければならない。公共職業安定所は、この規定により事業主が講ずべき再就職援助措置について、当該事業主の求めに応じて、必要な助言その他の援助を行うものとする。ただし以下の高年齢者等は除く(第15条、施行規則第6条)。

事業主は、同一の事業所において、一月以内の期間に、その雇用する高年齢者等のうち5人以上の者が解雇等により離職する場合には、多数離職届(様式第一号)を当該届出に係る離職が生ずる日の一月前までに当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない(第16条、施行規則第6条の2)。

事業主は、解雇等により離職することとなつている高年齢者等が希望するときは、その円滑な再就職を促進するため、以下の事項(解雇等の理由を除く。)及び事業主が講ずる再就職援助措置を明らかにする書面(求職活動支援書)を作成し、当該高年齢者等に交付しなければならない。事業主は、求職活動支援書を作成する前に、離職することとなっている高年齢離職予定者に共通して講じようとする再就職援助措置の内容について、当該求職活動支援書に係る事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くものとする(第17条1項、施行規則第6条の3)。

  1. 高年齢離職予定者の氏名、年齢及び性別
  2. 高年齢離職予定者が離職することとなる日(離職することとなる日が決定していない場合には離職することとなる時期)
  3. 高年齢離職予定者の職務の経歴(従事した主な業務の内容、実務経験、業績及び達成事項を含む。)
  4. 高年齢離職予定者が有する資格、免許及び受講した講習
  5. 高年齢離職予定者が有する技能、知識その他の職業能力に関する事項
  6. 前三号に掲げる事項のほか、高年齢離職予定者が職務の経歴等を明らかにする書面を作成するに当たって参考となる事項その他の再就職に資する事項
  • 高年齢者等については、依然として厳しい雇用情勢の中で、一旦離職するとその再就職は極めて困難な状況にあり、失業期間も長期化する傾向にあるため、在職中のなるべく早い時期から、事業主や公共職業安定所の援助を受けつつ、労働者本人が主体的に求職活動を行うことが重要である。また、高年齢者等を中途採用する際の問題点としては、労働者にどのような能力や適性があるのか雇ってみるまで分からなかったことなどが事業主から挙げられており、これまでの職業経験や労働者の有している能力等を記載した職務経歴書の充実が高年齢者等の求職活動のために有効であると考えられる。このため、事業主がその雇用する高年齢者等を事業主の都合により解雇する場合には、当該高年齢者等が職務経歴書を作成するに当たって参考となる職務の経歴や職業能力等の情報や事業主がどのような再就職援助措置を行うかという情報を、当該高年齢者等に対し書面により交付することを事業主に求め、これらの情報を把握・活用した求職活動を行えるようにすることとする。なお、「解雇の理由」は、再就職に資する事項とは想定し難く、かえって再就職を阻害するおそれも存在することから、求職活動支援書には記入してはならないこととしており、労働基準法第22条第2項の解雇理由証明書と兼ねることはできないものであること。また、求職活動支援書は、離職予定者の求職活動に資するよう、作成・交付を義務付けるものであって、その記載内容は、離職予定者本人から聴取した事項及び事業主が知り得た事項を記載したものであり、真正であることを事業主に証明させるものではないこと(平成16年11月4日職高発第1104001号)。

求職活動支援書を作成した事業主は、その雇用する者のうちから再就職援助担当者を選任し、その者に、当該求職活動支援書に基づいて、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所と協力して、当該求職活動支援書に係る高年齢者等の再就職の援助に関する業務を行わせるものとする。事業主は、再就職援助担当者に、その業務の遂行に係る基本的な事項について、求職活動支援書に係る事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴いてその業務を行うようにさせるものとする。再就職援助担当者の業務は、次のとおりとする(第17条2項、施行規則第6条の4)。

  1. 高年齢離職予定者に係る求人の開拓及び求人に関する情報の収集並びにこれらによって得た求人に関する情報の高年齢離職予定者に対する提供
  2. 高年齢離職予定者に対する再就職を容易にするために必要な相談の実施
  3. 高年齢離職予定者の再就職の援助に関する公共職業安定所、公共職業能力開発施設等との連絡
  4. 前三号に掲げるもののほか、高年齢離職予定者の再就職の援助のために必要な業務
  • 再就職援助担当者は、その業務だけを行う者を新たに選任する必要はないが、当該事業所における人事に関する責任者を充てることが適当であること(平成16年11月4日職高発第1104001号)。

事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢(65歳以下のものに限る。)を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、労働者の募集及び採用の用に供する書面又は電磁的記録に併せて記載又は記録する方法により、当該理由を示さなければならない(第20条1項、施行規則第6条の5)。厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)は、この理由の提示の有無又は当該理由の内容に関して必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる(第20条2項)。

  • 「やむを得ない理由」については、「労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることについて事業主が適切に対処するための指針」(平成13年厚生労働省告示第295号)において、年齢制限が認められる場合として限定的に列挙された10項目に該当する理由である必要があること(平成16年11月4日職高発第1104001号)。

事業主は、毎年、6月1日現在における定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況を7月15日までに、高年齢者雇用状況報告書により、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由して厚生労働大臣に報告しなければならない(第52条、施行規則第33条)。


注釈

  1. ^ 当初は平成25年度から平成29年度までの5年間を対象期間としていたが、改正により延長されている。
  2. ^ これは2013年度から老齢厚生年金における定額部分の支給が終了し、段階的に支給開始年齢の65歳への引き上げが実際に開始したことが背景にある。

出典

  1. ^ “改正高齢雇用法が成立 65歳まで、企業に義務付け”. 共同通信社. 47NEWS. (2012年8月29日). http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012082901001823.html 2013年7月11日閲覧。 
  2. ^ 「65歳まで継続」で労使に溝 企業「若年層雇えぬ」”. 日本経済新聞 (2012年3月13日). 2012年12月24日閲覧。
  3. ^ 定年者の再雇用拡大、3割が「非正規削減」で対応”. 日本経済新聞 (2012年12月12日). 2012年12月24日閲覧。






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