香典 香典泥棒

香典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 16:19 UTC 版)

香典泥棒

起源は不明だが、香典に金銭を使うようになって以降、葬式で集まった香典を盗む香典泥棒が存在する。香典泥棒が起こる背景として

  • 大金が集まりやすい
  • 参列者が全員喪服を着用しているため見分けがつきにくい。
  • 受付などを葬儀業者や親族、友人に任せる遺族が多いこと

など多数の背景が存在する。

浄土真宗の僧籍を持っている俳優の植木等は主役を演じたニッポン無責任時代において「香典泥棒」という設定が耐えられなかったのか、『香典泥棒に限りなく近い人物』という設定に変更している[8]

香典の意義

香典は古くは「奠」の字を用いるのが一般的であったが、奠とは供え物の意味であり「香典(香奠)」とは、故人に対する供物であると共に、不意の事態に遭遇した故人の家族への支援の意味もある。そのため、古くは農村部を中心に食料を送ってそれを僧侶や葬儀参加者の食事に宛てることが多かった。また、穢れの思想が強かった時代に葬儀に携わる故人の親族が人々と接触して穢れを広めないようにするために故人の家族と親族の食料を予め用意しておくという配慮があったとも言われている。

また、これとは別に葬儀の準備に参加あるいは参列する地域の知人・友人は、穢れと接触するのを最低限にするために地域の宿屋あるいは食堂を借りて食事を摂り、その食料も故人あるいはそれ以外の一般人と別の物を用意してそれは地域の負担として住民で用意した。これを「村香奠」などと称した。後に穢れの観念が希薄となると、親族と友人・知人の食事は一緒に行われ、地域によっては地域全体で葬儀を行うようになった。このため、親族以外の香典も全てが故人の家族に渡されるようになったと考えられている。また、故人との親疎によって香典の料も違い、喪主を務めない故人の実子は米か麦を1俵丸ごと差し出し、更に酒1樽を付ける慣習が広く行われていた。これを「一俵香奠」と呼んだ。

香典が金銭に代わり、食料がその副物として簡単な供物に代わっていくのは、武士階層では室町時代、一般庶民では明治時代以後、一部農村部では戦後に入ってからのことと考えられている。

枝義理

枝義理(えだぎり)とは香典を渡す際、喪主とは異なる(葬家外の)親族に対して宛てた香典である[9]。単に枝(えだ)とも呼ばれ、故人の長男が家督を継いでいると仮定した場合、嫁ぎ先へ入った長女・次女等や分家した次男・三男等に対して渡される。家を出た子息に対しても親を亡くしたことに対するお悔やみの気持ちを込めたものである[10]

地域の結びつきが強かった近世において全国の山村の一部に限定的・散逸的にみられたが(前述「香典の意義」参照)、現在も風習として色濃く残っているのは長野県上伊那郡上伊那地域)の8市町村(伊那市駒ヶ根市辰野町箕輪町飯島町南箕輪村宮田村中川村)だけである[10]

この地域では、故人および喪主とは直接縁のない者が残された子息に対して渡すことが一般的であり、多くの場合、その子息の友人や所属する職場がその子息本人に宛てて香典を渡す。葬家内であっても喪主以外に成人した兄弟姉妹が同居している場合、友人や職場からあえてその兄弟姉妹に宛てて渡される場合も多い。故人の孫にあたる成人者が葬家内いる場合も同様である。また、故人の兄弟姉妹に対して渡す場合もある[10]

枝義理に対して渡された香典は喪主の財産とはならず、枝に書かれた親族の財産となる。このため香典帳への記載は後で枝書きを付けて明確に区別されたり、あえて記載されず別にまとめられることもある。親族ごとに香典帳をしたためる場合もある。

枝義理の書き方は、香典袋の表の右上隅に「○○様」と宛てる親族の氏名を黒字で書き記す。薄墨や筆字である必要はなく、あくまでも枝が判ればよい。なお、枝義理となる親族への宛て名を記すことを「枝を書く」と呼ぶ。

枝義理に対して渡された香典の返礼(香典返し)は、喪主がまとめて行うか枝義理に書かれた者が行うかは家によって異なるが、多くの場合、事前に喪主(葬家)と枝義理となる者とで取り決めがなされている(喪主が行う慣習となっている地域もある)[9]

地域の風習であるため、地域外や県外から焼香等に訪れる者にはこの風習を理解していない者も多く、枝書きがないために親しい友人に宛てたつもりが喪主である兄弟姉妹へ渡ってしまうこともある。これらの地域の慣例として、枝書きがない場合でも喪主に心当たりがない相手の場合(親族の友人や職場であることが明らかな場合)、葬儀の後に親族間において宛先を再配分するのが一般的である。


  1. ^ a b 女子パウロ会オンラインショッピング 封筒(お花料、お祝い、お見舞い、お礼他) 女子パウロ会
  2. ^ 勝本正實『日本の宗教行事にどう対応するか』いのちのことば社
  3. ^ 橋本巽『日本人と祖先崇拝』いのちのことば社
  4. ^ 滝元明『千代に至る祝福』CLC出版
  5. ^ 『教会成長シンポジウム』新生運動
  6. ^ 『教会員必携』羊群社
  7. ^ 『クリスチャンと仏教のお葬式』ICM出版
  8. ^ 小林信彦『喜劇人に花束を』新潮文庫
  9. ^ a b 株式会社グレース - よくあるご質問
  10. ^ a b c 上伊那誌編纂会 編著「第四章 人の一生 第四節 葬制」『長野県上伊那誌』第5巻民俗篇(上)、上伊那誌刊行会、1980年、 596-636頁。


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