非ステロイド性抗炎症薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/17 13:01 UTC 版)
Non-steroidal anti-inflammatory drug[1][2] | |
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Drug class | |
クラス識別子 | |
発音 | [ˈɛnsɛd] EN-sed |
略称 |
Cyclooxygenase inhibitor,[3] Cyclooxygenase enzyme inhibitor,[3] Non-steroidal anti-inflammatory agents/analgesics (NSAIAs), Non-steroidal anti-inflammatory medicines (NSAIMs)[要出典] |
効用 | 疼痛,[1] 発熱,[1] 炎症,[1] |
ATC code | M01A |
作用機序 | 酵素阻害剤 |
生物学的ターゲット | COX-1 および COX-2 |
In Wikidata |
NSAIDs というのは先行するステロイド系抗炎症薬の副作用が問題視された後に登場したステロイドではない抗炎症薬。ところがこの NSAID でも、NSAID潰瘍のような、死亡につながる可能性のある副作用は 2000 年前後にアメリカ合衆国で毎年 3,200 人、あるいは過剰推計ともされるが 16,500 人が死亡しているという 2 つの推計がある[7]。COX-2 への選択性を高め胃腸作用を減らした NSAID のうち、ロフェコキシブ[注 3]は心臓の副作用が増加したことで発売元は自主回収することとなった[8]。
さまざまな NSAIDs は作用には大差がなく、異なるのは用量、服用方法である。NSAIDs の胃粘膜保護に関する試みで最も成功したのは、アセチル化と pH の調整、また、胃粘膜保護作用を持つ薬剤との併用である。胃酸分泌抑制効果のある H2 ブロッカー(例:ラフチジン(販売名 プロテカジン)、ラニチジン(販売名 ザンタック)や、ミソプロストール(販売名 サイトテック)が、アメリカ合衆国では最も成功した薬剤である。例えば、ジクロフェナクとミソプロストールを合剤にしたオルソテックなどもあり、非常に効果的だが、高価である。日本では、バファリンなどの合剤がある。
一般医を受診する患者の 25 % は変形性関節症で、その半数から全ての例が NSAIDs を処方される。65 歳以上の人口の 80 % に X 線上有意な変形性関節症が存在するとされており、そのうち 60 % が疼痛などの症状を訴える。2001年には、アメリカ合衆国では 7,000 万錠の NSAIDs が処方され、300 億錠が薬局で販売された。
注釈
- ^ アメリカ英語発音: [nɑːn stɪˌrɔɪdəl ˌæntaɪɪnˈflæməˌtɔri drʌg] ナ(ー)ンスティロイドォー・アンタイインフラ(ー)マトゥリ・ドゥラグ
- ^ 英語発音: [ˈɛnˌsɛd] エヌセ(ッ)ドゥ、[ˈɛnˌseɪd] エヌセイドゥ
- ^ Rofecoxib. 日本未承認。
- ^ 「カロナール」は2024年1月に第一三共ヘルスケアへ商標使用を許諾し、同社から処方箋医薬品の錠剤品と同一処方である一般用医薬品(第2類医薬品)として「カロナールA」が発売された
出典
- ^ a b c d e “non-steroidal anti-inflammatory drug”. www.Lexico.com. Oxford English Dictionary (2022年). 2022年2月4日閲覧。
- ^ a b Non-steroidal anti-inflammatory drugs, 英国国民医薬品集 (BNF), 英国国立医療技術評価機構 (NICE), (2022) 2022年2月4日閲覧。
- ^ a b “Studies of local anesthetic action on natural spike activity in the aortic nerve of cats”. Anesthesiology (Ovid Technologies (Wolters Kluwer Health)) 66 (2): 210–3. (February 1987). doi:10.1097/00000542-198702000-00016. PMID 3813081. "Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) are the competitive inhibitors of cyclooxygenase (COX), the enzyme which mediates the bioconversion of arachidonic acid to inflammatory prostaglandins (PGs)."
- ^ NSAID (Cambridge Dictionaries Online)
- ^ NSAID (Collins "American English Dictionary")
- ^ 川口善治「腰痛徹底対策 ぎっくり腰」、『きょうの健康』2017年11月号、NHK出版、 60頁。
- ^ a b Krueger, Courtney (2013). “Ask the Expert: Do NSAIDs Cause More Deaths Than Opioids?”. Pain Treatments 13 (10) 2019年6月8日閲覧。.
- ^ "Up to 140,000 heart attacks linked to Vioxx". New Scientist. 25 January 2005. 2023年12月17日閲覧。
- ^ "Origins and impact of the term NSAID" (Buer 2014)Inflammopharmacology, vol. 22, no 5, 2014, p. 263-7. (PMID 25064056, DOI 10.1007/s10787-014-0211-2) オンライン読む(アーカイブ))
- ^ “Peptic Ulcer” (英語). Harvard Health (2018年12月10日). 2022年8月9日閲覧。
- ^ [1]
- ^ "Understanding NSAIDs:from aspirin to COX-2";Gray A. Green; Clin.Cornerstone 3(5):50-59, 2001.
- ^ J Clin Pharm Ther. 2019 Feb;44(1):49-53.
- ^ https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/pds.4866
- ^ Nefrologia. 2015;35(2):197-206.
- ^ Kidney Int. 2015 Aug;88(2):396-403.
- ^ BMJ. 2013 Jan 8;346:e8525.
- ^ 薬学雑誌.2019;139(11):1457-62.
- ^ CG150 Headaches (Report). 英国国立医療技術評価機構. July 2012. chapt.1.2.7.
- ^ "ペントイルなど、4月から薬価収載対象外に テルシガン、テラナス、ジヒデルゴット、ヒデルギンなども対象外に". 日経DI Online. 日経BP. 24 April 2017. 2023年12月17日閲覧。
- ^ Kis, Bela; Snipes, James A.; Busija, David W. (2005-10). “Acetaminophen and the cyclooxygenase-3 puzzle: sorting out facts, fictions, and uncertainties”. The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 315 (1): 1–7. doi:10.1124/jpet.105.085431. ISSN 0022-3565. PMID 15879007 .
- 1 非ステロイド性抗炎症薬とは
- 2 非ステロイド性抗炎症薬の概要
- 3 名称の由来
- 4 禁忌
- 5 脚注
非ステロイド性抗炎症薬と同じ種類の言葉
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