静磁場 ベクトル解析に関する補足

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静磁場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/13 02:05 UTC 版)

ベクトル解析に関する補足

静磁場の解析には、静磁場の解析には、やや高度なベクトル解析の知識 (例えば 藤本[33]参照) が要求される。同じ式変形が何度も繰り返されるのを避ける目的から、 一般的な知識は既知とする立場から、本記事の内容理解に必要と思われる事柄に限り、簡単に説明する。 が要求される。同じ式変形が何度も繰り返されるのを避ける目的から、 一般的な知識は既知とする立場から、本記事の内容理解に必要と思われる事柄に限り、簡単に説明する。

ベクトル場の代数演算と微分作用素

ベクトル場に代数演算を施したものに、微分作用素を作用させた場合に成り立つ公式について、本記事で用い、かつ、あまり本に載っていないものについて、簡潔にまとめる。

(1) <F|∇>について

F=(f1,f2,f3)をベクトル場とする。このとき、

と定義する。ここで、∇は、

を意味する。<F|∇>のことを、”F・∇”と書くこともある。

Gを、ベクトル場としたとき、<F|∇>をGに作用させると、

が成り立つ。ここで、は、Gのヤコビ行列(ヤコビアンではない)を意味する。

(2)rot とスカラー倍、ベクトル積

F,Gを、ベクトル場、fを、スカラー値関数とする。このとき、以下が成り立つ。

(3)div とスカラー倍、ベクトル積

F,Gを、ベクトル場、fを、スカラー値関数とする。このとき、

ディラックのデルタと、重積分

一般のn変数関数(関数はベクトル値関数であってよい)fの定義域をΩとしたとき、

であることが知られている。ここで、上式の"*"は、合成積(乗算ではない)である。また、δnは、n変数のδ関数である。

発散微分とディラックのデルタ

原点(r=0)を除いて

であり、原点(r=0)を中心とする、球体BLに対し、ガウスの発散定理を用いると、
となるので、結局、

であることが判る。(ここで、δは、3変数のδ関数である。
以上の議論を平行移動させると、

であることが判る。

分数関数の偏微分

面積分に関する補足

ここでは、様々なベクトル場の面積分についてまとめる。 「絶対値による面積分」「外積面積分」という用語は一般的な用語ではないが、他に 適切な表現がないため、この場限りでそのような言い方をする。 本記事内での定義は、それぞれ以下の通り。

Iをの閉長方形、
は、 Iの近傍で、殆ど至る所区分的に滑らかかつ、非退化であり、かつ、Iの内部で単射なベクトル値関数、
を、内の曲面片とする。
また、Xを、Sの近傍で定義された、区分的に滑らかなベクトル場とする。このとき、

(1)普通の面積分

定義は、以下の通りである。
上式の右辺は、についてのスカラー値関数
を、区間I上で重積分したものを意味する。今、Sの単位法線ベクトルを、
と定めると、
である。

(2)絶対値による面積分

定義は、以下の通りである。
本記事では、絶対値による面積分の場合は、のように、面素に絶対値記号をつけることにする。
右辺は、についてのベクトル値関数
を、成分ごとに区間I上で重積分したものを意味する。即ち、絶対値による面積分は「関数の面積分を各成分ごとにやる」というのと同じ意味である。

(3)外積面積分

定義は、以下の通りである。
本記事では、外積面積分の場合は、のように、面素にの前に、×をつけることにする。
右辺は、についてのベクトル値関数
を、成分ごとに区間I上で重積分したものを意味する。即ち、(2)との関係でいえば、

となる。


注釈

  1. ^ 尚、磁化がの外では0であるからといって、の外でが0となるとは限らない(大概の場合はの外でもは、0ではない)ことに注意されたい。
  2. ^ なお、磁化は、の外では0なので、上式は、
    としてもよい(紛らわしいのであまり推奨しない)。
  3. ^ 尚、磁化がの外では0であるからといって、の外でが0となるとは限らない(大概の場合はの外でもは、0ではない)ことに注意されたい。
  4. ^ なお、磁化は、の外では0なので、上式は、
    としてもよい(紛らわしいのであまり推奨しない)。
  5. ^ なお、磁化は、の外では0なので、上式は、
    でもある。
  6. ^ なお、磁化は、の外では0なので、上式は、
    としてもよい(紛らわしいのであまり推奨しない)。
  7. ^ なお、磁化は、の外では0なので、上式は、
    としてもよい(紛らわしいのであまり推奨しない)。
  8. ^ a b ここでいうδは、摂動あるいは変分を表し、ディラックのδと紛らわしいが全然別物である。

参考文献

  1. ^ W.K.H. パノフスキー (著), M. フィリップス (著),林 忠四郎 (翻訳), 西田 稔 (翻訳);「新版 電磁気学〈上〉」吉岡書店; POD版 (2002/09)
  2. ^ a b c d [★溝口 正 (著) 「電磁気学―SI UNITS 」裳華房 (2001/03)](特にP188付近)
  3. ^ [★]竹山 説三 (著) 「電磁気学現象理論」丸善出版; 3版 (1949)
  4. ^ a b [★]P.P.シルベスタ(著), R.L.フェラーリ(著), 本間 利久(著), 田中 康博(著); 「有限要素法による電磁界解析 (Information & computing (26)) 」 サイエンス社 (1988/09)
    [原書]Peter P. Silvester (Author), Ronald L. Ferrari (Author); 「Finite Elements for Electrical Engineers」Cambridge University Press; 3版 (1996/9/5) [1]
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  7. ^ 有限要素法による磁場解析
  8. ^ a b 磁場が満たす偏微分方程式(秋田高専講義録)
  9. ^ 園田英徳;「大学院生のための基礎物理学」講談社(2011/09/29)ISBN 978-4-06-153277-9
  10. ^ 平川浩正;「電磁気学(新物理学シリーズ2)」培風館 (1986/04) ISBN 9784563024024
  11. ^ 守末 利弥「数値電磁気学のためのゲージ理論」森北出版 (1996/04) ISBN 978-4-627-71600-1
  12. ^ 依田 潔 (著) ;「Mathematicaによる電磁界シミュレーション入門 - POD版 (計算電気・電子工学シリーズ)」森北出版(2012/2/24) ISBN 978-4-627-71529-5
  13. ^ 電磁気学II(大阪大学 田中実教授の講義録) (PDF)
  14. ^ [2]立教大学講義ノート 本講義の参考文献欄 等、至る所に文字化けがあるが、たとえば、もじばけらった等によって解読できる。
  15. ^ 東京理科大学講義ノート (PDF) および、講義スライド (PDF)
  16. ^ 鹿児島 誠一 (著) ;「電磁気学 (パリティ物理学コース)」丸善(1997/01) ISBN 978-4-621-04277-9
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  18. ^ 前田 和茂 (著) ,小林 俊雄(著);「ビジュアルアプローチ電磁気学」森北出版 (2009/12/5) ISBN 978-4-627-16221-1
  19. ^ Julius Adams Stratton;「Electromagnetic Theory」Wiley-IEEE Press; 1版 (2007/1/22) ISBN 978-0-470-13153-4
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  22. ^ 電気磁気学特論(秋田高専講義録)
  23. ^ 高橋 康人 (早稲田大学):"高速多重極法を組み込んだ磁気モーメント法による 磁性体解析に関する基礎的検討" (PDF)
  24. ^ 東京電機大学 (編集)「入門 電磁気学」東京電機大学出版局 (2006/03) ISBN 9784501004200
  25. ^ 早川 義晴 (著) 「電気教科書 電験三種合格ガイド」翔泳社 (2011/2/25) ISBN 9784798126623
  26. ^ 磁気回路と電気回路 (PDF)
  27. ^ 坪井 一洋 (著) 「システムと微分方程式」三恵社 (2011/5/22) ISBN 9784883618248
  28. ^ 複数磁石による静磁場(簡易シミュレータ)
  29. ^ 近畿大学 講義ノート (PDF)
  30. ^ 等々力 二郎:「有限の太さの矩形断面ヘリカルコイルの磁場の計算」核融合研究,57(1987)318
  31. ^ 渡辺 二太:「空心円筒コイル群によって作られる磁場の計算」 核融合研究 Vol.35 (1976) No.3 P235-242
  32. ^ 渡辺 二太:「多様な形状のコイルに対する磁場計算法」 核融合研究 Vol.63 (1990) No.6 P482-507
  33. ^ 藤本 淳夫 (著) ベクトル解析 (現代数学レクチャーズ C- 1) 培風館 (1979/01)


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