霊魂 学問

霊魂

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 18:07 UTC 版)

学問

霊魂については、宗教学民俗学文化人類学などといった人文科学からの研究がある。霊や魂といった概念の変遷についての研究などがある。

外魂

物語を分類した民俗学者ジェームズ・フレイザーは、外側に保管して不死化する外魂(: external soul)を分類している。エジプトのミイラ、フィラクテリー英語版浦島太郎玉手箱などに見られる。

文学・芸術

  • 日本神話にはイザナギが黄泉の国にいるイザナミを訪ねるという話があり、似たモチーフが世界の他の神話にもある。
  • 映画「21g」:人が死ぬ前と死んだ後で21gだけ重さが違うという話があり、それをモチーフにした映画。

霊魂と死生観・全人的健康

古来より多くの神話宗教哲学芸術などが担ってきた重要な役割の一つは、これら人の生死を含む世界観、生きること、生かされていること、死ぬことの意味の説明である。宗教家らは、人々の抱えるこうした重い問いに対して説明を提供するという重要な役割を果たしてきたのである。

現代においては、魂を肯定的にとらえることが生きがい健康といったものと深く関係があることが、様々な学者の研究によって明らかにされている[28][29][30][31][32][33]

スピリチュアルケアを提供できる状態になっていることが、病院が病院として認可されるための必要条件とされている国もあるほどである[どこ?]。日本の医療の場においては、欧米に比べると認識が浅く、スピリチュアルケアを提供する体制の整備が遅れがちであったが、最近では充実化に向けて様々な活動が行なわれるようになってきている[34]

また、魂の永遠性を信じることは、ターミナルケアの場に限らず、ごく普通の日常においても、人が本当の意味で健康に生きる上で重要なことである、ととらえられることも増えてきている[35]

世界保健機関(WHO)は1984年の第37回総会で決議された「西暦2000年までにすべての人々に健康を」の決議前文で、健康が含むスピリチュアルな側面について言及した。さらに、1999年の総会においては、健康の定義文に以下の語も加えることを提案した[36]

健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない。

脚注


注釈

  1. ^ 大和言葉の「たましい(魂)」の方は、信念や思想、あるいはその心を表現する言葉としても慣用的に使われる。
  2. ^ 通常は英霊ではなく尊敬語はいずれも御霊(みたま)

出典

  1. ^ 広辞苑 第六版 霊魂
  2. ^ 魂(こん)とは? 意味や使い方 - コトバンク”. コトバンク. 2023年11月26日閲覧。
  3. ^ a b デジタル大辞泉 「霊魂」
  4. ^ 広辞苑 第五版 p.2828 霊魂「人間の身体内にあってその精神、生命を支配すると考えられている人格的、非肉体的な存在」
  5. ^ a b c d e f 小口 偉一、堀 一郎、1973、『宗教学辞典』、東京大学出版会 ISBN 4-13-010027-0 p. 757
  6. ^ 吉村作治『ファラオと死者の書 古代エジプト人の死生観』p.37
  7. ^ 吉村作治『ファラオと死者の書』p.41
  8. ^ * Allen, James Paul. 2001. "Ba". In The Oxford Encyclopedia of Ancient Egypt, edited by Donald Bruce Redford. Vol. 1 of 3 vols. Oxford, New York, and Cairo: Oxford University Press and The American University in Cairo Press. 161–162.
    • Allen, James P. 2000. "Middle Egyptian: An Introduction to the Language and Culture of Hieroglyphs", Cambridge University Press.
  9. ^ a b 小池寿子『死を見つめる美術史』ポーラ文化研究所 1999年、ISBN 4938547473 pp.124-128
  10. ^ 吉村作治 同書 p.55
  11. ^ 吉村作治 同書 pp.74-75
  12. ^ 岩波書店『哲学・思想事典』、「懐疑主義」の項
  13. ^ 岩波『哲学・思想事典』、「懐疑主義」の項。
  14. ^ 神滅神不滅』 - コトバンク
  15. ^ 播本崇史「明末天主敎書における靈魂論」『日本中國學會報』第63号、日本中国学会、2011年。 NAID 40019636926http://nippon-chugoku-gakkai.org/wp-content/uploads/2019/09/63-10.pdf 
  16. ^ 神崎繁『魂(アニマ)への態度 古代から現代まで』岩波書店〈双書 哲学塾〉、2008年。ISBN 9784000281621 129頁。
  17. ^ 岩波『哲学・思想事典』、「霊魂」の項。
  18. ^ 仏教関係者による解説の例。 「日本人の霊魂観」(真宗の関係者向けの冊子「御坊さん」に掲載されたもの)
  19. ^ なぜ「葬式仏教」は生まれたか?〈死者〉との関わりから日本仏教を読み解く5冊 | 彼岸寺
  20. ^ 大辞泉
  21. ^ 出典:『マンガ神道入門~日本の歴史に生きる八百万の神々~』(監修:神保郁夫 原作:白取春彦 版:サンマーク出版)、『日本精神通義~人生、道を求め徳を愛する生き方~』(著:安岡正篤 版:致知出版社)、『神道辞典』(版:神社新報社)、『神道がよくわかる本』(著:安部正路 版:PHP文庫)
  22. ^ 竹倉 2015. 位置No.1678/2493
  23. ^ a b 竹倉 2015. 位置No.1646/2493
  24. ^ 竹倉 2015. 位置No.1617/2493
  25. ^ 竹倉 2015. 位置No.1637/2493
  26. ^ 竹倉 2015. 位置No.1790/2493
  27. ^ 竹倉 2015. 位置No.1844/2493
  28. ^ 大石和男、安川道夫、濁川孝志、飯田史彦大学生における生きがい感と死生観の関係」『健康心理学研究』第20巻第2号、2007年、1–9頁、doi:10.11560/jahp.20.2_1 (大石和男は専修大学教授、安川道夫は専修大学教授、濁川孝志は立教大学教授、飯田史彦は福島大学教授)。
  29. ^ 熊野 道子「人生観のプロファイルによる生きがいの2次元モデル」『健康心理学研究』第16巻第2号、2003年、68–76頁、doi:10.11560/jahp.16.2_68 
  30. ^ 熊野 道子「生きがいを決めるのは過去の体験か未来の予期か?」『健康心理学研究』第18巻第1号、2005年、12–23頁、doi:10.11560/jahp.18.1_12 
  31. ^ 日本民族衛生学会「伝統的信仰意識が地域高齢者のメンタルヘルスに及ぼす影響についての検討」『民族衛生』第69巻Appendix、2003年、124–125頁、doi:10.3861/jshhe.69.Appendix_90 
  32. ^ 興古田孝夫、石津宏、秋坂真史、名嘉幸一、高倉実、宇座美代子、長濱直樹、勝綾子「大学生の自殺に関する意識と死生観との関連についての検討」『民族衛生』第65巻第2号、1999年、81–91頁、doi:10.3861/jshhe.65.81 
  33. ^ 飯田史彦『生きがいの創造 III: 世界標準の科学的スピリチュアル・ケアを目指して』PHP研究所、2007年。ISBN 978-4-569-69448-1OCLC 183538021 
  34. ^ ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア: 病む人とその家族・友人および医療スタッフのための心のケア』サンパウロ、1999年。ISBN 4-8056-4614-4OCLC 675993060 
  35. ^ 竹田恵子、太湯好子「日本人高齢者のスピリチュアリティ概念構造の検討」『川崎医療福祉学会誌』第16巻第1号、2006年1月1日、53–66頁、doi:10.15112/00012858ISSN 0917-4605 
  36. ^ 小田晋、本山博『健康と霊性: WHOの問題提起に答えて』宗教心理出版、2001年4月。ISBN 4-87960-057-1OCLC 676341581 





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