霊感 概説

霊感

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/28 08:47 UTC 版)

概説

霊感は例えば次のような状態で見られる[3]。ひとつは断食不眠(お籠り)、修行による疲労等の生理的条件、および中・神殿深夜の時間帯といった環境的条件をととのえて、余計な意識活動・理知的活動を消してゆくことで得られる場合である[3]。もうひとつは、霊能者と言われる、生得的に無意識的活動に入りやすい人物がそれを得ている場合がある[3]

つまり聖職者預言者などの宗教家が修行悟りの結果として神仏からの啓示を得る場合と、もともと生まれつき霊能者として霊感を得る資質を持っている場合がある、ということである。また、祈ることによってからの反応が得られる場合もあろう。

聖書など多くの宗教書が霊感をもとに書かれている[3]

聖書の霊感

啓示: revelation)、霊感(: inspiration)、正典: canonカノン)の三語は、互いに関連したキリスト教用語である。

啓示
人が理性的な追求によっては知り得ないに関する真理、永遠に関する真理、救いに関する真理などを、神はその預言者使徒を通して、人に語られた[5]神の行為、また、その結果を指す。真理の「内容」に関わっている。「啓示」における「啓」とは「開く」の意である。
霊感
神によって開明され、示された真理を「記述」するに当たって、記者に対して与えられた聖霊の干渉のことである。人は過ちを犯す者であるが、そのような人間が、神の真理を書き記し、伝達するにあたって、神は、霊感を記者に与え、彼らが正確、また十分に啓示内容を書き記すことができるようにした[6]。これが聖霊による霊感の働きである。『テモテへの第二の手紙』3章16節によれば、
  • 「(聖書は)すべて、」(: πασα)とあるように、霊感は、聖書全巻に及んでいる。
  • 「神の霊感によるもので、、、」(: θεοπνυστος)とは、ギリシャ語では、神によって「息吹きだされた」との意味で、人間的な著作に神が霊感を加えたというよりも、聖書自体、すなわち、その真理内容が、神によって与えられたことを主張するものである。
正典
そのようにして神の「霊感」を受けたと判断された書の収集をさす。「霊感」という物指し(カノン)によって測られ、その基準に合ったので、キリスト者の「信仰と実践との唯一の規範(物指し)」とされたことを意味する。

聖書は、このように「啓示」の書、「霊感」の書、そして、「正典」的な書であるので、初代教会以来、特に、宗教改革以後、プロテスタント諸教会では、キリスト教信仰と実践の唯一の規範、すなわち「神のことば」として権威あるものと受け留めてきた。このような聖書観に立つ教会・教派、また、クリスチャンを「福音主義」と言い、20世紀初頭、これと異なる聖書観をもって、聖書に批判的な神学、聖書学の展開を見せたのが「自由主義」陣営である。後者は、啓示、霊感と言った超自然的な概念は一切否定して受け入れない立場である。

文学における霊感

文学では、ある作品から「ひらめき」(霊感)を受けて、創作すると言うことがしばしばある。「(人を)〜する気にさせる」と言う意味である。純文学では、太宰治の影響が一番大きいと言われているが[要出典]、推理小説などでは、外国作品によるインスパイアが多い。中上健次の一連の作品は、北條民雄にインスパイアされて書かれたと言われている。


  1. ^ a b c 「霊感」 - 精選版 日本国語大辞典、小学館。
  2. ^ a b c 大辞林
  3. ^ a b c d e 『宗教学辞典』東京大学出版会、1973【霊感】
  4. ^ 霊感(れいかん)の意味”. goo国語辞書. 2019年12月3日閲覧。
  5. ^ マタイ16:17)
  6. ^ テモテへの第二の手紙』3:16、17、『ペテロの第二の手紙』1:20、21






霊感と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「霊感」の関連用語

霊感のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



霊感のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの霊感 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS