電線類地中化 日本における取組み

電線類地中化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/13 02:46 UTC 版)

日本における取組み

日本では、1928年に初めて電線地中化が行われた。兵庫県芦屋市に高級住宅街として造成された六麓荘町において導入されたものである。

その後、1986年度から1998年度までに、全国で約3,400kmの地中化が達成されている。これまでは整備しやすい大都市の幹線道路で行われてきた。しかし、1999年度からの事業計画では、これに加え重要伝統的建造物群保存地区などの歴史的な街並みを保全すべき地区や、バリアフリー重点整備地区などの良好な住環境を形成すべき地区なども対象として広げている。本格的な法整備として、1995年度に「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」(平成7年3月23日法律第39号)が制定され、電線共同溝の建設及び管理に関する事項等が定められた。

小池百合子が発足人となって作られた無電柱化推進議員連盟、無電柱化小委員会によって作成された「無電柱化推進法案」が2016年12月9日無電柱化の推進に関する法律として成立した[注釈 3]

国土交通省は、災害時の輸送で重要となる道路を対象として、電力会社や通信会社に電柱を撤去させる制度を新設すると発表した。[14]

無電柱化の現状

  • 国土交通省の調査によると、ロンドンパリベルリン香港シンガポールなどの都市では無電柱化が完了しているのに対して、日本の無電柱化率は幹線道路(国道・都道府県道)に限っても全国平均は15%と大きく立ち遅れている[15]。平成25年度末の各県別では、最も進んでいるのが東京都で約4.6%、次に兵庫県の約2.7%、遅れているのが青森県、香川県の約0.5%、茨城県の約0.4%である。これは国土交通省が各道路管理者より聞き取りをしたもので、全道路(高速自動車国道及び高速道路会社管理道路を除く)のうち、電柱、電線類のない延長の割合である[16]
  • 日本の場合高級住宅地においても電線類の地中化または無電柱化が遅れている点がある。これは現行の制度が幹線道路沿いに公共事業費を投入しているのに対して、住宅地については道路幅員が狭いこともあり(道路新設や改良と同じく)道路特定財源制度が入らず、公共団体の単独事業とならざるを得ないからである。地域によっては、イメージの向上や地域の自主的なまちづくり活動として、多少の費用負担をしても地域の電線類を地中化してもよいとする場合があるが、そのような自主的な取り組みを支援する(国、公共団体、電力・通信会社の)制度ができていない。
  • トンネルを作ったが5年以上も電柱が撤去されていないままの災害時緊急輸送道路が、8都府県の47か所あることが、2014年の会計検査院の調べで判明した[17]

日本では現在、国土交通省が幹線道路や歴史的街並みを保存すべき地区において地中化、無電柱化を推進している。そのため、同じ地域(町内)にもかかわらず、電柱の有無により電線の引き込み費用や導入可能なケーブルなどに格差が生じている。法整備が進んでおらず電柱がなくなることへの補償制度が確立されていないこともあり、前述のように概して電柱のない場合に費用が高くなり導入可能な電線類も限定されることになる。幹線道路や歴史的街並みを保存すべき地区は、もともと道路公害や建築制限などで何かと苦労や負担の多い場所であるにもかかわらず、さらに痛みを強いることになっている。




注釈

  1. ^ 埋設物(管類・止水栓・浄化槽など)、塀、石垣、庭、植え込み、木の根、池、水路、物置小屋などの位置上の問題、土地の高低差、間口、接道の幅員による問題など。
  2. ^ 私道借地共有地囲繞地地役権通路など。
  3. ^ 小池自身も2016年の東京都知事選に立候補し当選。東京都内の無電柱化を重要政策に挙げている。
  4. ^ 例として、電力会社が地中化費用の負担のために電気料金を上げれば電力自由化による新規参入業者やガス事業者との競争などに影響する。

出典

  1. ^ 電柱なくそう 「そのまま埋めちゃう」新工法の効果は?”. 京都新聞 (2018年11月4日). 2018年11月4日閲覧。
  2. ^ 別冊 第2次奈良市もてなしのまちづくり推進行動計画 平成28年度 具体的な取組 奈良市 2018年9月29日閲覧
  3. ^ 道路建設課の担当業務 奈良市 (2017-03-30) 2018年9月29日閲覧
  4. ^ a b c NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク 『電柱のないまちづくり-電線類地中化の実現方法』 学芸出版社、2010年
  5. ^ 「電線類地中化は不動産価値を7%高める」株式会社ジオリゾーム
  6. ^ 「近鉄あやめ池住宅地」まちのコンセプト
  7. ^ a b c 国土交通省道路局「無電柱化の目的と効果」
  8. ^ a b 議論沸騰。日本の電柱が地中に埋まる、そのデメリットとは | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
  9. ^ a b 神戸新聞Web News 震災10年 備えは「ライフライン」
  10. ^ a b c d e f 東都総合研究所「行政資料集」
  11. ^ 変圧器ごと地中化できれば理想的であるが、予算や工期や既設埋設物との兼ね合いの都合から、止むを得ず地上の歩道上に設置する場合もある。
  12. ^ 日経パソコン「電柱の地中化がブロードバンド普及の壁に」
  13. ^ すずかんラボカフェ「ITにタックル」
  14. ^ 電柱、重要道から撤去可能に 国交省が防災へ新制度  :日本経済新聞
  15. ^ 国土交通省道路局「無電柱化の現状」
  16. ^ 国土交通省道路局「無電柱化に関する最近の動向」
  17. ^ 読売新聞夕刊 2014年11月28日19面 「無電柱化 わずか1%」
  18. ^ 松原隆一郎『失われた景観—戦後日本が築いたもの』PHP新書、2002年、186-187項
  19. ^ 土岐寛『景観行政とまちづくり』時事通信社、2005年、186項
  20. ^ 国土交通省道路局「無電柱化の推進」
  21. ^ 週刊朝日 2001年2月16日号「ITにタックル」第6講 IT予算とは言いながら
  22. ^ 国土交通省道路局「平成22年度 道路関係予算概算要求概要」




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