電気 日常用語における電気

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電気

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 14:32 UTC 版)

日常用語における電気

日常的に電気という場合、下記のように様々な意味で用いられる。

  • 電荷または電流(例: 「電気が流れる」)
  • 電流を流す力(電圧起電力と同義)
  • エネルギーの一種(電力または電力量と同義)
  • 電球、または電気を使用した照明器具の俗称(例: 「電気をつける」)
  • 電気屋 - 家電製品を販売する店(電器店)。電気そのものを販売しているのは電力会社であるが、一般的にそれを指して言うことはほぼ無い。ただし、電気に携わる研究者ないし技術者が自らを「電気屋」と呼称する事はあり得る。
  • 商用電源(電力会社が販売する電力)の俗称

電気と自然界

生理学的効果

人間の身体に電圧がかかると細胞に電流が流れ、比例関係にあるわけではないが、電圧が高いほど流れる電流も大きくなる[65]。知覚されるしきい値は供給周波数や電流の流れる経路によって異なるが、知覚されやすい周波数でだいたい0.1mAから1mAである。ただし、条件によっては1μAであっても電気振動を知覚する場合がある[66]。電流が十分強ければ筋肉が収縮し、心臓の筋肉が細動し、熱傷を生じる[65]。電気伝導体が帯電しているかどうかは一見しただけではわからないため、電気は一般に危険なものとされている。感電による苦痛は強烈な場合もあるため、電気は拷問の手法にも採用されてきた。感電によって死に至ることもある。死刑の手段として感電を使う電気椅子もあるが、最近ではそういった死刑手段は使われなくなる傾向にある[67]。逆に人工的な電気エネルギーで生体電気現象の復帰を促す治療方法として電気的除細動がある。

自然界における電気現象

デンキウナギ Electrophorus electricus

電気は人類の発明品ではなく、自然界にも様々な形で見られ、その代表例が放電現象のである。放電現象には他にセントエルモの火もある。触覚摩擦による静電気化学結合といった巨視的レベルでよく見られる相互作用は、原子スケールでの電場間の相互作用に起因している。地磁気は地球の核を流れる電流で生まれた天然のダイナモによって生じていると考えられている(ダイナモ理論[68]石英砂糖のような結晶は、圧力を加えられると電位差を生じる[69]。これを圧電効果と呼び、1880年にピエール・キュリーとジャック・キュリーが発見した。この効果は可逆的で、圧電性のある物質に電圧を印加すると、その形状が微妙に変化する[69]

サメ(とくにシュモクザメ)などの生物は電場の変化を知覚し反応する。これを電気受容感覚と呼ぶ[70]。捕食や防御のために自ら電気を発生させる生物もあり、それを生物発電と呼ぶ[3]。例えばデンキウナギ目デンキウナギは筋肉細胞が変化した「発電板」を持ち、高電圧を発生することで獲物を探し麻痺させる[3][4]。全ての動物は細胞膜に沿って活動電位と呼ばれる電圧パルスを発生させて情報を伝え、神経細胞による神経系によって筋肉まで情報伝達する[71]感電はこのシステムを刺激し、筋肉を収縮させる[72]。活動電位は特定の植物や動物においてその活動を調整する役目を果たしている[71]心電図筋電図はそういった神経系の電位差を測定して図示するもので、脳波は脳内の電気活動を間接的に測定して図示するものである。

電気を放つ主な生物

  • 強電気魚

デンキウナギデンキナマズシビレエイ

  • 弱電気魚

・ブラック・ゴースト ・メガネウオ ・種々のナイフフィッシュエレファントノーズフィッシュ等の電気魚

  • 電気感覚のみを有し電気器官のない電気魚

ヤツメウナギ肺魚サメ(主にシュモクザメチョウザメ) ・エイガンギエイ ・パドルフィッシュ ・例外としてカモノハシ(魚ではないが電気感覚はある)[73]

文化と電気

ラボで実験をするニコラ・テスラ

19世紀から20世紀初めにかけて、産業が発達していた西洋においても一般大衆にとって電気は日常生活の一部ではなかった。当時の大衆文化では電気を不思議な魔法のような力として描くことが多く、生きものを殺したり、死者を蘇らせたり、自然の法則に反する力を発揮するものとして描かれていた[74]。そのような見方は1771年、ルイージ・ガルヴァーニ動物電気を応用して死んだカエルの脚をけいれんさせる実験を行ったことに端を発している。そして、明らかに死んだ人間が電気の刺激で息を吹き返したという話がガルヴァーニの研究のすぐ後に医学誌に報告された。『フランケンシュタイン』(1819) を書いたメアリー・シェリーもそれらの話を知っていたが、彼女は怪物を生き返らせた方法について特に固有名詞を挙げていない。電気を使った怪物の復活は後のホラー映画の定番となった。明治時代の日本では1912年に東京市内の家庭電灯がほぼ完全に普及するが、同時に最新の代名詞ともなっており、電気ブランなど電気とは無関係の商品名にも使われた。

第二次産業革命の生命線として電気が徐々に大衆にもなじみのあるものになっていくと、肯定的に捉えられることが多くなっていった[75]ラドヤード・キップリングは1907年の詩 Sons of Martha で、電気に関わる技師について "finger death at their gloves' end as they piece and repiece the living wires"(手袋の端で死に触れ、生きたワイヤーを繕う)と記している[75]ジュール・ヴェルヌの作品や《トム・スイフト》ものなどの冒険小説では、電気を動力源とする乗り物が重要な役割を演じた[75]トーマス・エジソンチャールズ・スタインメッツニコラ・テスラといった科学者も含めて、実在か架空かを問わず電気に精通した人は一般に大衆からは魔法使いのような力を持っているとみなされた[75]

1950年代には電気は物珍しいものから日常生活に不可欠なものへと変貌し、なんらかの災害が起きたことを示すことの多い「停電」のときだけ注意を惹くようになった[75]。停電がおきないよう電力網を維持している作業員たちはグレン・キャンベルのヒット曲「ウィチタ・ラインマン」 (1968) で無名のヒーローとして歌われている[75]


注釈

  1. ^ ほとんど全ての電場は空間の位置によって変化する。例外としては、無限に広がる平面の導体が帯電している場合の電場は一様である。

出典

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