雪 雪の性質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 08:24 UTC 版)

雪の性質

雪の結晶の形状

雪の結晶は、成長過程の大気中の環境条件によりその形を大きく変える。そのパターン(晶癖)は研究によりいくつかの類型が知られている。小分類では121種類ある[9][10]

基本的な形状として、平らな六角形の「角板」、柱状の六角形の「角柱」、細長い「針」がある。Kobayashi (1961)によれば気温と、湿度(過冷却水の飽和水蒸気圧に対する氷の飽和水蒸気圧の差)に相関性がある。0から-4 ℃付近では「角板」、-4 から-10 ℃付近では湿度が低いと「角柱」、中程度では角柱が中空になった「骸晶角柱」、高いと「針」や針が中空になった「鞘」、-10 から-22 ℃付近では湿度が低い方から順に「厚角板」「骸晶厚角板」「角板」「扇形」、-22 ℃以下では湿度が低い方から順に「角柱」「骸晶角柱」「鞘」になる。また、-12 から-15 ℃付近の高湿度では「樹枝状」が発達する[11]

雪は、入ってきた太陽光)をほとんど吸収することなく散乱光として送り出す。太陽光には幅広い波長の光が含まれるが、波長が違っても散乱強度に大きな差がなくまんべんなく散乱するという性質のために、真っ白い色に見える。大量の積雪は日光の下でみを呈することがある。晴れた空の下で雪洞などの雪を下から見ると青く見えやすい。これはのもつ光の吸収特性によるもので、青色にあたる波長0.45 μm付近の光が最も吸収が少なく透過しやすいためである。ただし氷に気泡や土砂などが混じると青みは失せて見える[12]

雪が大気中の浮遊物を取り込み、変色した例も数多く報告されている。例えば、朝鮮半島では古くから、黄砂が混じった黄色あるいはみがかかった雪が降ることがあった。これは日本でも報告されており、江戸時代の書物に「紅雪」「黄雪」などなどの記述が残っている[13]。また、2007年2月2日には、ロシアのオムスク州で、およそ1,500km2にわたる広い範囲でオレンジ色の雪が降った。この雪は悪臭を伴っており、通常の雪の4倍の分を含んでいたという。その原因は詳しく分かっていない[14]


注釈

  1. ^ 例えば、イヌクティトゥット語版ウィキペディアでは「雪」の項目は「ᐊᐳᑦ/aput」=「雪(一般的用法)」というタイトルが付けられている。
  2. ^ 大気中における雪片の融解現象に関する研究 気象研究所技術報告第8号、1984年3月。2章p.19-p.20に輪島、松本、日光各地のデータに基づく相対湿度と地上気温を軸にとった雨雪判別図が、同章p.15に回帰分析によって得られた近似式が掲載されている。上に挙げた二式はともに松本のもの。
  3. ^ 雪祭りは、現代では北海道の札幌市および旭川市長野県飯山市新潟県十日町市などで開催される。日本以外の地域の場合、「冬祭り」「氷祭り」「雪祭り」はあまり区別されていない。
  4. ^ 経済産業省北海道経済産業局『平成26年度北海道電力需給実績(確報)』「【表-1】総需要電力量(用途別・月別) (PDF) 」「【表-3】総発電電力量(事業用+自家用)実績 (PDF) 」(2016年6月14日)によれば、北海道の総需要電力量は、2014年(平成26年)8月は2,906,419千 kWhであるのに対して、2015年(平成27年)1月は3,776,733千 kWhであり、夏より冬のほうが電力需要が多いことが分かる。また、2014年8月の北海道の水力発電電力量は641,890千 kWhであるのに対し、2015年1月は319,457千 kWhであり、夏より冬のほうが水力発電電力量が少ないことが分かる。
  5. ^ ある主要な季語について別表現と位置付けされる季語を、親子の関係になぞらえて、親季語に対する「子季語」という。「傍題」ともいうが、傍題は本来「季題」の対義語である。なお、子季語の季節と分類は親季語に準ずる。

出典

  1. ^ a b 雪の研究室 - 北海道雪たんけん館”. 北海道雪たんけん館. 2014年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月6日閲覧。
  2. ^ a b 気象庁(1998年)『気象観測の手引き]』
  3. ^ 天気記号表”. 過去の気象データ検索 利用される方へ. 気象庁. 2012年12月2日閲覧。
  4. ^ 天気図の記号って何種類あるのですか? それと、どんなのがあるのですか?”. はれるんライブラリー 質問一覧. 気象庁. 2012年12月2日閲覧。 天気図記号の例 (PDF)”. 2012年12月2日閲覧。
  5. ^ snow grains AMS Glossaly
  6. ^ a b c d e f 気象庁 予報用語 降水
  7. ^ アスピリンスノーとは”. 北海道方言辞書. Weblio 辞書. 2017年7月11日閲覧。
  8. ^ 王子製紙 (1938年). “紙業提要”. Google Books. 2013年9月23日閲覧。 [要ページ番号]
  9. ^ アメリカ・ニューヨーク州で観測された雪結晶 (PDF)”. 菊地 勝弘. 2019年2月9日閲覧。
  10. ^ 菊地 勝弘, 亀田 貴雄, 樋口 敬二, 山下 晃「中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類 -グローバル分類-」『雪氷』第74巻第3号、2012年5月、 223-241頁。
  11. ^ 小倉 2016, pp. 96–97.
  12. ^ 藤原滋水、青木輝夫「氷の色・雪の色 (PDF) 」 『天気』第40巻第3号、日本気象学会、1993年3月、 1-2頁、2012年12月3日閲覧。
  13. ^ 黄砂問題検討会中間報告書”. 大気環境・自動車対策 黄砂問題検討会報告書集. 環境省 (2004年9月). 2012年12月3日閲覧。 [要文献特定詳細情報]
  14. ^ Russia probes smelly orange snow』BBC News, 2007年2月2日
  15. ^ 第二部大気と海の科学 3-6 空気中の水蒸気 山賀進
  16. ^ 〜こんにちは!気象庁です!平成21年1月号〜[リンク切れ] 気象庁
  17. ^ 最新気象学のキホンがよ〜くわかる本[要ページ番号]
  18. ^ 雨や雪について”. よくある質問集. 気象庁. 2016年2月23日閲覧。
  19. ^ 播磨屋敏生、松尾敬世、永田雅、藤吉康志「1992年度日本気象学会秋季大会スペシャル・セッション「雪」の報告 (PDF) 」 『天気』第40巻第6号、日本気象学会、1993年6月、 pp.417-420、2012年12月3日閲覧。
  20. ^ Buffalo Lake Effect Page”. National Weather Service(アメリカ国立気象局 (2012年3月2日). 2012年12月24日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年12月3日閲覧。
  21. ^ Jeff Haby. “Lake effect forecasting”. theweatherprediction.com. 2012年12月3日閲覧。
  22. ^ “(風のまにまに 南会津雑記:4)只見のブナ原生林 自然首都の誇り 岡村健/福島県”. 朝日新聞デジタル(asahi.com) (朝日新聞社). (2008年5月23日). http://www.asahi.com/shimbun/nie/tenkai/kankyo4d.html 2012年5月26日閲覧。 
  23. ^ 岩槻邦男 (2003年5月26日). “世界自然遺産候補地に関する検討会について (PDF)”. (公式ウェブサイト). 世界自然遺産候補地に関する検討会. 2012年5月26日閲覧。
  24. ^ “(4)地域の暮らしと環境を活かした事例 新潟県安塚町 ~雪の活用と田舎体験~”. 平成15年度国土交通白書 (国土交通省総合政策局). (2004年7月). https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h15/hakusho/h16/html/F1012140.html 2019年2月6日閲覧。 
  25. ^ 『近畿農政局』の『農村振興』の『農業・農村の整備』の『管内国営事業(務)所のご案内』の『国営新湖北農業水利事業』の『湖北平野の自然』”. 2010年12月7日閲覧。
  26. ^ a b 越後上布 雪国で育まれた伝統の布”. 国際交流サービス協会. 2020年12月13日閲覧。
  27. ^ a b c 東北地方多雪・寒冷地設備設計要領”. 国土交通省東北地方整備局. 2017年9月9日閲覧。
  28. ^ a b 「雪」(ゆき)晩冬”. 季語と歳時記-きごさい歳時記. 季語と歳時記の会 (2011年3月14日). 2018年2月22日閲覧。
  29. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 日外アソシエーツ『季語・季題辞典』
  30. ^ 大澤水牛 (2012年). “雪(ゆき)”. 水牛歳時記. NPO法人双牛舎. 2018年2月22日閲覧。
  31. ^ a b c 日本大百科全書:ニッポニカ』「季語」
  32. ^ a b c d e f g 大辞林
  33. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 大辞泉
  34. ^ 大辞林 第三版 2481頁。
  35. ^ 大辞林 第三版 2726頁。
  36. ^ 鈴木牧之 編 『北越雪譜』〈岩波文庫〉1996年。  [要文献特定詳細情報]
  37. ^ 火星では夜に激しい雪が降る、研究成果”. ナショナル ジオグラフィック 日本語版. 2020年12月13日閲覧。






雪と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



雪のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの雪 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS