雪 雪と環境

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 04:02 UTC 版)

雪と環境

雪の保護色で合わせる生態は雪原に生きる動物の大きな特徴の一つである。そこには、白に紛れて生き延びようとする被食者と白に紛れて獲物に忍び寄ろうとする捕食者の関係が常にある。

自然環境

積雪が広がる地域を雪原といい、積雪が夏期の短期間のみ融け草本、蘚苔類地衣類が繁茂する地域をツンドラ(凍原)という。寒冷地の中でも、雪や氷で地表が覆われている地域を氷雪地帯と呼ぶ。南極大陸南極氷床やグリーンランドの氷床は厚く平均1,000m以上ある。

地形や建物を回り込む風が雪を集めたものを吹き溜まりと呼ぶ。雪が風に吹き寄せられてできる砂丘様の地形をスノーバルハン、雪面に現れる細かな風紋雪紋英語版や風雪紋[* 7]、強風が積雪を巻き付け円筒状になったものを雪まくりや雪俵と呼ぶことがある。

雪食作用英語版は雪渓や雪田でみられる積雪による侵食作用。雪解け水に満たされた表土がゆっくり斜面下方へと流動するジェリフラクション英語版によるもので、力が弱く氷食のように地面を削り取るほどではない[32]。しかし、傾斜地では頻繁に発生する雪崩などが山肌を削り取る作用が強く、形成される窪地を雪食地形という[33]。主に山岳地帯で谷底に融け残る雪を雪渓、尾根や山頂の風下に雪庇と呼ぶ。地域性のものでは、アンデスの高地でみられる尖った岩のような形で点々と並び残る雪(ペニテンテ)などもある。

窪地になった所で雪が融け残り形成される雪田英語版植物群落は、周囲が岩がちな荒地でも融雪水が豊富なため高山植物の草原となる[* 8][34]。本来亜高山帯針葉樹林が優勢な気候の本州の中部山岳地帯や東北地方では、大量の積雪に弱い針葉樹林が劣勢で、落葉広葉樹が代替する森林帯(偽高山帯)が広がる。

大量の積雪は樹木にのしかかって変形や倒伏を生じ、また光を遮り多湿が病害の原因となって、林業に被害を与える。ただ、雪の重みで根曲がりを起こしても幹を肥大成長させて適応する個体もあり、スギブナは強い傾向がある。立山杉は倒れて接地したところから根を出し世代交代する伏条更新が盛んである[35]


注釈

  1. ^ 例えば、イヌクティトゥット語版ウィキペディアでは「雪」の項目は「ᐊᐳᑦ/aput」=「雪(一般的用法)」というタイトルが付けられている。
  2. ^ en:2007 Siberian orange snow
  3. ^ 大気中における雪片の融解現象に関する研究 気象研究所技術報告第8号、1984年3月。2章p.19-p.20に輪島、松本、日光各地のデータに基づく相対湿度と地上気温を軸にとった雨雪判別図が、同章p.15に回帰分析によって得られた近似式が掲載されている。上に挙げた二式はともに松本のもの。
  4. ^ 日本の気象庁の場合、観測時に1.0mm/h未満・視程約1km以上で強度0、同1.0mm/h以上3.0mm/h未満・0.2km以上1km未満で強度1、同3.0mm/h以上・0.2km未満で強度2[26]
  5. ^ SYNOPSHIPなどに用いる96種天気。地上天気図#天気参照。
  6. ^ METARTAF
  7. ^ サスツルギ(ロシア語: Заструга)、シュカブラ(ノルウェー語: skovla)、snow ripplesとも。
  8. ^ 山岳用語としての雪田は、高山の稜線付近に夏まで融けずに残る雪を意味し、稜線上の山小屋には貴重な水源となっている。
  9. ^ 雪祭りは、現代では北海道の札幌市および旭川市長野県飯山市新潟県十日町市などで開催される。日本以外の地域の場合、「冬祭り」「氷祭り」「雪祭り」はあまり区別されていない。
  10. ^ 経済産業省北海道経済産業局『平成26年度北海道電力需給実績(確報)』「【表-1】総需要電力量(用途別・月別) (PDF) 」「【表-3】総発電電力量(事業用+自家用)実績 (PDF) 」(2016年6月14日)によれば、北海道の総需要電力量は、2014年(平成26年)8月は2,906,419千 kWhであるのに対して、2015年(平成27年)1月は3,776,733千 kWhであり、夏より冬のほうが電力需要が多いことが分かる。また、2014年8月の北海道の水力発電電力量は641,890千 kWhであるのに対し、2015年1月は319,457千 kWhであり、夏より冬のほうが水力発電電力量が少ないことが分かる。
  11. ^ ある主要な季語について別表現と位置付けされる季語を、親子の関係になぞらえて、親季語に対する「子季語」という。「傍題」ともいうが、傍題は本来「季題」の対義語である。なお、子季語の季節と分類は親季語に準ずる。

出典

  1. ^ 雪の研究室 - 北海道雪たんけん館”. 北海道雪たんけん館. 2014年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月6日閲覧。
  2. ^ a b c 気象観測の手引き』、2007年改訂、pp.58-65「第12章 天気」
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  4. ^ 王子製紙 (1938年). “紙業提要”. Google Books. 2013年9月23日閲覧。 [要ページ番号]
  5. ^ a b c d e f g h 「予報用語 降水」、気象庁、2023年1月24日閲覧
  6. ^ アメリカ・ニューヨーク州で観測された雪結晶” (PDF). 菊地 勝弘. 2019年2月9日閲覧。
  7. ^ 菊地 勝弘, 亀田 貴雄, 樋口 敬二, 山下 晃「中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類 -グローバル分類-」『雪氷』第74巻第3号、2012年5月、223-241頁。 
  8. ^ 小倉 2016, pp. 96–97.
  9. ^ 藤原滋水、青木輝夫「氷の色・雪の色」(PDF)『天気』第40巻第3号、日本気象学会、1993年3月、1-2頁、2012年12月3日閲覧 
  10. ^ 黄砂問題検討会中間報告書”. 大気環境・自動車対策 黄砂問題検討会報告書集. 環境省 (2004年9月). 2012年12月3日閲覧。 [要文献特定詳細情報]
  11. ^ Russia probes smelly orange snow”. BBC News (2007年2月2日). 2023年1月24日閲覧。
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  15. ^ a b Buffalo Lake Effect Page”. National Weather Service(アメリカ国立気象局 (2012年3月2日). 2012年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月3日閲覧。
  16. ^ 播磨屋敏生、松尾敬世、永田雅、藤吉康志「1992年度日本気象学会秋季大会スペシャル・セッション「雪」の報告」(PDF)『天気』第40巻第6号、日本気象学会、1993年6月、pp.417-420、2012年12月3日閲覧 
  17. ^ a b c 雪と氷の辞典、pp.65-68
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  20. ^ 第二部大気と海の科学 3-6 空気中の水蒸気 山賀進
  21. ^ 〜こんにちは!気象庁です!平成21年1月号〜[リンク切れ] 気象庁
  22. ^ 最新気象学のキホンがよ〜くわかる本[要ページ番号]
  23. ^ 『気象観測の手引き』、2007年改訂、pp.4-8「第2章 降水」
  24. ^ 気象観測ガイドブック』、気象庁、2002年12月、p.47
  25. ^ 国際式の天気記号と記入方式」、気象庁、2023年1月21日閲覧。
  26. ^ a b c 天気記号表”. 過去の気象データ検索 利用される方へ. 気象庁. 2023年1月24日閲覧。
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  30. ^ a b 雪(初雪)の観測は誰がどのように行っているのですか?」、福岡管区気象台『はれるんマガジン』36号、2022年12月27日、2023年1月24日閲覧
  31. ^ 雪に関する予報と気象情報について」気象庁、気象等の情報に関する講習会、2012年12月7日、2023年1月24日閲覧
  32. ^ "雪食作用". 『日本大百科全書』、小学館. コトバンクより2023年1月24日閲覧
  33. ^ “(風のまにまに 南会津雑記:4)只見のブナ原生林 自然首都の誇り 岡村健/福島県”. 朝日新聞デジタル(asahi.com) (朝日新聞社). (2008年5月23日). http://www.asahi.com/shimbun/nie/tenkai/kankyo4d.html 2012年5月26日閲覧。 
  34. ^ "雪田植物群落". 『世界大百科事典』第2版、平凡社. コトバンクより2023年1月24日閲覧
  35. ^ 小野寺弘道、「樹木と環境 第1回 雪と樹木」、『樹木医学研究』15巻、2号、2011年 doi:10.18938/treeforesthealth.15.2_57
  36. ^ “(4)地域の暮らしと環境を活かした事例 新潟県安塚町 ~雪の活用と田舎体験~”. 平成15年度国土交通白書 (国土交通省総合政策局). (2004年7月). https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h15/hakusho/h16/html/F1012140.html 2019年2月6日閲覧。 
  37. ^ 『近畿農政局』の『農村振興』の『農業・農村の整備』の『管内国営事業(務)所のご案内』の『国営新湖北農業水利事業』の『湖北平野の自然』”. 2010年12月7日閲覧。
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  42. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 日外アソシエーツ『季語・季題辞典』
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  46. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 大辞泉
  47. ^ 大辞林 第三版 2481頁。
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  49. ^ 鈴木牧之 編『北越雪譜』〈岩波文庫〉1996年。  [要文献特定詳細情報]
  50. ^ 火星では夜に激しい雪が降る、研究成果”. ナショナル ジオグラフィック 日本語版. 2020年12月13日閲覧。






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