雪 概説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 07:08 UTC 版)

概説

雪の降る様子

数種類ある降水現象の1つである。固体)の形態としての降水は雪だけではなく、(あられ)、ほかに(ひょう)、凍雨(とうう)、細氷(さいひょう=ダイヤモンドダスト)がある。なお、(みぞれ)はと雪が混在して降る天気をいう[2]

雪および細氷は「氷の結晶」、凍雨は「氷の粒」という違いがある。また霰・雹・凍雨は、いずれも雪片が落下するまでの間に融解凝固(凍結)を経ることで生成されるため、雪片では微細な規則性のある結晶構造が発達し密度が比較的低い(空気を多く含む)のに比べ、霰・雹・凍雨の粒は規則性のない結晶から構成され密度が高い(空気をあまり含まない)という違いがある。そして、雪は「(浮遊する濃密な雪片の塊である)雲から落下してくる」のに対して、細氷は「晴れた空から(地表付近で水蒸気が昇華して生成され)落下してくる、氷の微小な結晶」という違いがある。細氷の大きさはふつう直径30 - 200 μm程度であり、雪に比べて非常に小さい[2]

雪の天気記号(日本式)
降り積もった雪
平賀学園台に降った雪

「天気」としての雪は使用する場面によって、他の現象を含んだり、さらに細かく分類されたりする。気象庁が観測・記録する際の15種天気では、「雪」に細氷が含まれる[3]。また、国内気象通報日本式天気図における21種天気では[4]、細氷を含めた上で、雪は強さと降り方により区分され、降ったり止んだりで強度変化の激しいものを「にわか雪驟雪)」、1時間降水量3mm以上を「雪強し」、1時間降水量3mm未満を「雪」とする。さらに、雪片の大きさにより区分する場合があり、雪片の直径が1mm未満のものを「霧雪」、1mm以上のものを「雪」とする[5]。切片の大きさによる区分は国際的に統一されており、国際気象通報式(96種天気)で用いられる。

天気予報の予報文では、凍雨雪あられ(雪が凝集した白い霰)は雪、氷あられ(半透明・透明な霰)はとして扱う。ただし予報と観測では分類が異なり、実際に凍雨や雪あられが降った場合でも、観測上は雪が降ったとはされない。また、暴風雪豪雪、大雪、小雪にわか雪などは、気象庁により予報用語として定義されている[6]

また、各地の気候を見る資料の1つとして、その初めての雪(初雪)やその冬最後の雪(終雪)を記録しているところがある。日本では現在気象庁が有人気象観測点や雨雪判別機能付き自動気象観測装置設置点で記録をとっている。この場合には、霙も雪に含めて考える。さらに気象庁は、各地の気象台から主要な山の積雪を目視で観測しており初冠雪として記録している[6]

ふつう、ある時点における積雪の深さを積雪量や積雪深(積雪の深さ)といい、雪尺(ものさし)や積雪計により観測する。また、一定時間に積もった雪の量を降雪量や降雪の深さという。降雪の量を液体に換算することも行われており、雪を溶かして降水量として観測する[6]

空から降る雪片の形や大きさはさまざまであり、直径1cmに満たないような小さなものを「粉雪」、綿状に集まったものを花のボタンになぞらえて「牡丹雪、ぼたん雪」(略して「ぼた雪」とも)などと呼ぶ[1]後述参照)。こうした違いは雪が成長してくる過程で生じるもので、気温や湿度などに大きく左右される。


注釈

  1. ^ 例えば、イヌクティトゥット語版ウィキペディアでは「雪」の項目は「ᐊᐳᑦ/aput」=「雪(一般的用法)」というタイトルが付けられている。
  2. ^ 大気中における雪片の融解現象に関する研究 気象研究所技術報告第8号、1984年3月。2章p.19-p.20に輪島、松本、日光各地のデータに基づく相対湿度と地上気温を軸にとった雨雪判別図が、同章p.15に回帰分析によって得られた近似式が掲載されている。上に挙げた二式はともに松本のもの。
  3. ^ 雪祭りは、現代では北海道の札幌市および旭川市長野県飯山市新潟県十日町市などで開催される。日本以外の地域の場合、「冬祭り」「氷祭り」「雪祭り」はあまり区別されていない。
  4. ^ 経済産業省北海道経済産業局『平成26年度北海道電力需給実績(確報)』「【表-1】総需要電力量(用途別・月別) (PDF) 」「【表-3】総発電電力量(事業用+自家用)実績 (PDF) 」(2016年6月14日)によれば、北海道の総需要電力量は、2014年(平成26年)8月は2,906,419千 kWhであるのに対して、2015年(平成27年)1月は3,776,733千 kWhであり、夏より冬のほうが電力需要が多いことが分かる。また、2014年8月の北海道の水力発電電力量は641,890千 kWhであるのに対し、2015年1月は319,457千 kWhであり、夏より冬のほうが水力発電電力量が少ないことが分かる。
  5. ^ ある主要な季語について別表現と位置付けされる季語を、親子の関係になぞらえて、親季語に対する「子季語」という。「傍題」ともいうが、傍題は本来「季題」の対義語である。なお、子季語の季節と分類は親季語に準ずる。

出典

  1. ^ a b 雪の研究室 - 北海道雪たんけん館”. 北海道雪たんけん館. 2014年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月6日閲覧。
  2. ^ a b 気象庁(1998年)『気象観測の手引き]』
  3. ^ 天気記号表”. 過去の気象データ検索 利用される方へ. 気象庁. 2012年12月2日閲覧。
  4. ^ 天気図の記号って何種類あるのですか? それと、どんなのがあるのですか?”. はれるんライブラリー 質問一覧. 気象庁. 2012年12月2日閲覧。 天気図記号の例 (PDF)”. 2012年12月2日閲覧。
  5. ^ snow grains AMS Glossaly
  6. ^ a b c d e f 気象庁 予報用語 降水
  7. ^ アスピリンスノーとは”. 北海道方言辞書. Weblio 辞書. 2017年7月11日閲覧。
  8. ^ 王子製紙 (1938年). “紙業提要”. Google Books. 2013年9月23日閲覧。 [要ページ番号]
  9. ^ アメリカ・ニューヨーク州で観測された雪結晶 (PDF)”. 菊地 勝弘. 2019年2月9日閲覧。
  10. ^ 菊地 勝弘, 亀田 貴雄, 樋口 敬二, 山下 晃「中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類 -グローバル分類-」『雪氷』第74巻第3号、2012年5月、 223-241頁。
  11. ^ 小倉 2016, pp. 96–97.
  12. ^ 藤原滋水、青木輝夫「氷の色・雪の色 (PDF) 」 『天気』第40巻第3号、日本気象学会、1993年3月、 1-2頁、2012年12月3日閲覧。
  13. ^ 黄砂問題検討会中間報告書”. 大気環境・自動車対策 黄砂問題検討会報告書集. 環境省 (2004年9月). 2012年12月3日閲覧。 [要文献特定詳細情報]
  14. ^ Russia probes smelly orange snow』BBC News, 2007年2月2日
  15. ^ 第二部大気と海の科学 3-6 空気中の水蒸気 山賀進
  16. ^ 〜こんにちは!気象庁です!平成21年1月号〜[リンク切れ] 気象庁
  17. ^ 最新気象学のキホンがよ〜くわかる本[要ページ番号]
  18. ^ 雨や雪について”. よくある質問集. 気象庁. 2016年2月23日閲覧。
  19. ^ 播磨屋敏生、松尾敬世、永田雅、藤吉康志「1992年度日本気象学会秋季大会スペシャル・セッション「雪」の報告 (PDF) 」 『天気』第40巻第6号、日本気象学会、1993年6月、 pp.417-420、2012年12月3日閲覧。
  20. ^ Buffalo Lake Effect Page”. National Weather Service(アメリカ国立気象局 (2012年3月2日). 2012年12月24日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年12月3日閲覧。
  21. ^ Jeff Haby. “Lake effect forecasting”. theweatherprediction.com. 2012年12月3日閲覧。
  22. ^ “(風のまにまに 南会津雑記:4)只見のブナ原生林 自然首都の誇り 岡村健/福島県”. 朝日新聞デジタル(asahi.com) (朝日新聞社). (2008年5月23日). http://www.asahi.com/shimbun/nie/tenkai/kankyo4d.html 2012年5月26日閲覧。 
  23. ^ 岩槻邦男 (2003年5月26日). “世界自然遺産候補地に関する検討会について (PDF)”. (公式ウェブサイト). 世界自然遺産候補地に関する検討会. 2012年5月26日閲覧。
  24. ^ “(4)地域の暮らしと環境を活かした事例 新潟県安塚町 ~雪の活用と田舎体験~”. 平成15年度国土交通白書 (国土交通省総合政策局). (2004年7月). https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h15/hakusho/h16/html/F1012140.html 2019年2月6日閲覧。 
  25. ^ 『近畿農政局』の『農村振興』の『農業・農村の整備』の『管内国営事業(務)所のご案内』の『国営新湖北農業水利事業』の『湖北平野の自然』”. 2010年12月7日閲覧。
  26. ^ a b 越後上布 雪国で育まれた伝統の布”. 国際交流サービス協会. 2020年12月13日閲覧。
  27. ^ a b c 東北地方多雪・寒冷地設備設計要領”. 国土交通省東北地方整備局. 2017年9月9日閲覧。
  28. ^ a b 「雪」(ゆき)晩冬”. 季語と歳時記-きごさい歳時記. 季語と歳時記の会 (2011年3月14日). 2018年2月22日閲覧。
  29. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 日外アソシエーツ『季語・季題辞典』
  30. ^ 大澤水牛 (2012年). “雪(ゆき)”. 水牛歳時記. NPO法人双牛舎. 2018年2月22日閲覧。
  31. ^ a b c 日本大百科全書:ニッポニカ』「季語」
  32. ^ a b c d e f g 大辞林
  33. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 大辞泉
  34. ^ 大辞林 第三版 2481頁。
  35. ^ 大辞林 第三版 2726頁。
  36. ^ 『北越雪譜』鈴木牧之編撰〈岩波文庫〉、1996年。 [要文献特定詳細情報]
  37. ^ 火星では夜に激しい雪が降る、研究成果”. ナショナル ジオグラフィック 日本語版. 2020年12月13日閲覧。






雪と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



雪のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの雪 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS