雪崩 雪崩と戦争

雪崩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/18 09:53 UTC 版)

雪崩と戦争

古くは紀元前218年カルタゴの勇将ハンニバル率いるカルタゴ軍が、アルプス越えの際に雪崩の襲来で多数の死者を出したことが知られている[21]

第一次世界大戦当時、イタリア陸軍は冬のアルプス山脈を超えて進軍してくるオーストリア軍を迎え撃つにあたり、オーストリア軍が尾根を越えて下りに入ったところで背後を狙って砲撃し、着弾時の衝撃で雪崩を起こしこれに巻き込んで敵を生き埋めにする作戦をとった[21]。また軍事作戦の都合が全てにおいて優先された結果、雪崩の頻発地帯においても部隊が配備され、行軍や陣地の設営などが行われたため、第一次大戦中、雪崩による死者は両軍で4万~5万人、一説には8万人にのぼるともいわれる[21][22]

これ以降、オーストリアスイスでは、雪崩を軍事技術として重視した。特にスイスは空軍に「雪崩部隊」を創設し、冬になると雪崩起こしの猛訓練に励んだという。このため、第二次大戦中、ヒトラーもスイス侵攻を諦めたという[21]

現在ではこうした経験が生かされ、この縮小版として、携帯式の小型火器を雪崩の起き易い場所に定期的に撃ち込んで人為的に小さな雪崩を発生させ、大きな雪崩を防いでいる[23]

雪崩と地形

雪崩多発地帯では、アバランチシュートといわれるU字谷に似た凹地を形成する。

雪崩と植生

雪崩の頻度によって撹乱の度合いが変わることで、植生自体が変わることがある。亜高山帯では、年に数十回雪崩が起こると裸地、年に数回だと草原、数年に一回だとダケカンバやナナカマドなどの低木、数十年に一回だと低木とオオシラビソとの混交林で、殆ど起こらない所ではオオシラビソの純林の植生となる。土壌などを考慮する必要もあるが、植生によって雪崩多発地帯をある程度判別することが可能である[24]

雪崩を利用した表現

  • なだれ込む
  • なだれ落ちる
  • なだれを打つ



  1. ^ 中川達也, 荒木孝宏, 三輪賢志, 石井靖雄, 小川紀一朗, 千葉達朗, 佐野寿聰. “富士山周辺で発生するスラッシュ雪崩の発生条件の検討”. 砂防学会. doi:10.11475/sabo.62.2_56. 2018年3月10日閲覧。
  2. ^ 警報・注意報の種類”. 気象庁. 2012年12月5日閲覧。
  3. ^ 若濱五郎 (1995)、46頁
  4. ^ a b 若濱五郎 (1995)、47頁
  5. ^ 池田 慎二 「ガラガラ沢雪崩事故調査報告」日本雪氷学会誌『雪氷』64巻 (2002) 1号 p. 33-37
  6. ^ 『OBSERVATION GUIDELINES. AND RECORDING STANDARDS. FOR WEATHER, SNOWPACK. AND AVALANCHES』(カナダ雪崩協会)
  7. ^ a b Avalanche Radar Zermatt”. 2017年10月23日閲覧。
  8. ^ Markus Falk; Hermann Brugger; Liselotte Adler-Kastner (1994). “Avalanche survival chances”. Nature 368: 21. doi:10.1038/368021a0. 
  9. ^ 阿部幹雄 (2003)、37頁 - ある機種の場合、条件の良い場合で、発信源から20-30メートルまで接近しないと音が鳴らない。
  10. ^ 阿部幹雄 (2003)、37-39頁
  11. ^ http://outside.away.com/outside/magazine/200002/200002ava_whitedeath7.html[リンク切れ]
  12. ^ "I Was an Avalanche Test Dummy"[リンク切れ], Lindsay Yaw, Outside, accessed 9/26/08
  13. ^ (2009) Atkins, D. History 101: Avalanche cords. The Avalanche Review vol. 27, no. 3, February 2009.
  14. ^ Canadian avalanche centre: Obsolete gear (archived version of 2014-07-23)
  15. ^ Tremper, Bruce. "Staying Alive in Avalanche Terrain". The Mountaineers Books. 2011 978-1-59485-084-4
  16. ^ 『河川便覧』(平成16年度版)による
  17. ^ 『勝山市史 第一巻 風土と歴史』 勝山市、1969年、p53、p749。
  18. ^ アフガニスタンで雪崩、少なくとも45人死亡”. ロイター通信 (2012年3月12日). 2018年3月22日閲覧。
  19. ^ 生々しい雪崩の爪あと、死者280人超のアフガン被災地”. AFP (2015年3月5日). 2018年3月22日閲覧。
  20. ^ 大雪に見舞われたアフガン、雪崩などによる死者191人に”. AFP (2017年2月11日). 2018年3月22日閲覧。
  21. ^ a b c d 若濱五郎 (1995)、45頁
  22. ^ 新田隆三(1986):雪崩の世界,古今書院.
  23. ^ 若濱五郎 (1995)、45-46頁
  24. ^ 小笠原和夫、「北アルプス黒部峡谷の雪崩」 『雪氷』 1965年 27巻 6号 p 143-153, doi:10.5331/seppyo.27.143, 日本雪氷学会





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