雇用保険 沿革

雇用保険

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/05 10:05 UTC 版)

沿革

  • 1947年昭和22年)- 失業者の生活の安定を目的として、「失業保険法」(昭和22年法律第146号)が制定される。その中で、失業保険制度が創設される。
  • 1974年(昭和49年)- 失業者の生活の安定、および三事業(雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業)を目的として、「雇用保険法」(昭和49年法律第116号)が制定され、失業保険法は廃止された。失業保険制度に代わって雇用保険制度が創設される。労働保険の保険料の徴収等に関する法律が制定され、保険料の徴収手続きが労災保険と一本化された。
  • 1977年(昭和52年)- 雇用安定事業が規定され、三事業は四事業となった。
  • 1989年平成元年)- 雇用改善事業が雇用安定事業に統合され、四事業は再び三事業となった。
  • 1994年(平成6年)- ⾼年齢雇⽤継続給付の創設、育児休業給付制度の創設。
  • 1998年(平成10年)- 教育訓練給付制度の創設、介護休業給付制度の創設。
  • 2003年(平成15年)- 就職促進⼿当の創設、通常労働者と短時間労働者の給付内容の⼀本化。
  • 2007年(平成19年)- 雇用福祉事業が廃止され、三事業は二事業となった[33]。被保険者および受給資格要件の一本化(短時間被保険者という区分を無くし、一般被保険者に一本化)。
  • 2010年(平成22年)- 船員保険の失業部門を切り離し、雇用保険に統合。

諸外国との比較

失業手当を受給できない失業者の割合
2009年3月24日国際労働機関より発表された、リーマンショックを発端とする世界経済危機が雇用に与えた影響についての調査報告書によると、日本における失業手当(雇用保険制度における基本手当のこと。以下、同様)を受給できない失業者の割合は77%である。経済危機の発端となったアメリカ合衆国は57%、カナダもアメリカと同水準の57%、イギリスは40%、フランスは18%、ドイツは13%であり、日本の77%という割合は先進国の中でも最悪の水準かつアメリカやカナダをも大きく上回る結果となった[34]
日本が他の先進国よりも飛びぬけて失業手当が受給できない失業者の割合が高くなった理由として、失業手当受給の要件が他国よりも厳しいことが挙げられる(国際労働機関の報告書では、失業手当を受給できない失業者の割合が半数を超えた日本、アメリカ、カナダの3国について、失業手当受給要件の厳しさを指摘している)。これに加え、近年急激に増加した派遣社員契約社員などの非正規労働者において、失業手当を受給するために必要である1年以上の保険料納付期間が満たせない者が非常に多いことも原因と見られている[34]
なお、失業手当を受け取れない失業者の人数は、アメリカが最多の630万人、日本は210万人、イギリスは80万人、カナダは70万人、フランスは40万人、ドイツも40万人であり、日本とアメリカが突出して多い[34]
給付期間
各国との比較において日本の失業給付期間は比較的短期となる。また失業率と給付期間の因果関係についても、給付期間の長い国ほど失業率が高い傾向があり、給付期間が短期なほど失業率が押し下げられる傾向が顕著となる。[35][36][37]
  • オランダ
    前職の直近2か月の70%の給与に相当する額を受給できるが、上限は3128ユーロとなる。給付期間は38か月が上限とされる。
  • ドイツ
    50〜54歳の労働者は15か月の給付、55〜57歳は18か月、58歳以上は24か月の給付期間となる。50歳以下では12か月が上限となる。
  • フランス
    2009年以降の上限給付は6,900ユーロ/月である。[38] 受給資格者は直近12か月の前職給料の57.4%を受け取ることができる。[39]フランスにおける平均給付期間は291日である。
  • スペイン
    給付期間は過去6年間の保険納付料期間で異なり、6年間納付していた場合の給付期間は720日(おおよそ2年間)となる。保護世帯もちの場合は給付額は法定標準賃金の7割となり、半年後から6割に減額される。[40]
  • アメリカ
    一般的には前職賃金の40-50%に相当する金額が州政府の税収から支払われる[41]。標準的な給付期間は6か月とされるが、2009年2月に制定された2009年アメリカ復興・再投資法において、失業者は最大で99週間まで失業給付を受けられるとされるが、各州政府によって詳細は異なるとされる。



  1. ^ 有斐閣「現代社会福祉事典」雇用保険法の項目
  2. ^ 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 2条1項
  3. ^ 雇用保険法上は労働者の定義はなされていないが、行政手引によれば「事業主に雇用され、事業主から支給される賃金によって生活している者、及び事業主に雇用されることによって生活しようとする者であって現在その意に反して就業することができないものをいう」とされる。これを解釈すれば、「労働組合法第3条でいう労働者と同義である」とされる(福岡高判平成24年2月28日等)。
  4. ^ 行政手引によれば「雇用関係とは、民法第623条の規定による雇用関係のみでなく、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係をいう。」とされる。
  5. ^ ここでいう「その事業に使用される労働者の2分の1」とは、その事業において使用される労働者総数の2分の1以上の者ではなく、その事業が任意加入の認可を受けて適用事業となっても被保険者とならない労働者を除いた労働者の2分の1以上の者をいうものである。この場合、被保険者となるべき者であるかどうかの判断は、任意加入申請書が提出された際に行う。労災保険とは異なり、雇用保険では任意加入すれば労働者に保険料の負担が発生するための取り扱いである。
  6. ^ 労働力調査(基本集計) 全国 年次 2019年 (Report). 総務省統計局. (2019-01-31). 基本集計 第II-10表. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200531&tstat=000000110001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000001040276&tclass2=000001040283&tclass3=000001040284&result_back=1. 
  7. ^ 監査役は使用人を兼ねることはできないとされるが(会社法第335条)、名目的に就任してるにすぎず、常態的に従業員として事業主との間に明確な雇用関係があると認められる場合には被保険者となることができる。
  8. ^ この場合、公共職業安定所へ雇用の実態を確認できる書類等の提出が必要となる。
  9. ^ 昭和27年2月5日旧労働省通達「宗教法人又は宗教団体の事業又は事務所に対する労働基準法の適用について」
  10. ^ この場合、出向元は被保険者資格喪失届(資格喪失の原因は「離職以外の理由」となる)、出向先は被保険者資格取得届の提出が必要である。
  11. ^ 被保険者証の汚損・滅失による再発行は、所轄ハローワークでなくても、全国どのハローワークでも可能である。
  12. ^ 離職票の汚損・滅失による再発行は、被保険者証の場合と異なり、当該離職票を交付したハローワークでないと行えない(施行規則第17条4項)。
  13. ^ 平成29年4月から雇用保険料率が引き下がります厚生労働省
  14. ^ 1.55%-0.4%-0.05%-0.2%
  15. ^ 1.75%-0.4%-0.05%-0.2%
  16. ^ 1.85%-0.4%-0.05%-0.2%
  17. ^ 平成19年度から平成28年度までは「それぞれの100分の55とする」暫定措置がなされてきたが(附則第13条)、国庫負担については引き続き検討を行い、平成32年度以降できるだけ速やかに安定した財源を確保したうえで、暫定措置を廃止するものとされる。
  18. ^ 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(厚生労働省)
  19. ^ この取り扱いにより、一般的には、会社側は会社都合で解雇すると雇い入れ関係助成金が受けられなくなるので、会社都合退職であっても会社側は労働者の自己都合退職にしたがる。サービス残業が多い場合はタイムカードのコピーを取っておいたり、退職を強要された場合には人事担当者の発言を録音するなど、ハローワークに申し出るに際しては記録を残しておくことが肝要である。
  20. ^ かっては、「社会的事情により就職が著しく阻害されている者」の中に、いわゆる「同和地区出身者(35歳以上で高等学校卒業以下の学歴であり、大企業の正社員として勤務したことがない者に限る)」が含まれていた。2001年4月に行われた国の同和対策の転換(「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地対財特法)の失効)により、国は社会全体に対する啓発である「一般対策」としての同和対策を行うものとされ、同和地区出身者に対して個別に優遇措置を適用すること(「特定対策」)は全廃されるに至っている。この方針を受けて、現在では単に「同和地区出身者」という理由だけでは「就職困難者」とは認められない。
  21. ^ 4週間目の日が国民の祝日年末年始など官公庁の休庁日に当たる場合、求人、求職の状況、ハローワークの事務量等を勘案して適宜前後にずらされる。
  22. ^ そのため、ほとんどのハローワークで、当初より本人名義の金融機関口座の通帳と印鑑の持参を求めている。
  23. ^ ただし、ハローワークの閉庁日(土・日・祝日、年末年始)の前日に就職の届出を行った者が、閉庁日または閉庁日の翌日に就職する場合に限って例外的に郵送による失業認定が可能である。
  24. ^ a b 所定給付日数内での就職率を見た場合、この年齢層について、他の層と比べて低くなっていることから、平成29年4月の改正で所定給付日数が拡充された。
  25. ^ 1か月は28日として計算する。したがって、4か月以上というのは85日以上のことである。
  26. ^ 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について - 厚生労働省
  27. ^ 訓練延長給付を受けている受給資格者については、再就職の見込みを立てた上で公共職業安定所長の受講指示に基づき、具体的な就職支援として必要な職業訓練等を実施している者であることから、個別延長給付の対象者に該当しない。
  28. ^ 待期期間が経過する前に保育等サービスの利用を開始した場合は、待期期間が経過した後の保育等サービスの利用分のみ支給対象となる。
  29. ^ 同一の事業主に継続雇用される場合のほか、離職して基本手当を受給せずに再就職する場合を含む。
  30. ^ 他の給付を受けて基本手当が支給されたとみなされる場合を含む。
  31. ^ 「子」は法律上の子であればよく、実子であるか養子であるかを問わない。また特別養子縁組を成立させるために監護している者を含む。平成29年1月からは、里親である被保険者に養育されている子も含む。
  32. ^ 厚生労働省は、二事業に関する処分は行政不服審査法上の不服申立ての対象とはならず、処分に不服がある場合は行政事件訴訟法に基づき直接、処分の取消訴訟を提起することになる、との立場をとっている。
  33. ^ 雇用福祉事業(具体的には勤労者福祉施設雇用促進住宅等。改正前の第64条)は「保険料の無駄遣い」等の強い批判があり廃止された。
  34. ^ a b c 失業手当:日本、不受給77% 先進国中最悪の水準-ILO報告 - 毎日新聞 2009年3月25日配信 東京夕刊掲載(NPO法人仙台夜まわりグループのブログより)
  35. ^ http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2010/12/labour_markets
  36. ^ http://www.reuters.com/article/2013/12/03/us-usa-economy-joblessbenefits-idUSBRE9B20XA20131203
  37. ^ http://ftp.iza.org/dp3570.pdf
  38. ^ http://www.pole-emploi.fr/candidat/le-montant-de-votre-allocation-@/suarticle.jspz?id=4125
  39. ^ http://entreprise.lefigaro.fr/chomeurs-unedic.html
  40. ^ importe maximo desempleo 2012
  41. ^ Krugman, Paul (2013年12月8日). “The Punishment Cure”. New York Times. http://www.nytimes.com/2013/12/09/opinion/krugman-the-punishment-cure.html?partner=rssnyt&emc=rss&_r=0 2013年12月10日閲覧。 






雇用保険と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「雇用保険」の関連用語

雇用保険のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



雇用保険のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの雇用保険 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS