隕石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 01:20 UTC 版)
発見時に行う手続き
隕石は落下時に、地球の重力によって激しく分解され、大気との断熱圧縮で激しく発熱する。このとき隕石表面が融け、溶融殻 (Fusion crust) が出来る。しかし、一般に隕石かどうかの判定は専門家でないと困難である。また、落下直後ならば見つけやすい。屋根を突き破って落ちてきたり、木の枝が折れていて下に見慣れない岩石があったときは隕石である可能性が高い。また、火球が観測された翌朝に発見されることも多い。
しかし、実際に隕石が発見されるのは極めて稀である。山中や川原などで隕石のように見える石を見つけても、ほとんどは地球上に存在する鉱物、岩石、もしくは鉄鉱石を人間が加工した人工物である。いずれにしても鑑定するには大学の研究室やそれに類する研究機関に送付する必要がある。実際の鑑定としては、落下直後ならば、隕石中に含まれる放射性核種の壊変(崩壊)に伴う放射線の測定、また、酸素同位体測定、希ガス同位体測定などの同位体比測定を用いる。しかし、これらの測定は破壊分析のため用いる試料が微量(数マイクログラムから数ミリグラム)必要となる。隕石は大気圏突入前まで宇宙線に曝されているため、エネルギーの高い宇宙線による隕石構成元素の核破砕反応によって26Alなどさまざまな核種が生成される。これらには当然放射性核種も含まれる。中には極めて短寿命の放射性核種も存在するため、落下直後(数時間以内)に測定を行うことは、核宇宙化学にとって非常に重要である。
隕石と称して岩石を売る業者(国内外問わず)があるが、本物である可能性は極めて低い。これも鑑定が困難なことに起因している。
日本では、一般に、最初に拾い上げた人物が所有権を主張することができるとされる。ただし、私有地において見つけた(拾い上げた)場合、地面にめり込んでいるかいないかで所有権が分かれ、埋まっている場合は、土地の所有者の物とされ、埋まっていない場合、拾い主に権利がある。土地の所有者が真剣に所有権を主張した場合、この限りではない。また、同じく建物にめり込んだ場合は建物の所有者が権利を主張できる[14]。
隕石や化石の国外への持ち出しを禁じている国もある。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m 平凡社『世界大百科事典』1988年版 vol.2, p.42 「隕石」。武田弘 + 村田定男 執筆
- ^ a b c d 培風館『物理学辞典』1992、 p.108 「隕石」
- ^ リチャード・ノートン著、江口あとか訳 『隕石コレクター 鉱物学、岩石学、天文学が解き明かす「宇宙からの石」』 築地書館、2007年 4ページ
- ^ 渡部潤一他編『シリーズ現代の天文学9 太陽系と惑星』日本評論社、2008年、p.140, p.163-164ISBN 978-4-535-60729-3
- ^ 漢書 : 卷八十五·谷永杜鄴傳第五十五 - 中國哲學書電子化計劃
- ^ ヨシュア記(口語訳)#10:11
- ^ Brown and Patterson, J. Geol. 56, 87, 1948.
- ^ “宝くじより高い? 隕石に当たって死亡する確率”. ナショナルジオグラフィック. (2016年2月15日) 2020年2月16日閲覧。
- ^ “「隕石で死亡」190年ぶり不運 インド南部、宇宙ごみの可能性も”. サンケイビズ. (2016年2月11日) 2020年2月16日閲覧。
- ^ a b c d e f “ロシア隕石落下の衝撃”. 東京海上日動リスクコンサルティング. (2013年4月3日) 2016年2月10日閲覧。
- ^ 国立科学博物館 南丹隕石
- ^ エンシスハイム隕石画像 (JPG)
- ^ a b c d “GUIDELINES FOR METEORITE NOMENCLATURE”. THE METEORITICAL SOCIETY. pp. 4-6. 2020年6月23日閲覧。
- ^ 火球の一部「習志野隕石」は誰のもの? 千葉のマンションで発見、億で取引事例も 弁護士ドットコム 2020年7月24日閲覧
- ^ 日本天文史料〈下〉. 原書房. (1935年, 1978年 復刻)
- ^ “上海税関、虚偽申告の隕石850キロ超を押収”. AFP (2019年9月8日). 2019年9月28日閲覧。
- 1 隕石とは
- 2 隕石の概要
- 3 分類
- 4 有史以降の主な被害
- 5 発見時に行う手続き
- 6 地名・伝承との関連
- 7 密輸
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