阿呆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/13 04:08 UTC 版)
語源
中国・江南地方の方言「阿呆(アータイ)」が日明貿易で京都に伝わった可能性が指摘されている[4]。これは上海や蘇州、杭州などで現在も使われている言葉で、「呆」は日本語の「呆ける」にもあるようにぼんやりした様子、「阿」は中国語の南方方言で親しみを表す接頭語(日本語における「~ちゃん」「~さん」)であり、言葉としての意味は「おバカさん」程度の軽いニュアンスとなる[4]。これは現代日本語の「阿呆」にも近い。
なお現代中国語では、「呆」は慣用により「dāi」と発音する。
語源の一説として
- 秦代の大宮殿・阿房宮(あぼうきゅう)が、不必要・無駄に大きすぎるというイメージからとする説
- 『三国志』や『三国志演義』における劉備の子・劉禅(蜀の2代皇帝)の暗君のイメージから、その幼名の「阿斗」に由来するとする説
などがあるが、ともに信憑性は乏しい。
日本における歴史
日本の文献における初出は、13世紀に書かれた鴨長明の『発心集』の第8巻にある「臨終にさまざま罪ふかき相どもあらはれて彼のあはうのと云ひてぞ終わりける」であるとされている。
しかし『全国アホ・バカ分布考』で著者の松本修は、方言の分布状況から考察するに「阿呆」はもっと新しい言葉だとみており、『発心集』の記述を疑問視している[5][6]。これ以外の点からも『発心集』の第7巻、第8巻を後世の増補版と指摘する研究がある。
次に文献に現れるのは、3世紀後の戦国時代に書かれた『詩学大成抄』になる[7]。現存する写本では「アハウ」という言葉の左側に傍線が引かれているが、これは元々この言葉が漢語だったことを意味する表現であり、中国語語源説を補強するものとなっている[8]。
脚注
阿呆と同じ種類の言葉
品詞の分類
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