鋼 強化法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/18 00:48 UTC 版)

強化法

一般に、金属材料の降伏強さを向上するためのメカニズムには、大別して「固溶強化」「析出強化」「転位強化」「結晶粒微細化強化」の4つが存在する[11][12]。これらの機構を適用して、鋼の強化も行われる[11]塑性変形は結晶中の転位の動きによって起こる[12]。4つの強化機構は、いずれも転位の動きやすさを低下させるように働き、それによって鋼を強化させる[11]

鋼の種類

鋼の特長は、まず鉄に軽微な合金化を行うことにより強靭な固体材料を生成できること、資源が豊富であり酸素との親和性が比較的低いため安価に精錬ができることにある。別元素の固溶限が大きく合金化しやすいため、多様な鋼種が開発されてきた。

ケイ素 (Si) を添加した電磁鋼、ニッケル (Ni) やマンガン (Mn) を添加した非磁性鋼、クロム (Cr) やニッケル (Ni) を添加したステンレス鋼など、さらに工具鋼高速度鋼など、さまざまな用途に適した鋼種がある。

鉄鋼材料は各観点からいろいろな名前で呼ばれ、分類法によっては同じものが別の名前で呼ばれることがある。 鋼はその用途ごとに鋼種の改良が進んできた。例えばJISの分類も、などの合金が比較的成分の系列にしたがって命名されているのに比べ、用途や製法、強度区分、炭素量を示すものなどがあり、解りにくいものになっている。

例えばS45Cという鋼種は炭素量0.45%の鋼をいい、SUJ(軸受鋼)は、ボールベアリングの内外輪に使われる鋼種であるということを示す。

さらに、各国の規格において鋼種の呼称が異なっている。例えば

  • S45C (JIS)、1045、(SAE/AISI)、C45 (DIN)
  • SKH10 (JIS)、T15 (AISI/ASTM)、S12-1-4-5 (DIN) である。

成分からの分類

鉄鋼は大きく分けて、鉄と微量の炭素による合金である炭素鋼(普通鋼)と、それ以外の金属との合金である合金鋼(特殊鋼)に二分される。普通鋼の名の通り、古来から製造使用されてきた鋼は炭素鋼に分類される。これに対し、炭素鋼を基本として一種または数種類の金属を添加し性質を改善したものが合金鋼であり、普通鋼に対して特殊鋼の名で呼ばれている。特殊鋼は添加する金属によって、ニッケルクロム鋼ニッケルクロムモリブデン鋼クロム鋼クロムモリブデン鋼、マンガン鋼など様々な種類が存在する。

炭素鋼と合金鋼は、成分からの分類では、以下のようにさらに細かく分類できる。

  • 炭素鋼(JIS記号:S○○C)
    • 低炭素鋼(炭素含有量が約0.3%以下)
    • 中炭素鋼(炭素含有量が約0.3 - 0.7%)
    • 高炭素鋼(炭素含有量が約0.7%以上)

また、

  • 極軟鋼
  • 軟鋼
  • 半軟鋼
  • 硬鋼
  • 最硬鋼

という分類もある。

  • 合金鋼
    • 低合金鋼
    • 中合金鋼
    • 高合金鋼

また、炭素鋼は、組成(標準組織)や炭素濃度の上から以下のように分類できる。

性質からの分類

用途からの分類

JIS規格ではこの分類法が用いられている。

形状からの分類

  • 条鋼
  • 鋼板
    • 薄板(厚さ3mm未満のもの)
    • 中板(厚さ3mm以上、6mm未満のもの)
    • 厚板(厚さ6mm以上、150mm未満のもの)
    • 極厚板(厚さ150mm以上のもの)
  • 鋼管

加工法


  1. ^ 三省堂. “鋼鉄とは 大辞林 第三版の解説”. コトバンク. 朝日新聞社/VOYAGE GROUP. 2017年6月24日閲覧。
  2. ^ 田中 2015, p. 478.
  3. ^ ISO 4948-1:1982, Steels — Classification — Part 1: Classification of steels into unalloyed and alloy steels based on chemical composition. https://www.iso.org/standard/10963.html
  4. ^ 「文明の誕生」p128-129 小林登志子 中公新書 2015年6月25日発行
  5. ^ 『世界文明における技術の千年史 「生存の技術」との対話に向けて』p137 アーノルド・パーシー 林武監訳、東玲子訳、新評論、2001年6月。ISBN 978-4-7948-0522-5
  6. ^ 『世界文明における技術の千年史 「生存の技術」との対話に向けて』p138-139 アーノルド・パーシー 林武監訳、東玲子訳、新評論、2001年6月。ISBN 978-4-7948-0522-5
  7. ^ a b c d 大澤p.83-86 Ⅱ.金属の材料 3.鉄鋼 3.2.転炉と平炉
  8. ^ 新日鉄住金 2004, pp. 68–69.
  9. ^ 中沢護人「平炉法の発明の経過」(『生産研究』16巻9号、 1964年) 東京大学生産技術研究所
  10. ^ 新日鉄住金 2004, pp. 67–68.
  11. ^ a b c 谷野・鈴木 2013, p. 117.
  12. ^ a b 高木 1997, p. 675.





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