銭湯 その他

銭湯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 19:43 UTC 版)

その他

登録有形文化財

大阪市生野区にある源ヶ橋温泉は外観・内装とも昭和モダニズムの面影を残す貴重な建物のため、1998年(平成10年)に風呂屋(銭湯)の建造物では初めて国の登録有形文化財に登録された(2020年に廃業したがその後も建物は現存)。一方、同じく2000年(平成12年)に登録有形文化財となった同市阿倍野区美章園温泉は、燃料費の高騰や耐震補強工事が困難であることなどを理由に廃業、2008年(平成20年)2月より開始された解体作業にともない[32][33][34]、同年12月に文化財としての登録を抹消された[35]。この他にも2000年代以降、京都市北区にある船岡温泉、東京都台東区上野にある燕湯鳥取県倉吉市にある大社湯(第三鶴の湯[注 2]2022年11月に廃業したがその後も建物は現存)、三重県伊賀市にある一乃湯、京都府舞鶴市の若の湯[37]、同市の日の出湯[38]、東京都北区の稲荷湯[39]杉並区高円寺小杉湯[40]が登録有形文化財に登録されている。

現在は銭湯として使われていないが、かつては銭湯だった登録有形文化財の建造物として、京都市北区の旧藤ノ森湯(現在は飲食店等に転用)[41]愛知県半田市にかつて所在した半田東湯(解体後に同県犬山市明治村に復元、足湯あり)[42][43]熊本県人吉市の芳野旅館従業員棟(銭湯として開業後に料亭となり、更に従業員室や倉庫となった)[44]がある。また、愛媛県今治市今治ラヂウム温泉2014年(平成26年)3月に休業したが、建物はそのままの姿で残されており、2年後の2016年(平成28年)になって登録有形文化財に登録されている[45][46]

歴史のある銭湯・古銭湯

江戸時代より現在まで続く歴史のある銭湯が全国に複数存在している。1773年安永2年)に創業した東京都江戸川区のあけぼの湯は都内でも最も創業が古い銭湯(廃業した銭湯を除く)である[47][48]。この他、江戸時代より続く銭湯として都内には江戸川区の鶴の湯や台東区の蛇骨湯、中央区の金春湯があり、全国では長野県のアルプス温泉(創業当時:忠兵衛のお湯)[49]新潟県の千代乃湯[50]熊本県のくすり湯[51]などがある。

一方、建物自体の建築年代が古い銭湯としては、1907年(明治40年)に建築され登録有形文化財でもある鳥取県倉吉市の大社湯、1915年(大正4年)に建築された愛媛県八幡浜市の大正湯[52]、明治末期から大正初期頃に建築された千葉県勝浦市の松の湯[53]1923年(大正12年)に脱衣場の建物が建築され登録有形文化財でもある京都市の船岡温泉など、明治から大正にかけて建築された銭湯が現存している。

歴史のある銭湯にも老朽化や利用客の減少などから廃業を決めた銭湯もある。


注釈

  1. ^ 1879年(明治12年)10月3日東京府令湯屋取締規則により、混浴禁止とともに石榴口は1885年(明治18年)11月末日までに改装すべきとされた(小木新造『東亰時代 - 江戸と東京の間で』、p.96)。
  2. ^ 元々の屋号は「第三鶴の湯」であったが、隣に出雲大社倉吉分院があることから「大社湯」の名前で呼ばれるようになった[36]

出典

  1. ^ 銭湯(せんとう)の意味”. goo国語辞書. 2019年12月10日閲覧。
  2. ^ 【輝け★わが街 地域おこし協力隊】(2)「温泉銭湯」愛着持って『毎日新聞』朝刊2021年5月1日(北海道面)
  3. ^ & 『目からウロコの日本史, p. 42.
  4. ^ 『東西沐浴史話』, p. 142.
  5. ^ 奥野高広『戦国時代の宮廷生活』、p.143
  6. ^ & 『目からウロコの日本史, p. 40.
  7. ^ 町田忍『銭湯遺産』、p.178
  8. ^ 東大寺・大湯屋(奈良県の名所・古跡)
  9. ^ 東大寺大湯屋 - 国指定文化財等データベース(文化庁)/同庁運営「文化遺産オンライン」内のデータベースページ
  10. ^ かんでん e-Patio. “昔、お風呂は蒸し風呂だった!”. 2011年5月15日閲覧。
  11. ^ 『東西沐浴史話』, p. 134.
  12. ^ 齋藤月岑『増訂 武江年表1』平凡社、1986年、P.3頁。 
  13. ^ 『東西沐浴史話』, p. 157.
  14. ^ 池田勝, 池田正男「古今(こきん)用語撰」『らん:纜』52巻 2001年 p.30-34, 日本船舶海洋工学会, doi:10.14856/ran.52.0_30, 2020年6月19日閲覧。
  15. ^ a b 町田忍『銭湯遺産』、p.181
  16. ^ 朝湯まかりならぬ、警視庁お達し(『中外商業』昭和14年5月26日)『昭和ニュース事典第7巻 昭和14年-昭和16年』本編p331 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  17. ^ 東京で二百軒が既に廃業(『東京日日新聞』昭和14年8月30日夕刊)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p331
  18. ^ 厚生労働省 平成8年衛生行政報告例 統計表(公営と私営の普通浴場の合計) https://www.e-stat.go.jp/
  19. ^ 厚生労働省 保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)
  20. ^ 厚生労働省 平成28年度衛生行政報告例の概況
  21. ^ 厚生労働省 平成30年度衛生行政報告例の概況
  22. ^ 町田忍さん:後編 まずは、いちばんお近くの銭湯へどうぞ。(くるまあるき賛成派!第22回) - 日産カーウィングス(日産自動車、2010年9月28日閲覧)
  23. ^ 「都のフロ代騒動解決 業者、自主料金を撤回」『朝日新聞』昭和45年(1970年)5月5日朝刊12版15面
  24. ^ 厚生労働省「公衆浴場における衛生管理理要領等の改正について〔公衆浴場法〕」(生食発1210第1号)(令和2年12月10日改正) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5492&dataType=1&pageNo=1
  25. ^ 入れ墨は「温泉NG」なのに「銭湯OK」の意外なワケ - PRESIDENT online・2019年12月26日
  26. ^ 大阪市環境衛生監視員会公害部会「大阪市における公衆浴場ばい煙関係実態調査報告」『生活衛生』第7巻第2号、大阪生活衛生協会、1963年、78-81頁、CRID 1390001204205995776doi:10.11468/seikatsueisei1957.7.78ISSN 0582-4176 
  27. ^ 公害苦情に対する立場の難しさ (PDF) 東京都荒川区環境清掃部環境課環境 保全係
  28. ^ 総務省|公害等調整委員会|小平市における公衆浴場煙突からの大気汚染による財産被害等責任裁定申請事件(平成22年(セ)第8号事件)
  29. ^ https://www.tokyo-co2down.jp/assets/company/seminar/type/text/publicbath-house.pdf
  30. ^ よくある質問 家の庭やベランダに黒いすすのようなものが落ちていたり、風向きによって強い臭気がすることがあります。近くにある風呂屋の煙突が見えるのですが。|杉並区公式ホームページ
  31. ^ 薪で銭湯復活!が引き起こした不都合なまちづくり(田中淳夫) - 個人 - Yahoo!ニュース
  32. ^ ミヤコ蝶々さんも通った…「大阪最古の銭湯」解体へ(MSN産経ニュース 2008年2月16日)
  33. ^ 大阪市阿倍野、美章園温泉が廃業・解体(月刊旧建築 2008年2月16日)
  34. ^ さよなら美章園温泉(まちかど逍遥 2008年2月25日)
  35. ^ 解体等による登録抹消(文化庁サイト)
  36. ^ 大社湯 - YouTube感動!動画で体験倉吉
  37. ^ 登録有形文化財に指定された舞鶴市のレトロ銭湯「若の湯」へ(CO-KYOTO 2018年11月1日)
  38. ^ 日の出湯に“金メダル” 戦前の面影、建築100年超 舞鶴の銭湯に国登録文化財プレート届く /京都(毎日新聞 2021年5月11日)
  39. ^ 北区の稲荷湯が国の登録有形文化財に指定 都内の銭湯では2軒目(東京銭湯 2020年3月13日)
  40. ^ 高円寺・小杉湯 国の登録有形文化財に 東京型銭湯 関東大震災の復興の産物(東京新聞 2021年2月3日)
  41. ^ 旧藤ノ森湯(文化遺産オンライン:データベース/文化庁)
  42. ^ 明治村半田東湯(文化遺産オンライン:データベース/文化庁)
  43. ^ 半田東湯(博物館明治村のサイト)
  44. ^ 芳野旅館従業員棟(文化遺産オンライン:データベース/文化庁)
  45. ^ 水口酒造文化財に 今治ラヂウム温泉も 文化審答申」『愛媛新聞』2016年7月16日
  46. ^ 今治ラヂウム温泉本館(文化遺産オンライン:データベース/文化庁)
  47. ^ 「あけぼの湯」の経営者のサイト
  48. ^ あけぼの湯〜歴史は深く、施設は最新!都内屈指の人気銭湯(Walkerplus:湯シュラン 2009.02.12)
  49. ^ 営業中の銭湯(2)アルプス温泉(長野・門前暮らしのすすめ 2013.01.03)
  50. ^ 新潟市内18軒の銭湯を巡ってみました(非温泉)(SOCCER温泉blog 2010.04.14)
  51. ^ 電信町・くすり湯(熊本市新町)(風呂屋の煙突 2007.02.03)
  52. ^ 今も現役です、大正湯(レトロ旅えひめ巡り 2013.04.23)
  53. ^ 現存銭湯一覧(千葉県)(銭湯探訪人が行く)
  54. ^ 銭湯 花の湯(十和田八幡平 『のんびり探検隊』 2013.01.06)
  55. ^ 花の湯(廃業・秋田県鹿角市) 文化浴場(廃業)(銭湯・奥の細道(東北の銭湯巡り) 2013.09.10)
  56. ^ 月の湯(東京都浴場組合)
  57. ^ 【文京区】東京最古級の木造銭湯『月の湯』見学会に参加しました(前編)/(後編)(東京銭湯 - TOKYO SENTO - 2015.05.07/05.09)
  58. ^ 道内最古の公衆浴場 120年超える歴史に幕へ 小樽「小町湯」”. 北海道新聞(2021年10月22日). 2021年10月23日閲覧。






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