銃剣 法規制

銃剣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/12 14:12 UTC 版)

法規制

日本では基本的に銃剣の民間への輸入や製造が認められていない。

銃剣は武器等製造法により法規制の対象となっており[注 1]、経済産業大臣の許可なく製造することはできない[注 2]。外国製銃剣の輸入もまた、禁止されている。武器等製造法では販売流通が規制されているが、その一方で個人の単純所持自体には言及している条文は見当たらない。刀剣類の単純所持は銃刀法で規制されている。

アメリカ軍M9のように近年の銃剣は昔の物と違って刺突目的以外に道具としての役割を求めたために諸刃でない普通のサバイバルナイフ状の形態の物が多い。改正前の銃刀法では刃渡り15cm以下は刀剣類とみなされなかったためにこのモデルを日本向けに刃渡りを縮小したものが販売されていた。

スポーツとしての銃剣

日本では、大日本帝国陸軍銃剣術を元に、太平洋戦争後に武道としてスポーツ競技化した銃剣道(じゅうけんどう)があり、全日本銃剣道連盟が統括している。剣道で使用されるそれに似た防具と、肩と呼ばれる心臓部(左肩から胸部分を守る)防具をつけた者同士が、蒲英(たんぽ。ゴム製のクッション)を先端に付けた木銃を用いて、一対一で突き、当てる競技である。現在の自衛隊の銃剣訓練には、この銃剣道と、戦後に制定された自衛隊銃剣格闘が併用されている。後者は棒術に近く、銃剣道の様な銃剣による刺突攻撃だけでなく、斬撃(のように振り下ろして斬りつける)や小銃銃床を利用した殴打(叩く)の他、弾倉による打撃攻撃が一般的に加わった物を指す。

また、銃剣そのものを振るって斬り・刺し合う短剣道という競技もあり、銃剣道と一体の武道として全日本銃剣道連盟が統括している。

備考

  • イギリス軍のL85やフランス軍のFA-MASのようなブルパップ方式小銃は通常型の小銃と比べてコンパクトな反面、長さの面で着剣戦闘力に難があるとよく言われるが、イギリス軍が湾岸戦争・対テロ戦争・イラク戦争、フランス軍はボスニア内戦中のサラエボでそれぞれ銃剣突撃を敢行して、AK小銃で武装した相手に勝利している。戦後、実施された銃剣突撃は米軍1回、英軍5回、フランス軍1回の7回が確認されており、この内5回がブルパップ式小銃による突撃である。また、銃剣の柄をソケット状にし銃口にはめ込むなどして長さを稼ぐ工夫がされているという主張もあるが、FA-MASは銃身の上に着ける一般的な銃剣と同じ方式であり、着剣しても全体の長さに大差は無い。
  • エアガンガスガンの中で、一部の長物小銃には銃剣が付属していることがある。本物志向から、極力実物の形状を模して作られているが、製であったり、ゴム製であったりなど、人を傷つけることないように作られている。それらを使うことを想定して、サバイバルゲームでは俗に言うナイフタッチルールもある。
  • 稀なケースだが、拳銃に銃剣を装着した例としては「Cz75 SP-01」にアクセサリーとして取り付けられるものがある。アパッチ・リボルバーには、簡素な折りたたみ式ダガーが組み込まれている。
  • アメリカ軍では、前述のように陸軍で新兵向けの銃剣格闘訓練が廃止(海兵隊では存続)されるなど、銃剣の兵器としての重要性は低下する傾向にあるが、2012年大統領選挙では、候補者の発言をきっかけに銃剣の存在が一躍大きな注目を浴びるという現象が見られた。これは、共和党の候補者だったミット・ロムニーマサチューセッツ州知事の「海軍の戦闘艦艇の現有数が、1916年以降で最小の285隻に落ち込んでいる」との批判に対して[15]、当時の大統領であった民主党バラク・オバマが反論として「あなたは海軍について触れられたが、たしかに海軍は1916年よりも戦闘艦艇の保有数を減らしています。しかし知事、我々は軍馬や銃剣の保有数だって減らしていますが、それは軍の性質の変化に因るものですよ。我々は、航空機が着艦可能な空母というものを保有しています。水中を進むことのできる原子力潜水艦だって保有しています[16]。」と反論したことがきっかけである[15][17][18][19][20][21][22][23]。これは、ロムニー陣営が国防・安全保障政策の一環として掲げた艦艇数増強を伴う海軍拡張策を、「艦艇数にとらわれ、艦船能力の向上・多様化や安全保障環境の性質の変化に対応できていない時代錯誤な政策」と批判・揶揄する趣旨の発言であったが[15][17][18][19][20][21][22][23]Twitterなどのソーシャル・メディアで「軍馬と銃剣 (horses and bayonets)」というフレーズが多くのユーザーに取り上げられ話題となったほか[19][21][23]、大手メディアも銃剣について特集を組むなど[22][23][24]、思わぬ反響を呼んだ。大手メディアの中には、この「軍馬と銃剣」発言により「オバマ陣営が(2012年の大統領選挙で大きな役割を担った)Twitterでの戦争を制した」と評する向きも見られた[24]

注釈

  1. ^ 武器等製造法第2条第1項第5号、武器等製造法施行令2条1号
  2. ^ 武器等製造法第3条、第4条

出典

  1. ^ Needham, Volume 5, Part 7, 456.
  2. ^ Binglu 《兵錄》, Scroll 12.
  3. ^ 官軍兵士軍服 付 外套・シャツ - 港区の文化保護目録 | 港区立郷土歴史館”. www.minato-rekishi.com. 2021年7月6日閲覧。
  4. ^ 新たに「コンバットナイフ」としての役割が与えられ(中略)『M9銃剣』などがその代表『図解ミリタリーアイテム (F-Files)』146Pより引用
  5. ^ Last charge for the bayonet - a victim of modern warfare”. The Telegraph (2002年9月15日). 2015年12月1日閲覧。
  6. ^ Argylls fight hand to hand in Iraq”. The Scotsman (2004年5月17日). 2015年12月1日閲覧。
  7. ^ Royal Marine awarded gallantry medal proposes at Buckingham Palace”. The Telegraph (2009年12月12日). 2015年12月1日閲覧。
  8. ^ Soldier who led Afghanistan bayonet charge into hail of bullets honoured”. The Telegraph (2012年9月28日). 2015年12月1日閲覧。
  9. ^ ARMY RESUMES BAYONET TRAINING”. The New York Times (1981年11月7日). 2015年12月1日閲覧。
  10. ^ 2010 brings major transformation to Basic Combat Training”. U.S. Army (2010年7月19日). 2015年12月1日閲覧。
  11. ^ Army drops bayonets, revamps training”. Army Times (2010年3月16日). 2015年12月1日閲覧。
  12. ^ One less skill for soldiers to master at boot camp: bayonet training”. The Christian Science Monitor (2010年9月28日). 2015年12月1日閲覧。
  13. ^ Has the Army eliminated bayonet training?”. Stars and Stripes. 2015年12月1日閲覧。
  14. ^ 写真の説明文では、第1の標的を銃剣で突き、第2の標的を射撃すると記述されている。
  15. ^ a b c 「国際協調」のオバマ氏と「強いアメリカ」のロムニー氏 最後の討論会で激突(日本語) 産経新聞(MSN産経ニュース)の記事(2ページ構成の2ページ目)。2012年10月23日配信、2013年1月5日閲覧
  16. ^ 英文では“You mentioned the Navy, for example, and that we have fewer ships than we did in 1916. Well, governor, we also have fewer horses and bayonets, because the nature of our military’s changed. We have these things called aircraft carriers, where planes land on them. We have these ships that go underwater, nuclear submarines.”となっている
  17. ^ a b 池原麻里子「アメリカ大統領選挙UPDATE 8:「2012年ディベートの総括」(日本語) 東京財団による2012年の合衆国大統領選に関するレポート。2012年10月30日掲載、2013年1月5日閲覧
  18. ^ a b 世界・地域分析レポート 2012年10月24日 (PDF)(日本語) 三井物産戦略研究所が発表している世界情勢等に関する分析レポート。2ページ目に「軍馬と銃剣」発言に関する記述がある
  19. ^ a b c いざ、天下分け目の関ヶ原「オハイオ」へ 外交論争でロムニーを一蹴するも、支持率は変わらず(日本語) 日経BPに掲載された、ジャーナリスト高濱賛の記事。2012年10月29日掲載、2013年1月5日閲覧
  20. ^ a b UPDATE7: 米大統領選最終討論会、大統領がロムニー氏を猛攻 オバマ氏勝利との見方優勢(日本語) ロイター通信が「軍馬と銃剣」発言が出た大統領候補討論会について報じた記事。2012年10月23日配信、2013年1月5日閲覧
  21. ^ a b c 第3回米大統領候補討論会 ライブブログ (日本語) ウォールストリート・ジャーナル (WSJ) 日本版が「軍馬と銃剣」発言が出た大統領候補討論会についてライブ形式のブログで報じたもの。2012年10月23日配信、2013年1月5日閲覧
  22. ^ a b c “So, Does the Military Still Use Bayonets?” (英語) オバマ大統領の「軍馬と銃剣」発言を受けて、「軍は今現在も銃剣を使用しているのか」という点を特集したタイム誌の記事。2012年10月23日配信、2013年1月5日閲覧
  23. ^ a b c d “How Many Bayonets Does the U.S. Have? Quite A Few” (英語) オバマ大統領の「軍馬と銃剣」発言を受けて、「軍は今現在いくら銃剣を保有しているのか」という点を特集したアメリカ・ABCニュースの記事。2012年10月23日配信、2013年1月5日閲覧
  24. ^ a b “Obama Wins Twitter War With ‘Horses and Bayonets’” (英語) オバマ大統領が「軍馬と銃剣」発言で注目を集めたことで、2012年の大統領選挙での「Twitter戦争」を制したと評するABCニュースの記事。2012年10月23日配信、2013年1月5日閲覧






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