都道府県
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/03 07:20 UTC 版)
名称
命名根拠
庁府県 | 庁舎が所在する郡 | 所在地 | 現在の所在地 | |
---|---|---|---|---|
北海道庁 | 札幌郡 | 札幌 | ||
東 北 |
青森県 | 津軽郡 | 青森 | |
岩手県 | 岩手郡 | 盛岡 | ||
宮城県 | 宮城郡 | 仙台 | ||
秋田県 | 秋田郡 | 秋田[注 4] | ||
山形県 | 村山郡 | 山形 | ||
福島県 | 信夫郡 | 福島 | ||
関 東 |
茨城県 | 茨城郡 | 水戸 | |
栃木県 | 都賀郡 | 栃木 | 宇都宮[注 5] | |
群馬県 | 群馬郡 | 高崎 | 前橋 | |
埼玉県 | 埼玉郡 | 岩槻[注 6] | さいたま[注 7] | |
千葉県 | 千葉郡 | 千葉 | ||
東京府 | 豊島郡 | 東京 | 新宿[注 8] | |
神奈川府 | 橘樹郡 | 神奈川 | 横浜[注 9] | |
中 部 |
新潟府 | 蒲原郡 | 新潟 | |
富山県 | 新川郡 | 富山 | ||
石川県 | 石川郡 | 美川 | 金沢[注 10] | |
福井県 | 足羽郡 | 福井 | ||
山梨県 | 山梨郡 | 甲府 | ||
長野県 | 水内郡 | 長野 | ||
岐阜県 | 厚見郡 | 岐阜 | ||
静岡県 | 安倍郡 | 静岡 | ||
愛知県 | 愛知郡 | 名古屋 | ||
近 畿 |
三重県 | 三重郡 | 四日市 | 津 |
滋賀県 | 滋賀郡 | 大津 | ||
京都府 | 葛野郡 | 京都 | ||
大阪府 | 東成郡 | 大阪 | ||
兵庫県 | 八部郡 | 兵庫 | 神戸 | |
奈良県 | 添上郡 | 奈良 | ||
和歌山県 | 名草郡 | 和歌山 | ||
中 国 |
鳥取県 | 邑美郡 | 鳥取 | |
島根県 | 島根郡 | 松江 | ||
岡山県 | 御野郡 | 岡山 | ||
広島県 | 沼田郡 | 広島 | ||
山口県 | 吉敷郡 | 山口 | ||
四 国 |
徳島県 | 名東郡 | 徳島 | |
香川県 | 香川郡 | 高松 | ||
愛媛県 | 温泉郡 | 松山 | ||
高知県 | 土佐郡 | 高知 | ||
九 州 |
福岡県 | 早良郡 | 福岡 | |
佐賀県 | 佐賀郡 | 佐賀 | ||
長崎府 | 彼杵郡 | 長崎 | ||
熊本県 | 飽田郡 | 熊本 | ||
大分県 | 大分郡 | 府内 | 大分[注 4] | |
宮崎県 | 宮崎郡 | 上別府 | 宮崎[注 4] | |
鹿児島県 | 鹿児島郡 | 鹿児島 | ||
沖縄県 | 島尻郡 | 那覇 |
表(庁府県設置当時の庁舎所在地と郡)からも明らかなように、都道府県の名称の原則は庁舎所在地である。ただし、都道府県の名称の根拠となった地名が以下に該当する場合には都道府県の名称は庁舎所在地の現在の市町村の名称と一致しない。
- 庁舎所在地の「都市の名称」と一致しない「郡の名称」である場合(表で「庁舎が所在する郡」欄が青系に着色されている府県、ただし都市の名称を後から名称を変更した2県を除く)[注 11]。
- 庁舎の現在の所在地ではない場合(栃木県・群馬県・埼玉県・三重県)[注 10][注 12][注 13]。
- 都市合併などにより「市」としては現存しない場合(東京都・神奈川県・兵庫県)。
- 「都市の名称」でも「郡の名称」でもない場合(北海道・愛媛県・沖縄県)[注 14]。
1888年(明治21年)以降都道府県の名称の地名部分に変更が無く、都道府県の名称が定着した現在においては、都道府県の名称の地名部分のみで都道府県の区域全体を指す(例えば「青森」で青森という都市ではなく青森県の区域全体を指す)用法が一般に用いられるが、本来は区域の一部分のみを示す地名である。特に県の名称が庁舎所在地の市の名称と一致しない場合には、県の名称が元々から領域全体を指す地名であると誤解されていることが多い。現行の都道府県の名称の地名部分が都道府県の区域全体を示しているのは北海道と愛媛県のみである。
都府県の名称に庁舎所在地を用いる原則は、府藩県三治制における命名規則を廃藩置県後にも継承したものと考えられる。江戸時代を通じて藩の命名に統一方針があったとは認められず(そもそも「藩」という呼称自体が当時の正式なものではない)、城下町名(例えば「鹿児島藩」)、令制国名などの広域地名(例えば「薩摩藩」)、藩主の姓(例えば「島津藩」)のいずれを称するかは定まっていなかった。庁舎所在地の都市名や村名(ごく一部で例外的に郡名、県や府では令制国名も使用[注 15])を用いる命名のみが専ら用いられるようになったのは府藩県三治制以降である。
その後、廃藩置県直後の第1次府県統合の際およびその直後(約7箇月以内)に、「都市の名称」に基づく県名を「郡の名称」などに改称した事例が数多くあり、その具体的な理由は必ずしも明らかでない。なお、この改称が戊辰戦争における「順逆」を表示するという明確な政治的意思に基づいて行われたとする説(賞罰的県名説)があるが、この説には「順逆」の評価基準が明確でない、政治的意思の存在が論証できないなどの問題点がある。
第1次府県統合直後の名称の変更以降、府県庁舎の移転に伴わない府県の名称の変更は例外的である。統廃合に際しても、いずれかの県庁舎が継承される場合には、その府県の名称も継承している(廃藩置県#第1次府県統合から第2次府県統合までの異動の「統合」「編入」および廃藩置県#第2次府県統合の「編入」参照)。明白な例外は、管轄地域全体を象徴する「雅称」を県名とした石鉄県と神山県が合併する際に新たな「雅称」として愛媛県と命名した事例と、同じく「雅称」であった白川県を原則通りの熊本県に名称を変更した事例の2例のみである。例外に準ずる事例も、廃止された新川県・足羽県・名東県を復活する際に元の県名ではなく富山県・福井県・徳島県とした3例に限られる。第2次府県統合以降には、県庁舎を他の都市に移転した事例(栃木県)や府県の名称の根拠となる地名が消滅した事例(島根郡や神奈川町の合併消滅など)においても府県の名称は変更されていない。
省略表現
都道府県名の省略表記として、行政機関の種別を示す「都」・「府」・「県」を省いて地名部分のみにした「青森」「東京」のような呼び方も用いられる。ただし北海道は「地名+機関種別」という構造の呼称ではなく、それ自体が地名である「北海道」を行政機関名としても使っているものであるため、「北海」だけを切り分けて使うことはない[15][16]。(参照:北海道#概要)
また、主に文字数が限られる新聞の見出しなどの場面で、来訪を表す「来」や帰着を表す「帰」などと都道府県地名の1文字を組み合わせた二字熟語、たとえば「来熊」(熊本県)、「帰阪」(大阪府)、「在京」(東京都、京都府)などの表現が使用されることがある[17]。(参照:二字熟語による往来表現の一覧)
都道府県の英訳名
都道府県の英語訳としては『prefecture』が使われるが、この単語は中央政府から派遣される県知事(prefect)の管轄範囲という語感を伴っており(類似例: フランス)、知事公選制となった戦後においてはこの単語は語感に沿わないものになっているが、戦前からの慣例で今でも使われ続けている。樺太庁は外地である期間のほうが長かったが、台湾や朝鮮とは異なり内地水準の『prefecture』で呼ばれた。同様に北海道庁も戦前は『prefecture』を用いたが、道となった現在は『Hokkaido』のみで表すこともある。なお、東京都の場合には『metropolis』も用いられる。
注釈
- ^ 大規模な境界変更としては1893年(明治26年)に多摩地方が神奈川県から東京府へ編入された事例があるが、府県自体の設置や廃止は伴っていない。
- ^ ただし厳密には、法律案には北海道と沖縄県については記載がない。なお、当時の北海道は府県制とは別の「北海道地方費」が公法人で、北海道庁が統治していた。また「沖縄県」は1879年(明治12年)に発足したが、1909年(明治42年)までは他県のような府県制が施行されていなかった。
- ^ 地名部分を維持したまま種別のみ変更されたものについてのみ変更前まで遡っている。地名部分が同じ県が一旦廃止されている場合は復活したときの庁舎。東京・京都・大阪の郡としては江戸城・二条城・大阪城の郡を記した。
- ^ a b c 大分と宮崎は県設置より後で県庁所在地名を郡名に合わせて改称している。秋田も明治に入ってからの郡名への改称だが、県設置より前である。
- ^ 栃木県庁の移転を参照。
- ^ 埼玉県設置時には岩槻が県庁所在地に予定されていたが浦和に仮庁舎が設置され、岩槻に移転することなくそのまま浦和が県庁所在地として定着した。浦和は埼玉郡ではなく足立郡である。
- ^ 県庁所在地であった浦和市が大宮市、与野市と合併して成立した市である。後に、当初の県庁所在予定地であった岩槻市を編入している。
- ^ 新宿区も旧東京市の一部であり、現在の都庁の所在地は旧淀橋区で、東京市編入前は豊島郡(後の南豊島郡⇒豊多摩郡)であった。
- ^ 市町村名としての「神奈川」は消えたが、現在は横浜市「神奈川区」が県名の根拠地に存在する。
- ^ a b 石川県は現在の県庁所在地ではない美川(現・白山市)の所属郡が根拠であるが、現在の所在地の金沢も同じく石川郡内である。
- ^ 第1次府県統合以降に庁舎所在地の「郡の名称」を県の名称とした事例で県として現存しないもの(一旦廃止されて異なる県の名称で復活したものを含む)は磐井県・置賜県・磐前県・新治県・印旛県・入間県・足柄県・新川県・足羽県・筑摩県・額田県・度会県・犬上県・飾磨県・北条県・深津県・小田県・名東県・三潴県の19例(深津県→小田県は庁舎移転による改称なので正味18県)ある。
- ^ 前橋市内の現群馬県庁所在地は、律令以来群馬郡に属していたが、明治初期には実質的に勢多郡と一体の地域に含まれており、最終的にはそれに合わせて郡が再設定されたので、ここでは「現在の所在地の郡の名称ではない」に該当するものとみなした。
- ^ 県名の根拠である庁舎所在地が実際の所在地ではない事例は第1次府県統合から第2次府県統合までの間には多く、現存しない例としては予定地名を用いた水沢県・印旛県・深津県や隣接地名を用いた木更津県・浜田県などがある(短期間で齟齬が解消されるなど、該当するかどうかが自明でない事例が多いため、全てを過不足なく列挙することは困難)。
- ^ 「都市の名称」でも「郡の名称」でもない地名が用いられた現存しない事例は、第1次府県統合以降では石鉄県・神山県・白川県の3例ある。ほかに七尾県の例では「都市の通称=城の名称」が用いられている。
- ^ 具体的には、令制国全体が旧幕府領であった佐渡県、飛騨県、甲斐府、戊辰戦争の戦後処理の役割もあった越後府、比較的狭い範囲に多数点在していた直轄地(主に旧旗本領)を管轄していた河内県、摂津県、三河県があり、類例として武蔵知県事、常陸知県事、下総知県事、上総安房知県事があるが、佐渡県が第1次府県統合まで残ったのを除いて、廃藩置県よりも前に名称の変更や統合で無くなっている。
出典
- ^ ただし、東京都はprefecturesに含まれるが、Tokyo Metropolisと表現する。
- ^ 市町村数を調べる|政府統計の総合窓口(2020年10月29日閲覧)
- ^ 塩野宏、行政法Ⅲ第3版、137頁、有斐閣、2006年
- ^ “府県廃置法律案(解散ノ為提出ニ至ラサリシモノ)”. 国立公文書館 デジタルアーカイブ. 独立行政法人 国立公文書館. 2020年12月31日閲覧。
- ^ 竹永三男「第一次桂太郎内閣下の府県廃合計画と福岡世徳・松江市長の上京活動 (松江市史研究1)」『松江市史研究』第1巻、松江市教育委員会、2010年3月、3-31頁、2023年4月25日閲覧。
- ^ “日露戦争関連年表”. 日露戦争特別展. 国立公文書館 アジア歴史資料センター. 2021年1月2日閲覧。
- ^ 日本経済新聞社・日経BP社. “北関東3県は「宇都宮県」に 幻の28道府県案|エンタメ!|NIKKEI STYLE”. NIKKEI STYLE. 2020年12月19日閲覧。
- ^ 齊藤忠光 2013, p. 17.
- ^ 国会議事録第6回衆議院地方行政委員会10号(昭和24年11月25日)門司委員、あるいは国会議事録第38回参議院文教委員会9号(昭和36年03月09日)矢嶋三義など多数
- ^ “兵庫ってヒョーゴスラビア連邦 SNS投稿に反響”. 神戸新聞. (2018年8月25日) 2018年12月19日閲覧。2018年8月の記事だが、文中には「"ヒョーゴスラビア"は数年前にもネット上で話題になった」との記述もある。
- ^ a b c d “北海道"分県論"が浮上 「新幹線が伸びないのは知事が1人しかいないせい」という指摘も”. ハフポスト (2016年1月8日). 2021年9月5日閲覧。
- ^ a b c “北海道の未来に、熱く!” (PDF). 喜多龍一. 2021年9月6日閲覧。
- ^ a b c “北海道分県案を知事に提出 道議有志「3ないし2県」”. jp.sputniknews.com. 2021年9月5日閲覧。
- ^ “もしも北海道が4県になったら 自民道議ら「分県」提言:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年9月5日閲覧。
- ^ “「北海道」の由来”. 北海道立文書館 (2022年1月20日). 2022年12月30日閲覧。
- ^ “「北海道はなぜ“北海”と略さないのか?」#シラベルカ2”. NHK札幌放送局 (2020年4月14日). 2022年12月30日閲覧。
- ^ 柴田武『生きている日本語』講談社、1988年、237-239頁 ISBN 978-4-06-158835-6
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