道路 日本と道路

道路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/08 07:42 UTC 版)

日本と道路

日本の二車線の道路(新潟
山岳道路である立山黒部アルペンルート 立山高原道路(富山

日本の法律上の定義

日本の法律上の定義としては、道路法道路交通法建築基準法などの法律が、それぞれ道路の定義を定めている。

道路交通法の「道路」

道路交通法第2条第1項は、以下の3つに該当する場合を道路としている。

  1. 道路法第2条第1項に規定する道路(いわゆる公道
  2. 道路運送法第2条第8項に規定する自動車道(もっぱら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のもの)
  3. 一般交通の用に供するその他の場所

「一般交通の用に供するその他の場所」とは、公道や自動車の交通のために設けられた道以外で、現実の交通の実態から道路とみなされる土地のことをいう。不特定の人や車が自由に通行することができる場所で、現実に通行に使用されている場所が該当する。そのため、一般に道路としての形態を有していなくても該当する場合があり、私有地であるか公有地であるかは関係がない。具体的には、農道林道赤線が該当し、一般の交通に供用されていれば、私道広場公園河川敷地下街等も含まれる。

「一般交通の用に供するその他の場所」に関する通説・判例は下記のとおり。

  • 私有地であっても、不特定の人や車が自由に通行できる状態になっている場所は、「一般交通の用に供するその他の場所」である。(昭和44年7月11日最高裁判所第二小法廷判決・昭和43(あ)1407 )
  • 「一般交通の用に供するその他の場所」とは、それが一般公衆に対し無条件で開放されていることは必ずしも要しないとしても、「現に一般公衆及び車両等の通行の用に供されていると見られる客観的状況のある場所であって、しかも、その通行をすることについて通行者がいちいちその都度管理者の許可などを受ける必要がない場合をいう。(仙台高等裁判所昭和38年12月23日判決)
  • 管理者が一般交通の用に供することを認めていない場合、つまり、通行につき管理者の許可を要し、しかも客観的にも不特定多数の者の交通の用に供されているとみられる状況にないときは、道路としての要件に欠く。(東京高等裁判所昭和45年6月3日判決)

道路法の「道路」

道路法第2条第1項および第3条は、一般交通の用に供する道で、以下の4つに該当するものを道路としている。

  1. 高速自動車国道
  2. 一般国道
  3. 都道府県道
  4. 市町村道

道路を構成するものは、路面、路肩、法敷(のりしき)の他、トンネル、渡船施設、道路用エレベーター等の道路と一体としてその効用を全うする施設・工作物、および、横断歩道橋など道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものも、道路に含むとしている[25]。道路法で定義される道路として認めることを、高速自動車国道と一般国道は「道路指定」、都道府県道と市町村道は「道路認定」といい、道路法が適用される都道府県道、市町村道を「認定道路」とよぶ[25]。いわゆる公道であり、道路構造令による幅員・構造などの基準が定められている[25]

道路の成立から廃止まで段階的な規定があり、(1) 路線の指定/認定、(2) 区域の決定、(3) 用地の取得、(4) 建設工事、(5) 供用開始、(6) 維持管理、(7) 路線の廃止・変更、(8) 不要物件の処理というように行政上の手続きが行われる[25]

なお、道路法第89条の主要地方道は、道路法上の道路の種類ではなく、国が道路整備の必要一定範囲内で補助する道路として大臣が指定した主要道路のことであり、都道府県道の中には一般道路と主要地方道が含まれる[25]

土地改良法の「道路」

土地改良法に基づく道路とは、農業用道路のことで、いわゆる農道のことである[26]。幹線農道と支線農道に大別でき、支線農道には収穫物運搬等のための通作道と、通作道の連絡道路がある[27]。 基幹的な農道として、1965年(昭和40年)から実施された農林漁業用揮発税財源身替農道整備事業(略称:農免道路事業)により農林水産省が整備する道路のことを「農免道路」と呼ぶ[27]

森林法の「道路」

森林法に基づく道路とは、林道のことであり、森林の整備・保全を目的として設けられる道路の総称としている[27]。林道は、道路法の関連規定の枠外にあるが、一般交通に供される林道は、道路交通法・道路運送車両法などの規定は適用される[27]。所管は農林水産省林野庁で、林道の制度は日本独自のものとなっている[27]。民有林の中の林道の種類には、次のようなものがある。

  1. 一般補助林道
  2. 緑資源幹線林道
  3. 特定森林地域開発林道(スーパー林道)

港湾法の「道路」

港湾法に基づく道路とは、臨港地区内における臨港施設として供される臨港道路のことを指す。国土交通省の予算で造られ、港湾管理者である港湾局または地方公共団体(都道府県や市町村)が管理を行う[27]

道路運送法の「道路」

道路運送法第2条第7号は、以下の3つに該当するものを道路としている。

  1. 道路法による道路
  2. その他の一般交通の用に供する場所
  3. 自動車道(もっぱら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のもの。「一般自動車道」と「専用自動車道」の2つがある。)

第2条第8項では、上記の「自動車道」について定義されており、その中の「一般自動車道」とは、専用自動車道以外の自動車道をいい、「専用自動車道」とは、自動車運送事業者(自動車運送事業を経営する者)がもっぱらその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車)の交通の用に供することを目的として設けた道であると定めている[28]

建築基準法の「道路」

建築基準法第42条は、以下の1〜5に該当する場合を道路とし、6に該当する場合を道路とみなしている。

  1. 道路法の道路(国道、都道府県道、市町村道)で、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  2. 都市計画法土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法新都市基盤整備法、大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法、密集市街地整備法に基づいて造られた道路で、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  3. 建築基準法施行時または都市計画区域編入時にすでに存在していた道で、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  4. 道路法、都市計画法等で新設か変更の事業計画がある道路で、2年以内に事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定した幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  5. 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法等によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、道路の位置について特定行政庁の指定を受けたもので、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの(位置指定道路
  6. 上記にはいずれも含まれないが、建築基準法第42条第2項〜第6項に基づき特定行政庁が指定したため、道路とみなされるもの(42条2項道路42条3項道路など)

公道・私道の区別はなく、自動車専用道路のみ対象外で、幅員4m以上が道路となる[29]。幅員が4m未満であるなど、それ以外のものは、建築基準法上は「道路」とは位置づけられず、建築基準法関連においては「通路」「道」などと呼ばれる。

なお、建築基準法43条の接道基準を満たさないが、同条但書に基づき特定行政庁が建築許可を出した場合の道路について、「但し書き道路」と言われる。

その他の法律

上記にあげられた以外に、各法令の道路の種類として次のようなものがある[30]

このほか、不動産登記簿上の地目の一種として、「公衆用道路」というものがある。一般交通の用に供する道路のことを指し、公道・私道を問わない。

道路と一体となって利用されるトンネル横断歩道橋や横断地下歩道などの施設も含む[要出典]

外国語表記

  • 昭和29年12月9日付内閣告示第一号によって、ローマ字(ヘボン式)の綴り方などを示している。

住民参加型の道路直営施工

近年では自治体財政の情勢悪化により、生活道路については機材・資材を自治体が提供し、施行は住民が自ら工事する事業が注目されてきている。

栄村のケースでは、外部発注するのと比べ費用を1/2〜1/3に抑えられている[31]


注釈

  1. ^ 『魏志倭人伝』によれば当時の日本の様子について、「土地は険しく、樹木が生い茂り、細々とした道路が続いていた」といった旨の記述があり、「道路」の文字が使われていたとされる[4]
  2. ^ 私道など、一部の個人所有物を除く。
  3. ^ 漢は紀元前206年 - 220年の間にあった中国の王朝

出典

  1. ^ デジタル大辞泉
  2. ^ 広辞苑第六版「道路」
  3. ^ a b c 武部健一 2015, pp. 21–23.
  4. ^ 浅井建爾 2015, p. 12.
  5. ^ a b c 峯岸邦夫 2018, p. 12.
  6. ^ a b c d e f 峯岸邦夫 2018, p. 34.
  7. ^ a b 浅井建爾 2001, p. 76.
  8. ^ 特別史跡「三内丸山遺跡」三内丸山遺跡 道路?”. 三内丸山遺跡. 2016年7月5日閲覧。
  9. ^ a b c d 浅井建爾 2001, p. 78.
  10. ^ a b 武部健一 2015, p. 2.
  11. ^ 武部健一 2015, pp. 7–8.
  12. ^ a b c 武部健一 2015, pp. 5–6.
  13. ^ a b 浅井建爾 2001, pp. 80–81.
  14. ^ a b 武部健一 2015, pp. 8–9.
  15. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 2018.
  16. ^ a b 武部健一 2015, pp. 14–15.
  17. ^ a b 武部健一 2015, p. 16.
  18. ^ 武部健一 2015, pp. 17–18.
  19. ^ a b c d e f 峯岸邦夫 2018, p. 36.
  20. ^ a b c d 武部健一 2015, pp. 18–19.
  21. ^ a b c d e f 峯岸邦夫 2018, pp. 18–19.
  22. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, pp. 20–21.
  23. ^ a b c d 峯岸邦夫 2018, pp. 22–23.
  24. ^ 太閤下水(背割下水)が街路に面して建つ家屋の間を通っており、それが町名の区分となっている。
  25. ^ a b c d e 窪田陽一 2009, p. 18.
  26. ^ a b c d ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 217.
  27. ^ a b c d e f 窪田陽一 2009, p. 19.
  28. ^ 窪田陽一 2009, pp. 19-20.
  29. ^ 窪田陽一 2009, p. 20.
  30. ^ 窪田陽一 2009, p. 21.
  31. ^ a b 木村俊文「協働で守る農地・道路 - 長野県栄村 -」『農中総研 調査と情報』第4巻、株式会社農林中金総合研究所、2008年1月、 ISSN 1882-2460
  32. ^ “農家・地域住民等参加型の直営施工推進マニュアル” (プレスリリース), 農水省, (2005年8月), http://www.maff.go.jp/j/nousin/seko/top/t_rikai/t_chokuei/pdf/manual.pdf 
  33. ^ 「日本の未来が見える村 長野県下條村、出生率「2.04」の必然」 『日経ビジネス』 、2009年2月10日http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090209/185533/ 


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