連邦捜査局 人員・装備

連邦捜査局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/22 00:37 UTC 版)

人員・装備

現場本部車。ワシントン支局の保有している物

捜査官

FBIの職員は、日本法における司法警察職員にあたる特別捜査官Special agent)と技官などの一般職員にわけられる[13]

他の組織の警察官と比較したとき、FBI特別捜査官を大きく特徴づけるのが高い学歴である。これはフーヴァーによる綱紀粛正の際に、捜査官の質的向上を図って導入されたもので、当時は弁護士または公認会計士になる資格を有することが求められていた[13]。その後条件が緩和され、弁護士・公認会計士でなくとも、法務博士などの上級学位を有するか、それに相当する能力を有していればよいことになった[14]。ただしその後も、特別捜査官の大部分は法律家が占めており、FBIの採用試験は、大半の州の弁護士試験よりも難しいと言われている[13]

このように、FBI特別捜査官は原則として弁護士に相当する能力を有していることから、建前上は、すべての捜査官は平等とされており、一般的な法執行機関や軍隊のような階級制度は存在しない。管理官(Supervisory Special Agent)や支局長(Special Agent in Charge)などの管理職についても、建前上は、組織管理を専門とする職種の一つとして位置づけられている[13]。新任の特別捜査官で本部勤務の場合、年次基本給は43,441ドルである[15]

なお、FBIの特別捜査官はGメンと通称される。これは1933年9月、FBIとメンフィス市警察がギャングのマシンガン・ケリーを包囲した際、銃を向けられたケリーが「撃つなっ、Gメン! 撃つなっ!」と叫んだとされることに由来しており、"Government man"(政府職員)の略語である[6]

銃火器

1970年代まで使用されていたS&W M13。別名“FBIスペシャル”
現用機種のグロック22

捜査局創設直後には一律に武装を許可する法的根拠がなく、捜査官たちは毎回所轄の保安官警察署長に申請する必要があった。この時期には.35S&W弾仕様のM1913自動拳銃.45ACP弾仕様のM1911A1自動拳銃、.38スペシャル弾仕様の回転式拳銃S&W M10(ミリタリー&ポリス)が用いられていたほか、個人所有品の使用も多かった[16]

その後、1934年には捜査官の武装が公式に認可された。.38スーパー弾仕様のM1911A1自動拳銃や.357マグナム弾仕様のNフレーム回転式拳銃、.38スペシャル弾仕様のS&W製各種回転式拳銃が調達・配備された。コルト・ポケットポジティブコルト・ディテクティブスペシャルS&W ボディーガードS&W M36(チーフスペシャル)などが用いられたが、特にS&W M19(コンバットマグナム)の4インチ銃身モデルは、SWAT要員を中心として好評を博した[16]

しかし、同銃を含めて、NフレームやKフレームの.357マグナム弾仕様の回転式拳銃は日常的な携行には大きすぎた一方、スナブノーズのJフレーム拳銃では十分な威力を発揮できなかったことから、1970年代中盤から再度の見直しが着手された。まず2.5インチ銃身のS&W M10が試験的に制式採用されたが、エジェクターロッドや照準線の短さが嫌われて、多くの捜査官が改造を加えて携行した。続いて、同モデルをベースに.357マグナム弾に対応したM13が採用された。これは極めて好評であり、広く普及したが、FBIが採用した最後の回転式拳銃となった[16]

1980年代初頭、制式としては初の自動拳銃としてS&W M459が採用され、SWAT要員や人質救出チーム(HRT)を中心として配備された。これは好評だったが、老朽化に伴い1988年から、SWAT要員を端緒としてSIG SAUER P226への更新が着手されたほか、一般の特別捜査官にはP228も配備された。また、HRTでは、FN ブローニング・ハイパワーのカスタムモデルも用いられた[16]

その後、1986年マイアミ銃撃事件英語版ストッピングパワー不足が問題になったことから、大口径化が志向されることとなった。まず10mmオート弾仕様のS&W M1076が試験的に採用されたのち、1997年5月には.40S&W弾仕様のグロック22とコンパクトモデルのグロック23が採用された[16]

しかし、その後の弾薬技術の発達に伴って、9x19mmパラベラム弾でも.40S&W弾や.45ACP弾と大差のない威力を発揮できるようになり、また、反動の小ささやグリップの細さから特に速射時の射撃精度に優れる面が評価されて、2015年には制式拳銃の9x19mmパラベラム弾への回帰が決定された[17]


  1. ^ a b Quick Facts”. Federal Bureau of Investigation. 2014年12月17日閲覧。
  2. ^ 上田篤盛『戦略的インテリジェンス入門』並木書房、254ページ、2016年、ISBN 978-4-89063-336-4
  3. ^ 上野 1981, pp. 16–17
  4. ^ 今野 2000, p. 9
  5. ^ 上野 1981, pp. 6–10
  6. ^ a b c d 上野 1981, pp. 245–249
  7. ^ a b 連邦捜査局 (2014年7月15日). “Organizational Chart” (英語). 2016年7月10日閲覧。
  8. ^ ウィットコム 2003, p. 46
  9. ^ a b The Academy”. FBI. 2016年6月29日閲覧。
  10. ^ a b The FBI Academy: A Pictorial History”. FBI. 2015年7月3日閲覧。
  11. ^ a b International Business Publications (2002). US FBI Academy Handbook. p. 20. https://books.google.com/books?id=iIvIf8BwlYMC&pg=PA20 
  12. ^ Overview”. The FBI Academy. FBI. 2016年2月28日閲覧。
  13. ^ a b c d 上野 1981, pp. 265–267
  14. ^ 連邦捜査局. “FBIJobs - Special agents” (英語). 2017年1月19日閲覧。
  15. ^ FBI公式サイトSPECIAL AGENT CAREER PATH PROGRAM 任官の過程や給与について説明されている
  16. ^ a b c d e Bill Vanderpool (2011年8月22日). “A History of FBI Handguns” (英語). 2017年1月21日閲覧。
  17. ^ Thomas Gibbons-Neff; Adam Goldman (2015年10月31日). “FBI returns to 9mm rounds, once shunned as ineffective”. ワシントン・ポスト. https://www.washingtonpost.com/world/national-security/fbi-moves-back-to-the-9mm-round-which-it-once-shunned-as-ineffective/2015/10/31/d7d0b994-7e80-11e5-afce-2afd1d3eb896_story.html?utm_term=.2e8f92afb7d2 2017年1月21日閲覧。 
  18. ^ a b Newton 2003, p. 83
  19. ^ Athan G. Theoharis 『The FBI: A Comprehensive Reference Guide』Greenwood Publishing Group、1999年、235頁。ISBN 978-0897749916 
  20. ^ a b 連邦捜査局. “Tactical Operations” (英語). 2016年7月10日閲覧。
  21. ^ トマイチク, スティーヴン・F. 『アメリカの対テロ部隊―その組織・装備・戦術』並木書房、2002年。ISBN 978-4890631551 
  22. ^ a b c Newton 2003, p. 242
  23. ^ アメリカ合衆国司法省. “Structural changes to enhance counter-terrorism efforts” (英語). 2017年1月21日閲覧。
  24. ^ THE CYBER THREAT
  25. ^ RSA Cyber Security Conference
  26. ^ http://www.nytimes.com/2006/09/21/opinion/21thu4.html
  27. ^ 市民が窃盗団結成★FBIから極秘文書を盗み出せ奇跡体験!アンビリバボー2016年6月16日放送、2016年10月13日閲覧。
  28. ^ 2014年に制作されたドキュメンタリー「1971」がこの事件を取り上げている。


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