通名 通名の概要

通名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/28 14:29 UTC 版)

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概要

本名ではなく、一つ、もしくは複数の通称名を名乗って生活することには現行法上の制限や規制はないが、単なる自称名で法律行為を有効に行うことは原則としてできず、詐欺罪文書偽造罪などに問われる場合がある。しかし在日外国人の通名は一つに限り、居住する区や市町村への登録を条件として法的な効力を持つ[1]。通名は住民基本台帳法に登録事項として規定されており[2]住民票に「通称(氏名以外の呼称)」として記載される。2016年時点の実務上、通名は登記などの公的手続に有効に使用することができ、契約書など民間の法的文書にも使用できる。また、就労の際にも通名での応募及び就業が通用しているとともに通名による雇用保険年金の手続きも行えるようになっており、地方公共団体では通名で公務員として職務を行えるようになっている。

印鑑登録証明書運転免許証には、本人の申請により本名に加え、通名の併記が可能である(例:氏名 金 美淑(木村 淑子))。

また、国民健康保険被保険者証も通称名の使用が可能である。(被保険者が性同一性障害である場合も通称名の記載が行えるが、これは保険者がやむを得ないと判断した場合に限る[3]。外国人の通称名使用については、国民健康保険や介護保険の保険者(地方公共団体)の判断で、自由に自らの裁量で氏名表記を行って差し支えない(=主たる面の「氏名」の項目に通称名の使用を行っても差し支えない。)とされている[4][5]。)

通称名は韓国・中国籍の外国人のみならず、アルファベットを本名とする外国人にも広く使われている。

在留証明に記載される本名はアルファベットである為、カタカナ表記を通称として登録する事でカタカナの署名も法的効力を持つ(通称登録をしなければ本名はあくまでアルファベットの氏名でありカタカナ名に法的効力はない)  また運転免許証やマイナンバーカードなどにカタカナ名がカッコ書きで表記される為、特に難解な発音の氏名の場合などに誤読を防ぐ事が出来る。

外国人と婚姻手続きをしても外国人には戸籍が無い為に夫婦が別姓になるが、通称名登録をする事で法的に夫婦同姓を名乗る事が出来る。(例:山田太郎さんと婚姻したMarry Janeさんが、山田メリーを法的に使用する事が出来るようになる)。日系二世・三世が親や祖父母の姓を合法的に漢字で使用する事が出来るようになる(例:本名James Yamada氏が漢字とカタカナの山田ジェームスを法的に使用する事が出来るようになる)

法的根拠

歴史的経緯

1940年2月11日に創氏改名制度が施行されたが、内地ではそれ以前から朝鮮人などが「通称」として「日本名」を名乗るものが多かった[6]。創氏改名施行以後、朝鮮や内地在住の朝鮮人なども日本風の「氏名」を名乗る[7]ことになった。これは法的な「本名」であり、この日本名で各種届出や証明書類の交付、また登記などの公的手続が行われた。一方戸籍上は従来の「姓」と「本貫」も残ったが、これらは「本名」ではなくなった[8]。だが1945年以降、38度線の南では「朝鮮姓名復旧令」(1946年10月23日)により、また北でも「北朝鮮に施行する法令に関する件」布告により[9]、創氏改名の根拠となった朝鮮総督府令は失効し、朝鮮人の創氏改名による日本名は遡及無効となって法的根拠を喪失した[10]

しかし、日本名でいったん公的に取得・蓄積された在日朝鮮人の各種の公的記録を一挙に無効とすることは、事実上困難であった。そのため行政が選択したのは、法的な根拠を欠く在日朝鮮人の日本名使用を運用上は有効とする政策であった。

2012年6月以前

外国籍の者に、本名ではない「通称」の使用を認める根拠法は、2009年(平成21年)7月以前には存在していなかった。通称使用の根拠となっていたのは、法務省入国管理局長通知の「外国人登録事務取扱要領」[11]である。同通知は「外国人の社会生活上の利便性を考慮し」外国人登録原票の記入に際し、本名に加え通称を併記することを認めていた。そしてこの原票を基に、2012年(平成24年)6月までは通称併記の外国人登録証明書が発行されていた。つまり通称使用を条文で認めた法律は存在しておらず、行政が運用上認めていたに過ぎなかった。

刷新

2012年(平成24年)7月以降、法務省と市区町村が別々に行っていた外国人管理業務の一本化などを目的に、従来の外国人登録制度を基本とした外国人管理制度が刷新されることとなった。住民基本台帳法が改正されて、外国人(短期滞在者等は除く。以下同じ)も日本人と同一の住民票に記載されるようになると共に、外国人登録法は廃止された。また通称が併記された外国人登録証明書も廃止となった。

改正後住民基本台帳法第7条第14号の「政令で定める事項」の一として、同法施行令第30条の25第1号により、外国人は氏名(本名)による住民票に、通称を併記登録することができる。通称の登録は「住民票に記載されることが必要であることを証するに足りる資料を提示しなければならない。」とされるものの[12]、地方自治体ではいわゆる特別永住者の通称登録について、従来保持していた外国人登録証明書に通称が記載されていたという理由で引き続き受け付けているケースが多い。ただし外国人が住民票の写しや住民基本台帳カードを取得する場合は、氏名(本名)が記載されており、通称のみの住民票の写しや住民基本台帳カードは発行されない。

外国人登録証明書に代わり、外国人在留者には「在留カード」が、特別永住者には「特別永住者証明書」と書かれたカードが発行されることになった。これらには通称は表記されない[13][14]


  1. ^ 通称名について”. 2019年3月12日閲覧。
  2. ^ 同法施行令第30条の26第1項
  3. ^ ○被保険者証の氏名表記について〔国民健康保険法〕”. 厚生労働省. 2019年3月12日閲覧。(※性同一性障害を有する者についての通知である事に注意)
  4. ^ 平成23年11月4日付 厚生労働省保険局国民健康保険課および高齢者医療課発事務連絡「住民基本台帳法の一部改正に伴う国民健康保険及び後期高齢者医療制度に係る被保険者証等の氏名表記の取扱いについて」
  5. ^ 厚生労働省平成24年1月25日付通知 老介発0125第1号「住民基本台帳法の一部を改正する法律の施行に伴う介護保険の取扱いについて」
  6. ^ 水野直樹『創氏改名——日本の朝鮮支配の中で』岩波書店、2008年、192頁。ISBN 4004311187
  7. ^ 創氏の届出がなされなければ従来の朝鮮風の姓がそのまま「氏」とされた。水野前掲書、45、48-49頁。
  8. ^ 水野直樹『創氏改名——日本の朝鮮支配の中で』岩波書店、2008年、47-48頁。
  9. ^ 水野直樹『創氏改名——日本の朝鮮支配の中で』岩波書店、2008年、223-225頁。
  10. ^ なお1940年以降に生まれた者は「日本名」しか持っていないため、届出をしない限り「日本人風の名」のまま残った。水野前掲書、224頁。
  11. ^ 昭和二十九年六月二十二日付法務省管登合第四二九号附属書
  12. ^ a b 住民基本台帳法施行令”. e-Gov. 2020年1月28日閲覧。
  13. ^ 新しい在留管理制度がスタート! 法務省入国管理局
  14. ^ 特別永住者の制度が変わります! 法務省入国管理局
  15. ^ 外国人住民の通称について”. 2019年3月12日閲覧。
  16. ^ 住民基本台帳法施行規則”. e-Gov. 2020年1月28日閲覧。
  17. ^ 通称名および併記名の登録について
  18. ^ 外国人住民の登録制度 新座市
  19. ^ 通称の登録・削除/伊勢市
  20. ^ a b c 在日外国人の通名変更禁止を明確化 ケータイ転売事件がきっかけだった J-CASTニュース2013年12月10日
  21. ^ 通名制度を見直し 変更数十回など不正の温床となるケースも 片山さつき議員 1/2
  22. ^ 2/2 夕刊フジ2013年12月9日
  23. ^ a b 日本に在留する外国人の皆さんへ2012年7月9日(月)から新しい在留管理制度がスタート! 入国管理局
  24. ^ 外国人住民の登録制度が変わります(2012年7月9日から) 墨田区
  25. ^ 日本名を持つ日本国籍者が、民族名である「金」を通称として使用していた例。子供のころ帰化し改名した在日朝鮮人が、成人後民族名を取り戻そうと、家庭裁判所に「金」姓に変更するよう申し立てた。裁判所は「通称名(金)が申立人の氏として社会的に定着している」という理由でこの申立てを認めた(京都家審1987年(昭和62年)6月16日)。
  26. ^ 第04話 通名編 在日特権を許さない市民の会
  27. ^ そこじゃないでしょ?ヘイトスピーチ!Part3 頑張れ日本!全国行動委員会
  28. ^ 埼玉新聞:名前変え携帯契約 容疑の韓国籍の男を逮捕/県警
  29. ^ a b 「通称」悪用して端末不正売買 容疑の韓国人を逮捕 埼玉 産経新聞2013年11月1日
  30. ^ 外国為替検査マニュアル : 財務省
  31. ^ (別添2)資産凍結等経済制裁に関する外為法令の遵守状況に係るチェックリスト (PDF)
  32. ^ 2009年3月に起きた八千代銀行への右翼団体に所属する韓国籍の総会屋による利益供与要求事件では、朝日新聞だけは容疑者を通名のみで報道したことが明らかにされている。本名・通名・民族名・日本名・・・ 統一日報2009年7月1日、八千代銀に利益供与要求総会屋を逮捕 産経新聞2009.6.26。
  33. ^ ホテルで21歳女性殺害 被告が起訴内容おおむね認める 長野地裁”. 2018年5月21日閲覧。
  34. ^ “ホテル浴室で発見、21歳女性死亡 強殺容疑で男逮捕”. 朝日新聞. (2017年6月2日). https://web.archive.org/web/20170806183028/https://www.asahi.com/articles/ASK621SY2K62UOOB002.html 


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