退化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/19 13:54 UTC 版)
退化の原因
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用不用説
その生物が使わない器官が退化する、という現象は一見分かりやすい。ジャン=バティスト・ラマルクの用不用説はそのことを端的に述べたとも言えるが、現象面の記述としてはともかく、進化生物学としては、獲得形質の遺伝が理論的裏付けを得られず、自然界で実際に起こっていることを示そうとする試みがいくつも試みられていたにもかかわらず、確証されたものが皆無であったことなどから、厳密な科学的研究の面からは全く支持を受けることができなかった[17]。詳細は該当項目を参照。
現在、生物の形態を説明する主流の理論は自然選択説である。この説は、より適応的な形質をもつ生物個体が、より多くの子孫を残すことで進化が進むとする[18]。
自然選択説ではよく使う器官が発達することは説明しやすいが、それに比べて、あまり使わない器官が退化することは説明が容易でない。あまり使わない器官とは言っても、全く使わないとは限らない。たまにしか使わない器官が不完全であれば、その方が有利であるとは言い切れないからである。たとえば、穴を掘って暮らしているモグラの場合、よりうまく穴がほれるよう、前足が強力な個体の方が有利であるのは分かりやすい。しかし、普段は地中生活であるとしても、時には地上に出るのであるから、目が全く見えないよりは見えた方がいいと言えるはずである。
エネルギー分配
「自然選択説で退化が定着する理由を説明する方法としては、エネルギー配分と費用対効果の観点から説明することができる」と主張する人がいる[誰?]。「生物はエネルギーを消費して生命を維持する(広義にはエサや成長にかかる時間などが含まれる)。生物が摂取できるエネルギーは有限であるため、重要性が低い部位にまで投資する個体は、そうしない個体よりもエネルギーの配分が非効率的である。不要な器官は退化しており、エネルギー消費の少ない方(効率的な方)が生存に有利であると説明される。例えばモグラの場合、地中生活であるから、普段は目は重要な感覚器官ではない。ゆえに、目がわずかに見えるモグラよりも、その分のエネルギーを触覚や聴覚に回した目の見えないモグラが有利である。」と言う[誰?][いつ?]。
中立進化説
同様にこれに答える説として、1960年代に発表された中立進化説がある。これを簡単に言えば、生物集団の中で有利にも不利にもならない「中立的な突然変化」がある確率で起こり、それが偶然子孫に広まって定着した場合に進化となる、とする説である。例えばネズミの一種メクラネズミが盲目なのは、この説を使えば説明することができる[19]。
- ^ a b c 生物学辞典「退化」
- ^ 大辞泉、広辞苑ほか
- ^ 9-2. 進化パターンと多様性[リンク切れ] - 福岡教育大学
- ^ 例えば国立遺伝学研究所 国際チーム ナメクジウオゲノム解読に成功など
- ^ a b c 日本大百科全書「退化」
- ^ 生物学辞典「退行的進化」
- ^ a b c d [犬塚:2006]
- ^ 生物学辞典「進化」
- ^ Fukui T, Tsuruoka Y (2001). “A Study on Students' Acceptance of Major Theories of Evolution : Responses of Lower Secondary, Upper Secondary, and University Students to Four Theories”. Journal of research in science education 42 (1): 1-12. (主要な進化学説についての生徒の捉え方に関する研究 : 4つの進化学説に対する中学生・高校生・大学生の反応)
- ^ 小学館 国語大辞典(せりか-ちゆうは)p.596 「退化」
- ^ Goldberg EE, Igić B (2008). “On phylogenetic tests of irreversible evolution”. Evolution 62 (11): 2727-41. PMID 18764918
- ^ Collin R, Miglietta MP (2008). “Reversing opinions on Dollo's Law.”. Trends Ecol Evol. 23 (11): 602-9. PMID 18814933
- ^ Free Japanese Islamic Books『反証されたダーウィニズム』ただし、ワード文書である。
- ^ 生物学辞典「ドロ」
- ^ 生物学辞典「寄生動物」
- ^ Yokoyama H (2004). “Life Cycle and Evolutionary Origin of Myxozoan Parasites of Fishes.”. Jpn J Protozool 37 (2): 1-9. (魚類に寄生する粘液胞子虫の生活環と起源) PDF[リンク切れ]
- ^ 動物大百科 19, p110,p149
- ^ 理科ねっとわーく
- ^ [宮田:1996]
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