農林中央金庫
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貸付・有価証券投資
- 1980年代後半のバブル景気時代には住宅金融専門会社(住専)に多額の貸し込みを行っていた。リスクの大きい物件の不動産融資に傾注していた住専は1990年代に入り、バブル崩壊とその後の平成不況による地価下落・住宅価格下落で破綻し、農業協同組合等の系列金融機関(JAバンク系)も破綻は時間の問題となっていた。しかし、1996年の第136回国会、通称住専国会における特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の制定に伴い、国費により住専の債権が買い取られたことにより救済され、破綻を免れた。
- 1986年(昭和61年)9月の農林中央金庫法の改正による特別民間法人化、2001年(平成13年)の金庫法全面改正を経て経営体制の大幅刷新、および投資銀行へと大きく舵を切り[20]、資金余剰で金利の低い国内金融を縮小し、金利の高いアメリカ合衆国連邦政府を中心とする外国債権購入・外国債券投資を増やした。
- この転換は、連邦準備制度の金利引き上げと円安傾向と相まって、利ざやが大きく巨額の利益をもたらした。しかし、2007年後半からアメリカ合衆国のサブプライムローン問題の顕在化で、これまでとは逆の連邦準備制度理事会の金利引き下げと米ドル安トレンドとなり、2008年(平成20年)3月期の最終利益は過去最高を達成したものの、日本の株価の値下がりの影響による870億円余りの損失と合わせて2743億円の損失も計上することとなった[21]。
- 2008年(平成20年)度に入って、サブプライム住宅ローン危機はさらに深刻化、金融危機が米連邦住宅抵当公庫(ファニー・メイ)や米連邦住宅金融抵当公庫(フレディ・マック)の旧連邦政府系金融機関にも及び、ファニー・メイの株価だけでなく両社発行の社債価格も大幅に下落した。両者の社債を三菱東京UFJ銀行の保有額を超え、日本最大の5兆5000億円を保有する農林中金は[22]、再び不動産金融で危機を迎えるのか予断を許さない状況だったが、政府管理下に置かれて元利払いが継続されるため、この問題は乗り越えた。9月中間決算で証券化商品の評価損として810億円を処理した。
注釈
出典
- ^ a b c d e “組織概要:農林中央金庫”. 農林中央金庫. 2023年12月16日閲覧。
- ^ “農業マネー 投信へ 農中が新組織、資産運用を強化”. 『日本経済新聞』電子版. (2017年7月16日) 2020年2月27日閲覧。
- ^ a b “農協金融2年で分離・再編 農林中金、JAに判断求める”. 『日本経済新聞』電子版. (2017年4月7日) 2020年2月27日閲覧。
- ^ 「農協金融再編第1号 宮城県信連の事業を統合」『朝日新聞』2002年10月16日
- ^ 「東北の県信連 農中と統合促進 今秋 秋田・山形 経営基盤強化」『日本経済新聞』2003年5月20日
- ^ 「農林中金に県信連の全事業譲渡 最終統合」『読売新聞』山形版 2006年1月16日
- ^ “農林中金が最大基金設立”.『朝日新聞』(朝日新聞社). (2014年3月25日)
- ^ “オランダ大手金融と提携 農林中金”.『朝日新聞』(朝日新聞社). (2015年5月28日)
- ^ “農林中金、欧州農業金融大手と提携発表 輸出拡大へ”. 『日本経済新聞』 (2015年5月27日). 2015年7月18日閲覧。
- ^ “JAバンク、移動店舗車両3年で100台導入”. 日本経済新聞ニュースサイト (2016年8月17日). 2020年2月27日閲覧。
- ^ “三菱UFJ、ニコスを完全子会社化 非現金決済の柱に”. 『日本経済新聞』電子版. (2017年5月10日) 2020年2月27日閲覧。
- ^ “農林中央金庫と三菱UFJフィナンシャル・グループのリテール分野における戦略的業務提携の強化・拡充について”. 農林中央金庫 三菱UFJフィナンシャル・グループ 三菱UFJニコス. (2017年5月15日) 2017年8月11日閲覧。
- ^ “農林中金が欧州における銀行現地法人の設立認可を取得”. 日本農民新聞社. (2019年8月19日)
- ^ 「農林中金がタイ銀と提携 アジアで協調融資など拡大」『日本経済新聞』電子版(2020年2月24日)2020年2月27日閲覧
- ^ 「農林中金とタイのカシコン銀行が包括的な業務提携の覚書を締結」 日本農民新聞社(2020年2月26日)2020年3月4日閲覧
- ^ “農林中金、全国17営業所廃止 来年3月末”. 『日本経済新聞』. (2019年4月26日) 2020年2月27日閲覧。
- ^ 「農林中金が2022年目途に本店を大手町に移転」 日本農民新聞社(2020年3月3日)2020年3月4日閲覧
- ^ “東銀リース株式会社の第三者割当増資および資本業務提携について” (PDF). 東銀リース、三菱UFJ銀行、農林中央金庫、東京センチュリー (2022年6月23日). 2023年6月27日閲覧。
- ^ 村松岐夫『「不良債権処理先送り」の政治学的分析:本人混迷と代理人の裁量』(レポート)経済産業研究所、2004年3月 。
- ^ 『FACTA』2007年10月号「〔企業スキャン〕農林中金―「農」衰退でファンド化[リンク切れ]」
- ^ MSN産経ニュース 2008年5月27日「農林中金 サブプライム関連損失1869億円計上[リンク切れ]」
- ^ NIKKEI NET 2008年7月17日「農林中金、米住宅公社債5兆5000億円を保有 国内で最大規模[リンク切れ]」
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