輸入車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/05 02:25 UTC 版)
日本における輸入車
正規輸入車と並行輸入車
法的には「正規輸入車」と「並行輸入車」とは区別されていない。
日本において公道を走行するための自動車は、道路運送車両法に基づき、国土交通大臣に対して自動車の型式ごとに安全性、環境性などを申請し認可されている必要がある。 型式の認定は、 一般的な量産自動車は「型式指定自動車」、大型商用車などは「新型届出自動車」、年間輸入台数が2000台以下の車種では「輸入車特別取扱自動車」の3種に分類される。このいずれかで認可された輸入自動車が一般的に「正規輸入車」と呼ばれ、またこれらを取得していない輸入自動車を「並行輸入車」と呼んでいる。
「型式が認定されている車」と「そうでない車」の違いは個別車種が保安基準に合致しているかどうかを「事前に登録されている型式」で見るか「実際の個別車両」で見るかの違いである。公的な自動車検査機関がおこなう検査のために要する時間が、同一仕様が大量に生産される車両であれば「型式」というもので簡略対応できるという用途のものである。その代わりに個別車両での車両規定合致検査は一台一台厳格な検査が要求されるが、実際は法的措置によって一部簡略化されている。
「並行輸入車」とは、一般の商品で「並行輸入」といわれる「日本の正規代理店が取り扱っている商品を別の業者が別のルートで輸入し販売すること」をさす意味とは異なる。「並行輸入」は「正規代理店があるのにそれを通さずに輸入すること」である。しかし、この意味での「並行輸入」の自動車を指し「並行輸入車」と言う場合も多い。「“正規代理店が存在しない車種”を輸入すること」に用いられ、また「メーカーとしての正規代理店はあるが日本国内で販売されていない車種」を他の輸入業者が輸入販売する際にも用いられる。
正規輸入車
前出の通り、「正規輸入車」とは法的には正式な呼称ではない。
自動車技術総合機構は、「輸入自動車のうち、自動車製作者または同製作者から自動車を購入する契約を締結して日本への輸入を業としている者が国土交通大臣に対して自動車の型式ごとに安全性、環境性などを申請または届出し、これを認められた場合は、これらの自動車を「型式指定自動車」、「新型届出自動車」または「輸入車特別取扱自動車」(いわゆる「ディーラー車」)として取り扱っています。」と定義している。
基本的には日本の型式指定を受けるため、外国での製造時点で排ガス基準や気候の違いなど日本の状況に対応するため、一部仕様変更がされている。後述する、日本メーカーの外国工場で生産されて日本に輸入され、国内の自社販売網で販売される、いわゆる逆輸入車もこれに該当する。
「正規インポーター」が輸入したものであろうとなかろうと、上記3通りの型式指定を受けていないければ法的名称として下記の「並行輸入自動車」となる。『多くは』「国外メーカーの指定する(または設立した)正規インポーター」であり、『多くは』型式指定を受けて「正規輸入車」として販売されているということである。
正規輸入車であっても、少数販売しか見込めない場合は型式不明車とする場合(三井の輸入車による販売)や、輸入車特別取扱制度による型式認定を受ける場合(ヒュンダイ・ユニバースなど)もある。
近年では、販売数の多い主要な外国自動車メーカーでは日本法人を設立し、そこを正規インポーター(輸入元)としていることが多い。日本法人がある自動車メーカーの場合、日本車に劣らない販売・サポート体制が完備されているケースが多い(一部部品の取り寄せに時間がかかる可能性はある)。
並行輸入車
「並行輸入車」もまた法的には正式な呼称ではない。自動車検査独立行政法人は、「日本で未登録の自動車を個人で日本に輸入した場合は、原則として「並行輸入自動車」として取り扱われます」と定義している。
車検証上の型式は「不明」もしくは型式が「--」(ハイフン、通称ヒゲ)で囲まれる。具体例としては、フェラーリ・F355の場合、型式欄が正規輸入車では「GF-F355」となるが、並行輸入車の場合「-F355-」と記される。これは、「指定自動車等と同一」または「指定自動車等と類似」として登録されるためである。
「指定自動車等と同一」「指定自動車等と類似」以外の輸入車に関しては、「その他」とされ、型式「不明(またはFUMEI、HUMEI)」として登録される。正規インポーターによる型式認定以前に輸入された個体の場合は型式不明で登録され、正規輸入車の型式認定取得後にヒゲ囲みによる「指定自動車に類似」への変更は(原則として)できない。
車台番号については、審査事務規定5-2-2の (1) 以外の並行輸入自動車及び製作者の特定が困難等の理由で車名が「不明」となる場合には、国土交通省による車台番号の職権打刻が必要であることを規定されている(この場合、元の車体番号(VIN)は、車検証備考欄にシリアルナンバーとして記される)。
「指定自動車等と同一」「指定自動車等と類似」「その他」の3通りのいずれの場合であっても、国が定めた衝突安全性や排出ガス基準に適合していなければ国内で登録することはできない。しかし、中古並行車の場合などは、現地での登録書類等により製造年が特定できれば、その製造年に対応する安全基準・排出ガス基準が適用される。例えば1950年製の車を並行輸入する場合、シートベルトは不要で触媒もないままで日本国内での登録ができる。
近年は生産国の安全・技術基準を「同等外国基準等」と規定し、適用される技術基準(衝突安全性、シートベルト、灯火類など)について適用対象・適合性を証する書面を省略できる。
なお、型式認定との違いは、同型式の車両を複数台輸入した場合においても、原則それぞれ一台毎に国が定めた衝突安全性や排出ガス基準等の適合性についての証明や届出が必要であるという点である(なお、輸入者が同一である同型式、同重量区分の車両の場合、一台の適合性の証明で複数台の基準適合性を証明できる場合がある。これは通常「排ガス枠」などと呼ばれるものである。)。
詳しくは自動車検査独立行政法人 [3] の審査事務規定を参照のこと。
並行輸入自動車では、日本未投入車種が輸入されることが多い。また、日本のディーラーで販売される正規輸入車では設定されていない仕様(特定グレード、MT仕様、ディーゼルエンジン、HDDカーナビなど)やブランド(ランチアなど)もある。
自動車部品のサプライヤーが、プロモーションの一環として自社の部品を使用している車両をスポット輸入することもあり、また正規インポーターもデモカーやサンプルカーとして輸入することがある。BOSCHによるアルファロメオ・ミト(ディーゼル仕様車)、フォードジャパンによるサンダーバード(11代目)の輸入例がある。
また、上記のトヨタ車(タンドラ、タコマ、ランドクルーザーディーゼルなど)や日産・タイタンのように日本では正規販売を行っていない輸入・逆輸入車を専門に輸入する業者も見受けられる。
販売店区分
正規輸入代理店
後述の正規インポータ(輸入元)(多くは外国自動車メーカーの日本法人)が輸入し、輸入元と契約したディーラ網(例:メルセデスの場合、ヤナセやシュテルン店)で販売されるケース。販売会社は、日本車ディーラーの関連会社として設立されることも多々あるが、1990年代半ばには日本車ディーラーで一部の輸入車を販売していたこともあった(三菱ギャラン店におけるメルセデス・ベンツの販売や、ホンダ販売会社におけるジープの販売など)。
並行輸入業者
一般の商品で「並行輸入」といわれる「日本の正規代理店が取り扱っている商品を別の業者が別のルートで輸入し販売すること」をさす意味での「並行輸入車」は、一般に「並行輸入業者」とよばれる販売店(自動車整備業の団体が多い)が販売する。
未走行の新車を並行輸入した場合「新車並行」、現地で登録済みの中古車等の場合「中古並行」と区別されることがある。これは法令上の定義ではなく、通常、販売者が宣伝のためにおこなう区別である。新車でも販売奨励金を受けるために日本国外のディーラーにおいて登録し「新車並行」として販売するケースがある。この販売のための区別に厳密な定義はない。いずれの場合においても、日本の法令上の車両登録では「新規登録」となり初回車検が適用される。
「並行輸入」の観点では、ヨーロッパ車の場合は、ユーロ高の影響や日本法人ができたことによる間接費の節減により、正規輸入車が安いといった逆転現象がある。
個人輸入
一部のマニア・企業が、日本で正規輸入代理店で取り扱われていない車種をスポット的に輸入するケースがあるほか、稀な例として、外国滞在中に現地で自動車を購入して、帰国時に日本に持ち帰るケースがある。個人の乗用車ではないが、ジェイアールバス関東がサンプル輸入したドイツ製超大型バス「ネオプラン・メガライナー」も、この類例に近い。
ただ、自動車の個人輸入については、通関手続き以外にも各種排ガスなどの対応・検査や登録などの膨大な手続きが伴い、実際に日本国内を正規に走行できる自動車として登録を取るのは、技術力などを持つ整備業などの協力がないと不可能である。過去に大阪府の中古車販売業者が、デモンストレーションを兼ね旧東ドイツ製乗用車「トラバント」を輸入し、登録を試みたことがあったが、排出ガス規制がクリアできなかった実例がある。
輸入車の購入
輸入車は販売するディーラーによって販売時のサービス、および、保証・修理などのアフターサービスに差異があることが一般的である。都市部でこそ複数ある販売店も地方部では1県に1店、極端な場合は日本全国でその1店のみといったサービスネットワークの限定もある。輸入のみのディーラーでありアフターサービスを行わない個人輸入をサポートする販売店もある。購入時には注意が必要である。また、使用部品が異なる、仕様の違いに対応できない等の理由で、正規ディーラーで修理を受け付けないケースもある。並行輸入車の購入は、修理やリコール時の対応へのリスクは承知の上での購入であることもある。ただし、並行輸入車であるという理由のみでディーラーが修理等を拒絶することは独占禁止法上の不公正な取引方法に当たり、違法行為となる。この為、並行輸入車の整備には費用・日数を要する場合があると表示している輸入車ディーラーも存在する。
並行輸入車の場合、以下のような問題が発生しやすい。
- 自動車保険の車両保険の保険金額・保険料、事故の場合、賠償金の問題
保険会社では、型式ごとに料率クラスを、型式と初度登録年で車両標準価額を定めて車両保険を引き受けているため、この基準に合致しない並行輸入車の場合、希望する補償内容を断られたり、引き受け交渉が必要な場合、引き受け不可能とされる場合が多い。また、相手方の保険会社から車両について発生した損害の賠償を受ける場合も、資料が乏しい為に損害額を算定できなかったり、実際の損害とかけ離れた金額しか賠償されないようなケースもある。型式不明車であっても、正規インポーターによって輸入されている(正規輸入であっても型式不明であるハマー・H2等の)場合は通常問題ないものの、やはり引き受け不可能とする損害保険会社も存在する[13]。
- 補修部品の供給などの問題が発生しやすい
メーカーが、仕向地によって仕様や部品を変えている場合も少なからずあり[注 10]、特に生産終了から時間が経過した車種においては、補修部品の入手が困難なケースも多い。
ただし、欧米では部品メーカーによる補修部品の供給が特定メーカーに結びつくことなく行われており、特にアメリカでは国土の広さから歴史的にユーザのDIYレベルが高く通信販売が古くより普及しており、販売車両数が多く長期に使用されることから補修部品の安価な流通がなされており、メーカー部品供給が切れても部品メーカーによる代替品が長期に販売されてもいる。これに近年のインターネットの普及によって、アメリカからの補修部品の取得は大変容易になっているため、アメリカで販売されている車両では、日本においても、自車の部品の特定、および、実際の補修サービス実施の技術が確保できるのであれば日本車以上に長い年月の補修も可能となる場合がある。よって、一般的な日本車のサービス形態とは異なるユーザ意識が求められる場合がある。
特徴
日本車との比較において、以下のような特徴を指摘されることがある。ただ、これらは根拠が不明確でイメージに過ぎない場合も多く、特に輸入車は多様な国や地域の多様な車種を含むため、一概に論ずることは本来適切ではない。
プラス面
- ブランドの価値
- 性能など
- 耐久性に優れた車種がある(ボルボ、メルセデス・ベンツ、ポルシェなど、主にドイツ車やスウェーデン車。乗用車の走行距離世界一は1966年型ボルボP1800で、約270万キロでギネスブックに認定されているとのこと )。
- デザインが個性的であるとされる場合がある(当然メーカー・ブランド・車種によるのでこれは一概には言えない)。
- 安全性への高い意識
- 欧米車は、横滑り防止装置の普及率が高い[15]。
- 特にコンパクトカーにおいて、欧州からの輸入車と日本国内で販売されている同クラスの日本車とを比較すると、各種安全装備が充実している場合が多い。安全性を強調するブランド戦略のため、本国ではオプション扱いとなっているようなものまで標準装備されている場合もあるが、逆に上記の横滑り防止装置や、後部中央座席(5人乗りの場合)のヘッドレストと3点式シートベルトといった装備は、現在の欧州からの輸入車に非装備車は全く見られない(そもそも現在の欧州での法規制に通らないのでそのようなグレードは生産されていない)。サイドエアバッグ、カーテンシールドエアバッグなどは、最下位グレードの車種でも例外なく標準装備されていることと比べると、特に後部中央座席ヘッドレストと3点式シートベルトは同クラスの日本車ではオプションですら用意されていないことがあり[注 11]、安全装備の充実を最優先して比較すると、輸入車が割安となることがしばしばある。
マイナス面
- 輸入の際の運搬中、傷やへこみが付く場合があり、それらは販売前に専用のデポで補修されるがコストとして販売価格に加算されている。
- 輸出を考慮していない車種の場合、実用上・安全上の問題が生じることがある。
- アメリカ仕様車及びイギリス仕様車を日本に持ち込んだ場合、速度計がマイル表示主体となる[注 12]。マイル表示の速度計のみでは車検に通らないが、キロ表記とマイル表記が併記されているメーターであれば問題ない。また、総走行距離計(オドメーター)がマイル表記であることについては一切差し支えない。
- アメリカ製ミニバンの一部では、左ハンドルのみであることに加え、日本仕様であっても後部スライドドアが右側にしか設けられていないことがある(シボレー・アストロが典型例[16])。この場合、左側通行の日本では後部座席には車道側から乗降することになるため、道路上での乗降は非常に危険である。なお、シボレー・アストロの販売を行っていたヤナセでは、「このドアは後席用スライドドアではない。車道から運転席へ乗り込むための運転席アクセスドアである。後席へは歩道側から運転席ドアを介し、ウォークスルーして乗り込んで欲しい」という極めて不条理な説明を用意していた。ヤナセで販売されていたシボレー・アストロの後部スライドドア開口部には、同様の内容を記したステッカーが貼られている。
- 欧州車(ガソリン車)ではハイオク指定がほとんどで、燃料費が割高となることがある。
- アメリカ車ではレギュラー指定が多い。
- 欧州車の小 - 中排気量車の実用燃費は一般に日本車とそれほど変わらず、特に高速巡航での燃費は一般的な日本車より優れている場合もある(特にディーゼル車)が、ガソリン車での燃料指定はハイオクとなる場合がほとんどである。
- 各種部品が割高である場合が多く、結果として維持費が高くなりがちである。正規代理店で購入した場合は購入後のサービスを低価格もしくは無料で受けられる場合もあるが、通常の部品代や工賃は同等の日本車より割高に設定されている場合が多い[注 13][注 14][注 15]。
- ディーラー網やメーカー・ブランドが撤退した場合、保守面の不安が生じる(サターン、オペル[注 16]、ローバー、ヒュンダイ、フォードなど)。
- 一般に日本車よりディーラー数が少ない(ヤナセの174店舗に対し、フォルクスワーゲンは309店舗、シトロエンは70店舗、三菱【ふそうを除く】が751店舗[20]、トヨタは4963店舗[21]、レクサスが214店舗)。
- グリーン税制やエコカー減免の対象外となりやすい。特に、型式指定を取得していないPHP輸入車・並行輸入車等の場合、燃費計測が行われていないことから、グリーン税制やエコカー減免の基準に合致できないことが多い。逆に、輸入車がグリーン税制やエコカー減免に合致できていても、減税額は国産車よりも低い。
俗説
輸入車全般への俗説(または迷信)もある。
- 「日本車より輸入車の方が故障が多い」または「日本車より輸入車の方が安全性が高い(特に安全性を前面に出して宣伝されているドイツ車やスウェーデン車)」などと、ひとまとめで議論しようとする見方があるが、日本車と輸入車の間で故障率や安全性が異なるという事実はない。故障率や安全性はメーカーの設計思想や生産国、車種や年式、グレードや搭載オプションなどによって差異が認められる[22][23][24]。
- 「輸入車は多気筒大排気量車ばかりで燃費も悪い」という意見があるが、近年の輸入車は、燃費とパワーの両立を考慮し、排気量を今までより縮小したガソリンエンジンにターボを組み合わせた車種が主流である(ダウンサイジングコンセプト)。また、一部の高性能車を除きエンジン気筒数も抑制されており、例えば2016年夏にはDセグメントの車種に直列3気筒エンジン車が登場している(BMW 318i)。これらにより、多気筒大排気量エンジンを持つ車種はむしろ日本車に多く残るという逆転現象が発生している。
主な輸入車インポーター
外国メーカーの日本法人
- メルセデス・ベンツ日本
- フォルクスワーゲン グループ ジャパン
- ポルシェ・ジャパン
- BMW JAPAN
- ボルボ・カー・ジャパン
- ルノー・ジャポン
- Stellantisジャパン株式会社
- ゼネラルモーターズ・ジャパン
- フェラーリ・ジャパン
- ランボルギーニ・ジャパン
- マセラティ・ジャパン
- Hyundai Mobility Japan株式会社
- スカニアジャパン
その他のインポーター
- オートトレーディングルフトジャパン
- オートプレステージ
- ニコル・オートモビルズ - BMWアルピナ車の輸入権を保有。
- UDトラックス - ボルボ(商用車)の輸入。
過去のインポーター
- Audi Japan(2022年1月1日付でフォルクスワーゲン グループ ジャパンへ吸収合併)
- 日本ゼネラルモーターズ
- フォード・ジャパン
- ヤナセ
- ミツワ自動車
- 伊藤忠オート - 1970年代までアルファロメオを輸入
- 三井物産オートモーティブ (三井物産グループ)
- プレストコーポレーション
- 大沢商会 - 1990年代のアルファロメオを輸入
- クインランド・カーズ (旧近鉄モータース)
- チェッカーモータース
- スズキ - 1987年~1994年、プジョーを輸入
- キャピタル - オースチン、ルノーを輸入
- シーサイドモーター - 1970年代に存在したスーパーカー専門の輸入元。
- ジヤクス・カーセールス(JAX) - フィアット、アバルト、ルノーを輸入。1992年、「フォルクスワーゲン・アウディ日本(現フォルクスワーゲン グループ ジャパン)」が株式過半数を取得し、ファーレン東京とした。のち商号変更され会社登記上は現在のアウディジャパンにつながる(ただしファーレン東京の全業務はフォルクスワーゲンAGが新規に設立した新ファーレン東京に譲渡され現在のフォルクスワーゲン東京につながる。)。
- サミットモーターズ(住友商事系) - 1990年頃、フィアットを輸入。
- 西武自動車販売 (セゾングループ、のちに新西武自動車販売に変更) - 主にシトロエン、サーブを輸入
- 東邦モーターズ - オペル、オールズモビル、フィアットを輸入。
- 日英自動車 - モーリス、ルノー、アルファロメオを輸入。1985年解散。
- バルコム・トレーディング・カンパニー - BMW乗用車を輸入
- フランス・モーターズ (ヤナセ傘下) - 1990年代のルノーを輸入
- ボルボ・カーズ・ジャパン - ボルボ(乗用車のみ)を輸入
- 三菱商事 - ヒュンダイXL(販売は三菱自動車)、ウィネベーゴを輸入
- ローバージャパン
- セントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本) - トヨタ・タンドラを輸入
- コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- WILLER ALLIANCE - 大宇バス製の大型バスを輸入。系列のWILLER BUS(現:WILLER EXPRESS)各社に多数が導入された。
逆輸入車
「逆輸入車」は正式な呼称ではない。日本国内で生産した国外向け輸出モデルを、日本へ再輸入した車両を指す。以前は日本メーカーの海外現地工場で生産され、日本へ輸入された車両 (現地生産車) もこのように呼ぶ向きもあったが、誤用であり、その意味では定着していない。主に趣味性・嗜好性が高く、日本国内で未発売となる仕様違いを含む輸出専用モデルがほとんどで、オートバイ、スポーツカー、SUV、ピックアップトラック、前輪駆動由来の大型サルーン(セダン)に例が多い。
オートバイの場合、日本仕様車では750cc排気量規制、出力規制、速度表示規制(これらは現在撤廃)、速度リミッター、他国仕様に比べ厳しい音量規制など、各種規制が厳しかったため、規制を受けない利点から逆輸入車が広まった。
過去にはホンダの大型オートバイGL1000、CBX、CB1100R、CB900F、CX ターボ、スズキのGSX1100Sカタナなどが先鞭をつけたが、逆輸入の勢いに火をつけたのは、カワサキのGPZ900Rニンジャである。これらは750ccの排気量自主規制がなくなった後も逆輸入され続けたが、これは特に騒音規制について輸入車は2010年まで一部数値(加速走行騒音および定常走行排気騒音)の適用が免除され、近接排気騒音のみ適用となっていたことから、フルパワー車両の逆輸入が行いやすかったため、オートバイに自動車排出ガス規制が適用されるようになった後も縮小してしまった国内市場を見切った輸出専用車や、保安部品の後付けで公道走行が可能となる恩恵を受けられる競技仕様モトクロッサーなどに乗るための逆輸入が広く行われた。
だが2008年9月から自動車排出ガス規制が輸入オートバイにおいても全排気量車で強化されることになり、欧州EURO-IIIや台湾第5期規制などの国内規制に並ぶ規制値に対応していない2サイクルエンジン搭載車やキャブレター仕様車などの輸入は非常に難しくなった。 また騒音規制も2010年からは欧州基準が適用されたためフルパワー仕様車を逆輸入して販売することが難しくなった。しかし近年は排ガス・騒音ともに日本の規制値が欧州とほぼ同一となったことから、かつて逆輸入せざるを得なかった欧州向けの車種が日本国内で正規に発売されるケースは増加している。
近年、日本メーカーが進出した外国での現地合弁企業などによる生産工場において、国内生産車と同等程度の品質を保証できるレベルに至ったこと、円高基調が続いていることなどから、日本メーカーがインポーターとして型式認定を受け完成検査(PDI)を行い、正規輸入車としてに販売を行っている車両が増加している。コスト削減のため、生産国で完成検査を行なっている車両も存在する。
日本メーカーの現地生産車
輸入車には日本の自動車メーカーの国外生産拠点で生産された車種も含まれる。なお日本のメーカーにおいて正式に発売していない(型式認定を受けていない)自動車は前項の「並行輸入自動車」となり、日本メーカーが正式に発売する(型式認定を受けた)自動車は前々項の正規輸入車として扱われる。したがって、輸入車統計の中にトヨタや日産、ホンダ、三菱などの国外工場から輸入された車も集計される。
現地生産車は、日本メーカーの車種展開の一環として品揃えの充実にあてられる。輸入車であることを前面に打ち出すことも多く、生産国名を車名に付記する(US、UK、オーズィーなど)、専用エンブレムやデカールが用意されるなど、付加価値が強調される場合もある。当然、外国メーカー製輸入車と同様に排ガスや気候の相違などの日本市場に向けた対応がされており、国内生産された他車種とほぼ同等のアフターサポート体制が受けられる。
以下に輸入された日本メーカーの現地生産車を記す。
自動車
(過去のものを含む。☆は2023年3月現在日本国内で輸入販売されている車種、★は近日中に日本国内で輸入販売が予定されている車種)
トヨタ自動車
- アバロンと後継のプロナード(アメリカ)
- アベンシス(イギリス)
- カムリワゴン・クーペ → セプターワゴン・クーペ(アメリカ)
- GRスープラ(オーストリア)☆
- ダイハツ・グランマックス → タウンエースバン・トラック(インドネシア)☆
- ダイハツ・グランマックス → ライトエースバン・トラック(インドネシア)
- ハイラックス(8代目・タイ)☆
日産自動車
- ツバメ → ADバン(1993年頃-1999年頃の一部モデル・メキシコ)
- クエスト(初代・アメリカ)
- ダットサンピックアップ V6-SE(D21型・アメリカ)
- ピンターラ → ブルーバードオーズィー(オーストラリア)
- プリメーラ5ドア → プリメーラeGT(P10型・イギリス)及びプリメーラUK(P11型・イギリス)
- テラノII → ミストラル(スペイン)
- キャシュカイ → デュアリス(イギリス)(2007年12月以降の日本向けモデルは日産九州工場での生産に移管されている)
- マイクラC+C(イギリス)
- アルメーラ → ラティオ(N17型・タイ)
- マイクラ → マーチ(K13型・タイ)
- e-NV200(ME0型・スペイン)
- キックス e-POWER(P15型・タイ)☆
本田技研工業
- MDX(カナダ)
- アコードクーペ(アメリカ)
- アコードワゴンの1991年頃 - 1998年頃のモデル(初代・2代目)(アメリカ)
- インスパイアの1998年頃 - 2003年頃のモデル(アメリカ)
- エレメント(アメリカ)
- ホンダ・シビックGX天然ガス自動車(カナダ)
- シビッククーペ 1992年9月〜1998年12月(クーペの初代・2代目)(アメリカ)
- シビックハッチバック(10代目)2017年9月 - 2021年6月(イギリス)
- シビックタイプR(4代目・5代目)4代目:2015年12月〜2016年4月、5代目:2017年9月〜2021年6月 (イギリス)
- セイバーの1998年頃 - 2003年頃のモデル(アメリカ)
- フィットアリア(タイ)
- ラグレイト(カナダ)
- アコードツアラー 2008年12月 - 2013年2月 (イギリス)
- NSX 2017年2月 - 2022年12月(2代目)(アメリカ)
- アコード(日本仕様10代目セダン) 2020年2月-2023年1月 (タイ)
マツダ
- MAZDA2 SEDAN → マツダ教習車 2019年5月- (タイ)☆ - 教習車専用車種[注 17]
- ダイハツ・グランマックス → ボンゴバン・トラック(インドネシア)☆
三菱自動車工業
- エクリプス(アメリカ)
- エクリプススパイダー(アメリカ)
- カリスマ(オランダ)
- ストラーダと後継のトライトン(タイ)
- ディアマンテワゴン(オーストラリア)
- マグナステーションワゴン(オーストラリア)
- ミラージュ(タイ)
スズキ
ダイハツ工業
- グランマックスカーゴ・トラック (インドネシア)☆
いすゞ自動車
- ウィザード 2代目モデル(アメリカ)
他
その他
- いすゞ・ステーツマンデビル(オーストラリア、ホールデン・ステーツマン)
- トヨタ・キャバリエ(アメリカ、シボレー・キャバリエ)
- トヨタ・ヴォルツ(アメリカ・NUMMI 製ポンティアック・ヴァイブにトヨタエンジンを積んだ専用モデル)
- ホンダ・クロスロード(イギリス・ランドローバー・ディスカバリー)
- (マツダ)フォード・フェスティバ5(韓国・キア・プライド5ドア)
- (マツダ)フォード・フェスティバベータ(韓国・キア・プライドベータ)
- スバル・トラヴィック(タイ・オペル・ザフィーラ)
特殊な例として、以下のようなものが存在する。
- シボレー・オプトラ - GM大宇で生産され、ホールデン製のエンジンを搭載し、シボレーブランドでスズキが販売すると言う、日本仕様車の生産・販売においては4カ国ものブランドが絡む特殊な事例。
- マツダ・ロードペーサー - 車体のみをオーストラリア・ホールデンから輸入し、ロータリーエンジンを搭載した。
- ローバー・400/600/800 - いずれもホンダとローバーの共同開発だが、主要メカニズムはホンダ、生産はローバーという日英混血車種。なお、800の初期は「スターリング」を名乗り、ベースのレジェンドとともにホンダの埼玉製作所で製造されていた。
- ルノー・コレオス - 企画とデザインはルノーだが、メカニズムの大半は日産、生産は傘下の韓国・ルノーサムスン自動車が担当するという日仏韓合同プロジェクトのもとで開発された例。
オートバイ
- 本田技研工業
- ヤマハ発動機
- 台湾山葉機車工業(台湾)
- タイヤマハモーター(タイ)
- PT.ヤマハ・インドネシア・モーター・マニュファクチャリング(インドネシア)
- スズキ
- 台鈴工業股份有限公司(台湾)
- 常州豪爵鈴木摩托車有限公司(中国)
- 済南軽騎鈴木摩托車有限公司(中国)
- タイスズキモーター(タイ)
- スズキ・インドモービル・モーター(インドネシア)
- スズキ・モーターサイクル・インディア(インド)
- 江門市大長江集団有限公司(中国・レッツ4の2010年モデルのみ)
- 川崎重工業
- カワサキモータースエンタープライズタイランド(タイ)
注釈
- ^ ダイハツ・コペンが右ハンドルのまま右側通行のドイツで正規販売されたケースや、BMW・Z8やフィアット・バルケッタが左ハンドルのまま左側通行のイギリスで正規販売されたケースなど。これらは共に、ハンドル位置の設定がそれしかなかったためである。
- ^ 清原和博は、運転免許取得時に右ハンドルの教習車に乗ったのを除けば、現在に至るまで一貫して左ハンドル車を乗り継いでいる。
- ^ 実際の製造はマグナ・シュタイア社である。
- ^ なお、トヨタがオーストリアで製造している[注 3]GRスープラがこのレバー配置のまま日本で販売されているほか、以前はイギリスで製造されて日本に輸入された3代目アベンシスも、このレバー配置のまま日本で販売された。
- ^ 一車種でもセダン、クーペ、ワゴンと異なった車体形状もあれば、倍以上の排気量差、そして幅広い設定の価格帯が珍しくない。
- ^ 「ヨーロッパ車は安全」というイメージを強調するために安全装備を重視することが多い。
- ^ メーカー間の提携により、日産ではフォルクスワーゲン・サンタナをノックダウン生産して販売していた他、オートラマではマツダが製造したフォード車、GMシボレー店ではスズキが製造したシボレー車を販売していた。また2016年 - 2020年の期間、マツダがフィアット・124スパイダー(アバルト・124スパイダー)をロードスターをベースに製造していた。
- ^ 2022年現在、同地にはマツダのR&Dセンターが立地している。
- ^ ただし、韓国車の正規輸入ということに関しては、それ以前にも1988年にソウルオリンピックを記念して少数のヒュンダイ・エクセル(日本名・XL)が左ハンドルのまま三菱ディーラー網(カープラザ店)で販売されたことや、1999年からマティスが韓国車(デーウ車)であることをあまり表に出さない形で正規輸入されていた例がある。
- ^ 正規輸入車の場合、日本向けに仕様変更(エアコンの強化、ラジエーターの大容量化など)している場合がほとんどである。
- ^ トヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットなど。もちろん欧州に輸出されているトヨタ・ヤリス(ヴィッツの輸出名)などでは装備している
- ^ 米英仕様以外でも、メーターパネルのディスプレイに小さくマイル表示が出る車種も存在する(フォルクスワーゲン・ゴルフVIなど)。
- ^ BMW・3シリーズを例にとると、前輪ブレーキパッドの交換の正規ディーラー料金は31,320円であるが、同クラスの日本車の場合は正規でも2万円前後に収まる。他の例として、オートバイのブレーキレバーの部品代金は日本車は1,000〜3,000円前後であるが、輸入車は概ね5,000円以上である。
- ^ 日本車やアメリカ車のエンジンオイルは多くの場合API規格を採用しているのに対し、欧州車はほぼACEA規格またはそれに準じた規格を採用しているため、オイル交換時の費用が割高になってしまう。
- ^ カー用品店でホーンなどのアクセサリーを購入しても、輸入車という理由で作業を断られるケースがある。
- ^ 同社は2021年夏をめどに日本でも再展開することが予想されていたが[17][18]、コロナの影響による半導体不足や原油価格高騰などの影響で2023年以降に延期となった[19]。
- ^ 合法的に個人ユーザーも購入可能だが、個人ユーザーが購入した場合は原則として自家用車としての登録(5ナンバー登録)となる。
出典
- ^ ミツワが91年モデル、ポルシェ全車種に右ハンドルを設定 『日経産業新聞』 平成2年9月3日 9面
- ^ 自動車雑誌『くるまにあ』2000年10月号 135ページ:日本でのロールス・ロイスやベントレーに左ハンドルが多い理由について「今まで左ハンドルに慣れていた人が、急に右ハンドルは運転できないため」と解説
- ^ 主要国の自動車市場規模(2008年)、サーチナ【コラム】、2009/06/02
- ^ a b ミツワ自動車、ポルシェ車輸入、独社と和解 -日本法人と販売契約へ 『日経産業新聞』 平成10年1月13日 13面
- ^ “해외 이사화물”. 仁川本部税関. 2017年2月13日閲覧。
- ^ a b c “自動車販売台数速報 韓国 2017年”. 自動車産業ポータル Marklines. 2018年9月23日閲覧。
- ^ “GM in Korea”. General Motors. 2017年2月13日閲覧。
- ^ a b c “10台から22万台に…韓国輸入車の歴史30年”. ハンギョレ. 2017年2月13日閲覧。
- ^ a b “昨年の輸入車販売 VW急減・ベンツが1位=韓国”. 聯合ニュース. 2017年2月13日閲覧。
- ^ a b “비슷한듯 다른듯…한국과 일본의 수입차 소비문화 차이 출처”. SBS 뉴스. 2017年2月23日閲覧。
- ^ “韓国市場で15%の壁越える…攻勢に出た輸入車”. 中央日報. 2017年1月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 中古車の輸入が制度上困難な国々 日本貿易振興機構 2018年5月20日閲覧
- ^ “当サイトのお取り扱い範囲”. イーデザイン損害保険. 2020年9月8日閲覧。
- ^ 一度は乗ってみたい高級車ランキング、goo ランキング
- ^ 「欧米ではESC装備の義務化が決まり新車への普及率が半数を超えているが、日本では2割に満たない」、Iza、2009年7月16日
- ^ 「右側後部スライドドアの左ハンドルのみの設定」
- ^ オペル、PSA傘下で日本再上陸へ 日刊自動車新聞 電子版 2019年12月10日付け
- ^ 独オペル、15年ぶり日本再参入 2020年1月18日 日本経済新聞
- ^ 安達嘉平 (2022年3月3日). “2022年中のブランド復活は白紙に!? 独「オペル」日本上陸が再延期 一体何があった?”. くるまのニュース. 2022年7月31日閲覧。
- ^ リクナビ2010 三菱自動車販売会社グループ、Yahoo!リクナビ
- ^ トヨタ販売会社グループ マイナビ2010、マイコミ
- ^ 2009年米国自動車耐久品質調査、J.D.パワー(米)、2009
- ^ IIHS Top Safety Picksの一覧。特定の国の車に偏っているという事実は見られない。IIHS
- ^ Modelごとに安全性評価を比較できる。Euro NCAP
- 輸入車のページへのリンク