軽減税率 軽減税率とC効率性

軽減税率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/26 08:32 UTC 版)

軽減税率とC効率性

日本

軽減税率のない国であるために消費税の優れた課税ベースの広いという性質を活かしてC効率性[21] は世界5位を誇っている。しかし、軽減税率の導入で将来的には標準税率は軽減税率の不足分増されていく予定なので、軽減税率と標準税率の差拡大の度のC効率性の順位下落が確実視されている[11]

ニュージーランド

広い免税範囲・7種類の従価税率7と12種類の特別税率という複雑な税率構造であること、サービス業へは非課税であること、製造業者から直接購入できる大規模小売業者に有利であることなど、従来の卸売売上税の歪みや歳入における個人所得税への極端な依存を是正し、社会保障給付の増加と保護主義的な経済政策で拡大した財政赤字の削減などのために消費税が1968年に10%で導入された。1989年に12.5%へ消費増税されたことで、1994年からGDP比の財政収支が黒字に転じた。経済に対して最も中立的な付加価値税の制度を設けているので世界2位のC効率性を誇っている。1999年にニュージーランド政府は最小のコストで安定した税収を得るためには、課税ベースの拡大と単一かつ定率の消費税だとの方針を示している。1986年の軽減税率無しの10%の消費税導入に日本のような国民の反発はなかった。背景として、ニュージーランドでは社会保障費の制度を中負担中福祉にすること、低所得者には消費税による軽減税率を行わないことにより増えた税収から、後で多く再分配する方が、小売店や役所の負担軽減と軽減税率計算処理による納税コスト軽減や格差是正には効率的との政府の方針を国民が受け入れたためとされている。また、2006年に付加価値税収の総税収に占める割合は24.4%となっている[10][11]

デンマーク

1967年に福祉国家建設のための予算不足のために広く安定した課税ベースを確立することを目的にデンマーク社会民主党によって軽減税率無しの10%で導入された。1970年代に20.25%台にまで引き上げられた後に、1992年から現行の25%になった。軽減税率は、歳入減少の財政負担や徴収の効率化、また適用対象品目の区別などが困難であること、逆進性への対処として、一律25%の消費税による税収を後で社会保障給付によって再分配を行う方が効率的として導入しなかった。2006年の対総税収比では、個人所得税負担の割合が51.3%と突出しており、付加価値税の割合は21.3%となっている。デンマークは、自国企業の国際競争力や外資誘致のために法定実行税率も低く、高負担高国家として国民の手厚い社会保障の財源は基本的に高い所得税と消費税で7割以上も賄われている。これは、同じ北欧で25%の消費税で6%の軽減税率があるスウェーデンを上回るC効率性となっている。スウェーデンの付加価値税がデンマークよりもC効率性は低い理由には、軽減税率を導入していること、消費者を顧客とする小売・サービス業で発生しやすい脱税や、現金を用いない電子商取引の発達、税率の低い隣国での国境を越えた買い物による租税回避が挙げられている。軽減税率を導入せずに消費税の税率が全て一律なため、デンマークは世界で最も課税ベースが広い国であるとされている[10] [11]


  1. ^ 食料品等に対する軽減税率の導入問題 髙田具視(税務大学校研究部教授)(国税庁HP)
  2. ^ ■軽減税率制度は全ての事業者の皆さんに関係します(政府広報オンライン)
  3. ^ 消費税の軽減税率制度等に関する資料(財務省HP)
  4. ^ a b 日本の場合毎年一兆円の税収減が予測されている
  5. ^ サラリーマン増税の「真犯人」は消費税軽減税率だ 週刊diamond
  6. ^ a b c 軽減税率を導入すべきか - みずほ総合研究所
  7. ^ a b 軽減税率はなぜ人気なのか?
  8. ^ a b c d OECD Economic Surveys: Japan 2015, OECD, (2015-04), Assesment and recommendations, doi:10.1787/eco_surveys-jpn-2015-en, ISBN 9789264232389 
  9. ^ VATの還付制度:EU | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ”. www.jetro.go.jp. 2019年7月3日閲覧。
  10. ^ a b c 『諸外国の付加価値税 : 2008年版』,鎌倉治子,2008年
  11. ^ a b c d 消費税の軽減税率とC 効率性 - みずほ総合研究所
  12. ^ “軽減税率、高年収ほど恩恵” (日本語). 共同通信 (共同通信社). (2019年3月1日). https://this.kiji.is/474224679655064673 2019年3月3日閲覧。 
  13. ^ a b 株式会社エクス コラム 「インボイス方式導入による影響」 2017年11月24日閲覧
  14. ^ 日本経済新聞「基礎的財政赤字、6兆円台半ばに拡大 軽減税率で」
  15. ^ 軽減税率導入、財源80億円不足=減収穴埋め策判明-消費増税:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2019年2月5日). 2019年2月6日閲覧。
  16. ^ 「軽減税率は先進国の常識」の大ウソ!欧州の「失敗」を繰り返さないために…
  17. ^ 主要国の付加価値税の概要 財務省
  18. ^ a b 経済・マネー 【金融スクープ】消費増税各国が苦心する軽減税率の“珍”線引き zakzak 2013年1月16日(2013年1月13日時点のインターネットアーカイブ
  19. ^ 日本型軽減税率制度 - みずほ総合研究所
  20. ^ 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)|国税庁” (日本語). www.nta.go.jp. 2018年11月10日閲覧。
  21. ^ すべての国内消費に標準税率で課税された場合に得られる仮定での税収に対する実際の税収の比率
  22. ^ 軽減税率・自民と公明「大モメ」の全真相!`
  23. ^ a b c “政治裁定:軽減税率/上(その2止) 財務省、重ねた誤算 - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20151213/ddm/003/010/062000c 2018年10月4日閲覧。 
  24. ^ a b c まるで「クイズ」のような軽減税率の線引き”. 東洋経済ONLINE. 東洋経済新報社 (2016年2月22日). 2019年3月17日閲覧。
  25. ^ 堀江貴文氏、軽減税率をめぐる公明党の狙いを指摘「聖教新聞守るため」”. livedoorNews. livedoor (2015年12月19日). 2015年12月22日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年10月21日閲覧。
  26. ^ “新聞に軽減税率を適用する必要はない” (日本語). HuffPost Japan. (2015年10月16日). https://m.huffingtonpost.jp/hajime-yamada/newspaper_b_8309212.html 2018年10月4日閲覧。 
  27. ^ “消費増税と新聞の軽減税率 朝日社説の変節ぶり(THE PAGE) - Yahoo!ニュース” (日本語). Yahoo!ニュース. https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160519-00000006-wordleaf-soci 2018年10月4日閲覧。 
  28. ^ 「進次郎が訴えてもメディアはスルー…「新聞軽減税率」はなぜタブーか”. gendai.ismedia.jp. 週刊現代. 2020年8月28日閲覧。
  29. ^ a b c d e f 税率引き上げより怖い消費税の「インボイス制度」”. 大和総研グループ. 大和総研グループ (2018年12月12日). 2019年6月22日閲覧。
  30. ^ 問題だらけの軽減税率 ~天下り先確保、野放しの脱税、そして増税…得をするのは金持ちだけ
  31. ^ 税制調査会 2014年度 - 内閣府” (日本語). 内閣府ホームページ. 2019年3月22日閲覧。
  32. ^ 日本のキャッシュレス化に向けた課題-日本のキャッシュレス化について考える(3):研究員の眼 夏野剛公式twitterアカウント 2018年1月11日





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