赤城徳彦
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不祥事
事務所費
家賃や光熱水費の掛からない議員会館に主たる事務所を置く赤城の資金管理団体「徳友会」が計上した事務所費が、少額の時は19万円程度、多額の時はおよそ1000万円となるなど、大きく変動していることが明らかになった[12][13]。「備品・消耗品費」がゼロとなっている年があることも明らかになったが、事務所は休眠状態ではなく、政治資金パーティーなども開かれていた。本来は大きく変動するものではないという声もあるが、赤城の事務所は、「年によって活動の濃淡がある」と主張している[12]。
父の自宅を届け出
赤城の政治団体「赤城徳彦後援会」が、事務所としての実体がない赤城の父親の自宅(茨城県筑西市赤浜)を、主たる事務所として届け出た上、2005年までの10年間に、およそ9045万円(75.4万円/月)の経常経費を計上していたことが明らかになった。茨城県選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書によると、家賃などに当たる事務所費だけでも10年間でおよそ1631万円(13.6万円/月)、この他にも(いずれも10年間で)人件費およそ5353万円(44.6万円/月)、光熱水費およそ794万円(6.6万円/月)、備品消耗費およそ1266万円(10.6万円/月)を計上していた。
2007年6月30日、赤城の母は『週刊現代』の取材に対し、筑西市の自宅について「事務所として使ったことはまったくありません」と明言し、「赤城徳彦後援会」に対する光熱費や家賃の請求は「したことはありません」と語っている[14]。上記の発言のように、ここに住む赤城の父親・母親は当初、祖父の赤城宗徳の現役時代には使用していたが、現在は事務所としての実態がまったくないことを認めている上、後援会の代表者である前茨城県議会議員青木来三郎(自由民主党)に至っては、今は使われていないし自分が代表者になっていることさえ知らなかったなどと話している[15][16]。2007年7月11日、赤城宗徳の元秘書で茨城県議会議員を務める磯崎久喜雄(自由民主党)は「実家には事務所として実体はありませんでした。彼は『活動の拠点だった』という説明をしたことを深く反省し、潔く謝罪すべき」と指摘している[14]。
赤城は、報道当日に急遽農林水産省内で記者団の質問に答え、「祖父の時代からの後援会活動の中核の場所であり、架空計上や付け替えということは全くない」、「私の初当選からの拠点だ」とした上で、「電話代や切手代、事務機器のリース料、人件費などを積み上げた」と、実家での事務所としての活動はあったと主張、辞任の必要はないことを強調した。だが、先述のように赤城の父親、母親とも、当初の毎日新聞や、NHKなどの各メディアの取材に対し、赤城の祖父の時代には事務所として使われていたが、「徳彦の時代には実体がない」、お茶ぐらいは?との記者の質問に対しても、「それもここでは(したことが)ない…」という応対をしており、食い違った。ところが、報道が本格化した翌日になって、父親が自宅前でコメントを発表し、「頻繁に使われていた(赤城の)祖父の中選挙区時代と比べると少ないが、現在でも事務所として使われている」と、主張が急転する形となり、これについて赤城は「(両親の)当初の答え方が誤解を招いたかもしれない」などとしている。当初は自分が代表者であることも知らなかったと憤っていた青木(後援会代表)も急遽記者会見し、自分は象徴的な存在・雲の上のような存在と、自分が代表者であると主張する形となった[要出典]。
安倍総理大臣による擁護
2007年7月7日、内閣総理大臣の安倍晋三は、野党から赤城の辞任要求が出ていることに対し、赤城の行為に法的問題は無いとの認識を示し、前年末に行政改革担当相を辞任した佐田玄一郎のケースとは違うと主張した[17]。
批判
事務所費の架空計上であった場合、10年間に渡り政治団体の架空の事務所費を計上し、辞任した前内閣府特命担当大臣(規制改革担当)佐田玄一郎と同じケースであり、後援会関係者は実家での事務所としての稼働はないと認めているため、第21回参院選を直前に控えた野党は、各地の街頭演説などで一斉に批判した。
民主党幹事長の鳩山由紀夫は「自ら職を辞していただきたい」と述べ、日本共産党書記局長の市田忠義は「佐田玄一郎前行政改革担当大臣と全く同質の問題」、「松岡さんの後(後任)にこのような人を出してくる安倍総理はひどい」などと述べた[18][19]。
後援会事務所費など一覧表(2005-1996)
赤城徳彦後援会事務所費など一覧表(2005-1996)[20]
人件費 | 光熱水費 | 備品消耗品費 | 事務所費 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|
2005 | 635,212 | 9,660 | 1,727,812 | 403,447 | 2,776,131 |
2004 | 509,645 | 119,500 | 104,839 | 1,282,440 | 2,016,424 |
2003 | 1,082,000 | 926,819 | 1,896,826 | 3,574,054 | 7,479,699 |
2002 | 1,002,000 | 962,106 | 2,980,728 | 2,502,066 | 7,446,900 |
2001 | 9,085,631 | 1,098,192 | 699,217 | 768,039 | 11,651,079 |
2000 | 9,423,914 | 962,816 | 1,716,806 | 1,087,267 | 13,190,803 |
1999 | 13,536,865 | 1,316,899 | 1,682,916 | 2,616,814 | 19,153,417 |
1998 | 8,592,572 | 1,298,217 | 692,196 | 1,682,888 | 12,265,774 |
1997 | 6,866,545 | 889,876 | 966,881 | 1,200,000 | 9,923,302 |
1996 | 2,800,000 | 362,818 | 192,111 | 1,200,000 | 4,554,929 |
計 | 53,534,284 | 7,946,827 | 12,660,332 | 16,317,015 | 90,458,458 |
(単位は円)
妻の自宅を届け出
赤城の政治団体「徳政会」が、1989年から赤城の妻の自宅(東京都世田谷区弦巻)を事務所として届け出、毎年100万円以上、赤城が初当選してからの17年間におよそ3341万円(16.4万/月)の経常経費を計上しているが、ここ10年は活動実態がなく、およそ1000万円が不透明な支出となっていることが明らかになった[15][16]。赤城はこの団体について、「知人や支持者からの献金の受け皿のような団体」としていたが、後に農水省内で行った記者会見で、この会の代表者から、「活動が細々となってしまいこの際解散したい」と申し出があったと述べ、「徳政会」は解散した[要出典]。
議員宿舎入居
議員宿舎の「入居基準」について、衆議院広報課は「二十三区内に住居を所有する議員は、議員宿舎に入居できないものとする。ただし、所有する住居に議員が入居できない特別の事情がある場合には、例外」と説明しており[21]、東京23区内に住居を構えている国会議員の入居を原則禁止している。一例として、葛飾区に自宅を所有する内閣府副大臣(当時)の平沢勝栄も、都心から離れているが自宅が東京23区内に含まれるため、議員宿舎への入居が認められていない。
赤城は東京都世田谷区深沢にマンションを所有[14]し、妻と居住している。しかし同時に、赤城は衆議院新赤坂議員宿舎にも入居している。赤城は「審査を経て入居しているので何ら問題ない」と主張している。
退去後の事務所費
毎日新聞の調査で、2004年に解散した赤城の政治団体「つくば政策研究会」が、1996年8月に退去した事務所(東京都港区新橋)に、その後も1997年-2003年の間、政治資金収支報告書に事務所が実在すると記載した上、事務所費など経常経費1215万円を計上していたことがわかった。
「つくば政策研究会」は、赤城の初当選の前年である1989年に設立され、2004年2月まで新橋の所在地で存続していた形となっていたが、実際には1996年8月で退去、移転し、その後はまったく関係のないテナントが入居していた。しかし、政治資金収支報告書では、退去後から2003年までの間も家賃を含む事務所費を年8万円-56万円、人件費を年37万円-346万円、光熱水費を8万円-39万円支出していた。毎日新聞の取材に対し赤城の事務所は、「会計責任者が異動届けを怠っていた。会計責任者を厳しく注意した」と付け替えや架空計上を否定したが、この場合でも、政治資金規正法は移転から7日以内の届け出を義務付けており、これに違反した形。また、2003年の段階で代表を務めていた茨城県の元町長は、「秘書に頼まれて代表になった。事務所がどこにあるかも知らなかった。解散は後から知らされた」と述べている[22]。
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- ^ 平成6年6月29日付け衆議院会議録第32号
- ^ 『朝日新聞』朝日新聞社東京本社、茨城版
- ^ 「【09衆院選】絆創膏王子が絆創膏で出陣」『【09衆院選】絆創膏王子が絆創膏で出陣 - MSN産経ニュース』産経デジタル、2009年8月18日。
- ^ 「《注目・茨城1区》ばんそうこうで笑い誘う」『asahi.com(朝日新聞社):《注目・茨城1区》ばんそうこうで笑い誘う - 政治』朝日新聞社、2009年8月18日。
- ^ “総選挙2009 開票結果 小選挙区 茨城”. ヨミウリ・オンライン 2017年12月27日閲覧。
- ^ 『自民・赤城氏が出馬辞退=茨城1区 - 時事ドットコム』時事通信社、2009年12月9日
- ^ 第154回国会 法務委員会 請願2006号
- ^ 「衆議院インターネット審議中継 -ビデオライブラリ」2007年6月6日(水)農林水産委員会 民主党・無所属クラブ 高山智司
- ^ 「参議院インターネット審議中継 -ビデオライブラリ」2007年6月12日(火)農林水産委員会 紙智子(共産)
- ^ a b c 「赤城農水相、政治活動費を2重計上 同じ領収書を添付」『朝日新聞』朝日新聞東京本社、2007年7月27日。
- ^ a b c d e 松田賢弥「『架空事務所費』だけではなかった--赤城農水相二つの政治団体で二重計上これが証拠の“ニセ領収書”だ」『週刊現代』49巻30号、講談社、2007年8月11日、pp. 24-27
- ^ a b 「赤城農相:事務所が大きく変動 19万円-1千万円幅で」『毎日新聞』毎日新聞社東京本社、2007年6月15日。
- ^ “事務所費が大きく変動 赤城農相の資金管理団体”. 共同通信社. 47NEWS. (2007年6月15日) 2012年9月24日閲覧。
- ^ a b c 松田賢弥「スクープした本誌だけが書く--ポルシェ大好き少年赤城農水相『架空事務所費』問題で父・母につかせた大ウソ」『週刊現代』49巻28号、講談社、2007年7月28日、pp. 35-36
- ^ a b 「赤城農相:政治団体が実体のない事務所に経費…父親の自宅」『毎日新聞』毎日新聞社東京本社、2007年7月7日。
- ^ a b 「赤城農相:不透明な処理次々 茨城・自宅で父「知らない」」『毎日新聞』毎日新聞社東京本社、2007年7月7日。
- ^ “辞任の必要ない-首相 農相事務所費問題”. 共同通信社. 47NEWS. (2007年7月7日) 2012年9月24日閲覧。
- ^ 「「戦えない」参院選前に与党困惑…赤城農相の事務所費問題」『読売新聞』読売新聞社東京本社、2007年7月7日。
- ^ 「赤城農相の辞任要求=首相の任命責任も追及-野党」『時事通信:時事ドットコム』時事通信社、2007年7月7日。
- ^ 出典:茨城県選管政治資金収支報告書 2007年7月8日(日)「しんぶん赤旗」
- ^ 「赤城農水相『事務所費疑惑』の核心『ポルシェ』『脱サラの父』『赤坂宿舎不正入居』」『週刊文春』49巻28号、文藝春秋、2007年7月19日、p. 25
- ^ 「赤城農相:政治団体、退去後も事務所費計上 実在と記載」『毎日新聞』毎日新聞社東京本社、2007年7月21日。
- ^ a b 「安倍首相、赤城農相と間違われ…独紙が誤掲載」『朝日新聞』朝日新聞社東京本社、2007年6月8日。
- ^ “安倍氏紹介に赤城氏の写真 独紙、G8特集で取り違え”. 共同通信社. 47NEWS. (2007年6月7日) 2014年3月14日閲覧。
- ^ 日刊スポーツ7月17日付記事
- ^ 産経イザ!8月1日付記事
- ^ a b “衆議院議員 赤城徳彦ホームページ”. 赤城徳彦 (2007年). 2007年7月18日閲覧。
- ^ “安倍内閣メールマガジン 第32号 -G8ハイリゲンダム・サミットに臨む(2007-06-07)-”. 内閣官房内閣広報室 (2007年6月7日). 2007年7月18日閲覧。
- ^ 第166回国会 衆議院 議院運営委員会 第44号 2007年(平成19年)6月15日
- ^ a b “農林水産大臣”. 首相官邸 (2007年). 2007年7月19日閲覧。
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