誤給油 誤給油の概要

誤給油

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 23:32 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
セルフ式ガソリンスタンドのノズルの色分け
誤給油防止のため、ハイオクは黄色、レギュラーは赤、軽油は緑、灯油は青で統一されている。

誤給油の原因

ガソリンスタンドでの誤給油

ガソリンスタンドでの誤給油は、主にセルフ式で起こっているが[1]、セルフサービス・フルサービスによらず、「トラックはディーゼル」という思い込みでガソリン車のトラックに軽油を入れたり、借りた車で燃料の種類が違っているなど、単純なミスや勘違いによって起こる。

ユーザーによる誤給油

主にセルフ式ガソリンスタンドで発生する。ガソリン車への軽油の給油が頻発しているとされている[2][リンク切れ]。背景として、2004年後半ごろからの原油価格の高騰によりガソリン価格も上昇し、フルサービスに慣れたユーザーが安いガソリンを求めてセルフ式に移行したことが挙げられる。給油装置の表記を「軽油」から「ディーゼル」に変更するという防止策も一部で行われている。なお、このような事故防止の手法として、すでに車のタンクに入っている油がガソリンなのか軽油なのかを判別するセンサーを設けたガソリン計量器が開発されている[3][4]

ガソリンスタンド側に起因する誤給油

タンクローリーからガソリンスタンドの地下タンクへの注入の際に油種を間違えるミス(コンタミネーション)はしばしば起きている。POSシステムなどでの管理方式や、無人荷卸システム等混油防止装置類や、キー管理などのマニュアル化などの対策をしているが、それでも油種ミスを起こしたガソリン混入灯油の回収騒ぎは起きている。逆にこのようにして灯油が混合したガソリンを故意に販売したケースもある[5]。また、ガソリンスタンド工事での配管ミスにより、ハイオクとレギュラーの誤給油が発生するという例も発生している[6]

ガソリンスタンドへ供給する際にも誤給油が起こりうる。隠岐島では燃料油を陸揚げする時点で誤給油がおこり、そのまま島内のガソリンスタンドに配給されたため、島内での販売がいっせいに停止し、島内の交通・経済が一時期麻痺した事例もある[7][リンク切れ]

非常に珍しい例として、タンクローリーのパーティションにひびが入っていたため、タンク内で灯油とガソリンが混ざってしまい、混合状態の灯油とガソリンがそのままスタンドのタンクへ注入されてしまったという事故も起きている。

家庭などでの誤給油

家庭でもっとも使われる石油は灯油であるが、農家などでは農機具機械の燃料としてガソリンや軽油を保管している場合がある。また、配達にオートバイを使う店舗では燃料のガソリンを保管している場合がある。ガソリンは専用金属容器での保管が義務付けられているが、それを灯油用のポリタンクで代用するなど、ずさんな管理によって石油ストーブにガソリンを誤給油し、出火する事故が起きている[8][リンク切れ]

誤給油のエンジンへの影響

一般に、エンジンがかからない、排気ガスに煙が混じる、馬力が出ない、などの症状がでる。給油後にこのような症状が出た場合、速やかにエンジンを止めて整備・修理する必要がある。給油直後に誤給油が判明した場合は決してエンジンをかけてはならない。

ガソリンエンジンに軽油を給油した場合

エンジンをかけても直ちに重大な故障は起こらず、燃料、エンジンオイル点火プラグの交換など、比較的簡単な整備ですむ場合が多い。軽油だけならば始動すらできないが、誤給油しても普通はエンジン手前の燃料パイプにガソリンが残っているのでエンジンは掛かる。多少は走行できるが、軽油はガソリンほど気化しないため不完全燃焼により点火プラグが汚れてエンジンが止まる。走行できる距離はガソリンと軽油の混合比、つまり、元々タンクに残っていたガソリンの量と誤給油した軽油の量によるのでまちまちである。軽油と性質が似た灯油の場合でも同様と思われる。

ハイオク(プレミアム)ガソリン指定エンジンにレギュラーガソリンを給油した場合

ハイオクとレギュラーは油種としては同じガソリンであり、トヨタ・2ZZ-GEエンジンなどレギュラー厳禁のエンジン以外では直ちに深刻なダメージはないが、故障につながる場合もある(詳しくは高オクタン価ガソリンを参照)。

ディーゼルエンジンにガソリンを給油した場合

ガソリンには十分な潤滑性がないため、燃料噴射ポンプが破損して、深刻な故障を起こすと言われている(乗用車に主に用いられる分配型噴射ポンプは燃料でポンプを潤滑するためガソリンでは故障する。トラックなどで用いられる列型ポンプではエンジンオイルで潤滑されるため、直ちに噴射ポンプの故障とはならない)。実際には元々残っていた軽油と混合されるので始動・走行できるが、馬力が落ち、排気ガスに白煙が混じる。やがては噴射ノズルの故障を起こす。

ディーゼルエンジンに灯油を給油した場合

軽油と灯油は性質が近いため直ちに深刻な故障には至らないが、灯油を燃料として自動車で公道を走ることは不正軽油として違法となり、手違いによるものであっても識別剤の検出を理由に検挙される可能性がある。また軽油にはディーゼルエンジンに用いるための潤滑剤を含む様々な添加剤が加えられている事があるが、灯油にそのような処理はされておらず故障の原因になる。




「誤給油」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「誤給油」の関連用語

誤給油のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



誤給油のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの誤給油 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS