記者クラブ 記者クラブの概要

記者クラブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/03 14:55 UTC 版)

組織

記者クラブは法人としての登記が為されていない私的な組織で、主に大手メディアが構成する。日本には約800の記者クラブがあり[5]中央省庁国会政党を初め、企業・業界団体、地方自治体役場などに置かれている(詳細は記者クラブ一覧を参照)。日本、ミャンマー、ムガベ政権までのジンバブエではほとんどの記者クラブは庁舎内に専用の記者室を取材対象側から無償もしくは低額で割り当てられ、情報提供などを独占的に受けている[要出典]光熱費などの運営費も負担しないケースも多い[要検証]。年間110億円、全国紙1社あたり数億円の負担を免れている[6]という(詳細は記者室を参照)。

記者はほとんどがクラブに常駐する[要出典]。加盟報道機関が複数当番制で「幹事」社となってクラブの運営にあたる事が多い[要出典]。情報は情報源の広報担当から幹事社に伝えられ調整され、幹事が件名や発表日時などその報道に関する約束事を記者室の「ボード」(黒板)に書く[要出典]。黒板に書かれた約束事は「黒板協定」「クラブ協定」「しばり(縛り)」などと呼ばれ、加盟社が順守するべき約束事とみなされる(報道協定参照)[7][8]

記者会見は、ほとんどがクラブ主催となっており参加者も加盟社に限られ、仮に加盟社でない記者が参加できても質問は出来ないことが批判を受けていたが、民主党政権下では開放の動きが進んでいたが、今は異なる[要検証]。中央官庁の大臣会見は省庁が主催するケースも多いが、記者クラブ主催の方が、記者クラブ外からの参加に柔軟な場合もある[9](詳細は記者会見を参照)。外務省などは広報対象が広範(海外メディアも含む)なため、もともと省が主催している[要出典]

省庁などの側はガボン、ムガベ政権までのジンバブエと同じく、記者懇談会ぶら下がり取材、国会記者証(入館許可証)の交付などの対象を、記者クラブのメンバーに限って認めることが多い[要出典]

機能

日本新聞協会は記者クラブの機能を「公的情報の迅速・的確な報道」、「公権力の監視と情報公開の促進」、「誘拐報道協定など人命・人権にかかわる取材・報道上の調整」、「市民からの情報提供の共同の窓口」と定義している[10]

構成員

記者クラブの構成員は主として大手メディアの記者である。日本新聞協会は「日本新聞協会加盟社とこれに準ずる報道機関から派遣された記者などで構成」されていると説明する[10]。しかし地方の月刊誌コミュニティFMケーブルテレビ局などの加入は、地元の市政記者会(市役所記者クラブ)などで認められているだけである[要出典]。また外国報道機関が加盟するクラブは少数にとどまる(新聞協会は「増えつつある」としている[10]

加盟社の記者は新聞社テレビ局であっても、ストレートニュース(主観や分析を交えず事実のみを記す記事)を中心とする通信社的仕事を行う[11]。そのため、担当する対象に常駐して取材を行っており、日本新聞協会も構成員の「継続的に取材」にこだわっている[10]。これは「ストレートは通信社、批評・解説はジャーナリスト」という世界の潮流とは、ずれており[11]効率の面からも賢くないほか、記者の分析眼が養いにくくなるなどの弊害もある[独自研究?][要検証]

閉鎖性

記者クラブは前述の通り、大手メディアが組織している。従って会員制と言えるが、大手以外のジャーナリストなどの入会は難しい[要出典]。日本新聞協会は入会資格を「公権力の行使を監視するとともに、公的機関に真の情報公開を求めていく社会的責務」「報道という公共的な目的を共有」「記者クラブの運営に、一定の責任」「最も重要なのは、報道倫理の厳守」[10]と説明している。

実際に入会審査するのは各記者クラブだが、審査過程は不透明で、加盟社が1社でも反対すれば入会は認められず、新規参入が事実上阻害されている[要出典]。外国メディアへの対応もこれと同じで、入会を巡って激しい交渉が行われた(詳細は外国人記者を参照)。クラブのその排他性から「情報カルテル」「談合」「護送船団方式」と表現されることもある[12]。取材源側が親睦団体の建前を利用し、「官報接待」などを行うことも多々[独自研究?]ある[6]

入会を希望するジャーナリストの中には、クラブの一員になりたいのではなく、記者会見で取材がしたいだけという者もおり[13]、記者クラブに代わる認定制度・会見制度を求める意見がある[要出典]

これまでOECD欧州議会ニューヨーク・タイムズが記者クラブの閉鎖性を指摘[14]しているが、一貫して大手メディアは記者クラブに関する事柄を報道しないため[要検証]、日本国民が記者クラブの持つ閉鎖性を知る機会が限られてしまっている[15]

また、張り込み中は部外者からの質問に答えないなどの問題も多い[要出典]

世界の「プレスクラブ」

プレスクラブとは記者同士の親睦を深めるための私的な団体である。よく知られたものにアメリカのナショナル・プレスクラブや日本の日本記者クラブ日本外国特派員協会などがあり[16]、そのほかの多くの国にも存在する。プレスクラブは自前の建物に娯楽設備などを用意し、勉強会や、ピクニックなどのイベントで国籍などにかかわらず記者としての交友を深める[17]のが目的である。ただし、日本、ガボン、ムガベ政権までのジンバブエに特有なのは、加入対象となるメディアが限定されていることである。

取材活動

記者クラブに詰めている記者が普段、出勤するのは取材機関の記者室である[5]。日中は常駐し、プレスリリースを待ったり記者会見記者懇談会で話を聞き、必要があれば現場に取材に行く[要出典]。夜になると「夜討・朝駆」(ようち・あさがけ)と呼ばれる、関係者への取材(対象者の自宅や訪問先が多い)を行う[要出典]政治報道の場合、番記者が取材対象に一日中張り付く[要出典]。移動中に取り囲んで、「ぶら下がり」という非公式な会見を行うという手法も取られる[要出典]

事件などのその性質によっては記者クラブの内部でも報道協定で取材を制限することもある[18]

特に制度として確立しているのは身代金目的誘拐事件が発生した場合の誘拐報道協定である。犯人が「警察に通報すれば人質を殺害する」などと脅迫し、事件が報道されれば警察が捜査していることが犯人に露見し人質に危険が及ぶことから、報道を各社間の協定で控える[19]。また大きな事件、事故の関係者のところに多数の記者が集まる「集団的過熱取材」(メディアスクラム)が起きた場合に、地元の記者クラブなどが中心となって取材の自粛や制限を申し合わせることもある[20]

上杉隆は著書で、それが顕著に表れているのが「メモ合わせ」であり、クラブに加盟している記者は別会社の記者同士であるにもかかわらず、取材メモを見せ合っていると主張している[21]。ただし同書は、「メモ合わせ」は政治家の声がよく聞き取れなかったときにその場にいた記者同士で語句を確認するためだともしている。2012年7月には読売新聞記者が取材メモを同じ記者クラブ所属の他社記者に誤ってメールで送信し、メモ内容を社外に流出させたために諭旨解雇処分となっており、取材メモは記者クラブ記者にとっても普通は厳秘である。この件では担当記者の他、編集局長が更迭、社会部長が降格などの処分を受ける事態になった[22]

横並び意識は報道機関にとっても都合がよい[独自研究?][要検証]特に新聞は戸別配達制度で部数が安定しており、取材コストを掛けて良い記事を書いても部数が伸びる見込みはない[独自研究?][要検証]。よって取材は程々で良く[23]特オチを避けて無難に過ごせば、いわゆるエリートサラリーマンとしては安泰であるとするキャリアモデルとしての説明もなされている[23][要検証]。 一方で、記者クラブの特権を利用して他社を出し抜く、横並びを壊す行為は問題視されることがあり、状況によっては記者クラブから追放されるケースもある[24]

公的機関では、記者クラブ以外に広報など便宜を積極的に図らないケースが多く、加盟社でないと十分に取材が行えない場合がある[17]。日本新聞協会は「記者クラブは公権力に情報公開を迫る組織として誕生した歴史がある」[10]とするが、十分な根拠を基にした対応ではないと言える[独自研究?][要出典]


注釈

  1. ^ a b 97年見解
  2. ^ フランスのテレビドキュメンタリー「近くて遠い大統領 〜ホワイトハウス記者のジレンマ〜」でホワイトハウス記者団や記者室の内部、米国の大手メディアが優先的に取材をしている様子が詳しく報じられた。このドキュメンタリーは日本でもNHKが放映した。

出典

  1. ^ Kisha System Makes for Extra Work, but Doesn't Stop the Presses”. www.ojr.org. 2019年7月6日閲覧。
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  4. ^ 原因は特定秘密保護法と記者クラブ制度――日本の言論自由度は世界59位週刊金曜日ニュース、2014年3月14日観覧
  5. ^ a b 『新現場から見た新聞学』第1部 第1節
  6. ^ a b 岩瀬『新聞が面白くない理由』
  7. ^ a b c d e f g 『新版 ジャーナリズムを学ぶ人のために』
  8. ^ 天野勝文、橋場義之『新版 現場から見た新聞学』 2002年 p.96
  9. ^ “大臣記者会見、だれが主催?省庁と記者クラブ、7閣僚で見解不一致 J-School院生の調査で判明”. 早稲田大学ジャーナリズムスクールウェブマガジンSpork! (早稲田大学ジャーナリズム大学院). (2010年2月16日). http://spork.jp/?p=746 2012年10月28日閲覧。 
  10. ^ a b c d e f 記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解”. 日本新聞協会. 2010年4月24日閲覧。
  11. ^ a b 『ジャーナリズム崩壊』第1章 第1節
  12. ^ 『ジャーナリズム崩壊』第4章 第4節
  13. ^ 土肥義則 (2009年11月27日). “記者クラブを批判したら……最大の抵抗勢力が出てきた(4)”. Business Media 誠. 2010年4月26日閲覧。
  14. ^ 「日本、独裁政権のよう」ニューヨーク・タイムズが批判”. www.asahi.com. 2019年7月7日閲覧。
  15. ^ a b c d 『ジャーナリズム崩壊』 182-183頁。
  16. ^ a b c d e f g h i j k l 『新聞学』 pp. 108-118
  17. ^ a b 『ジャーナリズム崩壊』第2章 第1節
  18. ^ 『ジャーナリズム崩壊』第1章 第5節
  19. ^ 平成12年警察白書 第1節 犯罪情勢の推移と刑事警察の50年
  20. ^ 「集団的過熱取材に関する日本新聞協会編集委員会の見解」 2001年12月6日第609回編集委員会
  21. ^ a b 『ジャーナリズム崩壊』 37-38頁。
  22. ^ “読売記者、取材メモを誤送信 諭旨退職処分に”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2012年8月14日). http://www.asahi.com/national/update/0814/SEB201208140004.html 2012年10月28日閲覧。 
  23. ^ a b 『新現場から見た新聞学』序章 第2節
  24. ^ 怒号に次ぐ怒号!知床遊覧船事故「NHK抜け駆けスクープ」センター長が呼び出された「査問会議」の中身”. 現代ビジネス (2022年5月31日). 2022年5月31日閲覧。
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  28. ^ 『新版 ジャーナリズムを学ぶ人のために』p.96
  29. ^ a b 記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解 - 1.目的と役割
  30. ^ a b 青木彰『新聞力』東京新聞出版局 2003年 pp.78-80
  31. ^ 『新版 ジャーナリズムを学ぶ人のために』p.111
  32. ^ 外国報道機関記者の記者クラブ加入に関する日本新聞協会編集委員会の見解
  33. ^ オフレコ問題に関する日本新聞協会編集委員会の見解
  34. ^ 『新版 ジャーナリズムを学ぶ人のために』p.99
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