観音菩薩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/11 16:27 UTC 版)
真言
- 聖観音 - オン・アロリキャ・ソワカ om ālolik svāhā[20] / om ārolik svāhā[注釈 15]
- 十一面観音 - オン・ロケイ・ジンバ・ラ・キリク・ソワカ / オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ
- 千手観音 - オン・バザラ・タラマ・キリク
- 如意輪観音 - オン・ハンドメイ・シンダ・マニ・ジンバ・ラ・ウン
- 准胝観音 - オン・シャレイ・ソレイ・ソンデイ・ソワカ oṃ cale cūle cundī svāhā
- 不空羂索観音 - オン・アボキャ・ビジャシャ・ウン・ハッタ / オン・ハンドマダラ・アボキャ・ジャヤデイ・ソロソロ・ソワカ / オン・アモキャ・ハラチカタ・ウンウン・ハッタ・ソワカ
- 馬頭観音 - オン・アミリト・ドハンバ・ウン・ハッタ
- 白衣観音 - オン・シベイテイ・シベイテイ・ハンダラ・バシニ・ソワカ
- 楊柳観音 - オン・バザラダラマ・ベイサジャ・ラジャヤ・ソワカ
- 六字大明呪 - オム・マ・ニ・ペ・メ・フム[22] / オーム・マニ・ペーメエ・フーム[23] oṃ maṇi padme hūṃ[24]
祀る主な寺院
- 栃木・中禅寺(立木観音堂) - 千手観音(重要文化財)
- 栃木・大谷寺 - 千手観音(大谷磨崖仏)(特別史跡、重要文化財)
- 栃木・寺山観音寺 - 千手観音及両脇侍像(重要文化財)
- 東京・浅草寺 - 聖観音(秘仏の像など複数、うち一体台東区指定文化財)[注釈 16]
- 東京・護国寺 - 如意輪観音
- 東京・品川寺 - 水月観音、聖観音
- 東京・塩船観音寺 - 千手観音(東京都指定有形文化財)
- 神奈川・長谷寺 - 十一面観音(神奈川県指定重要文化財)
- 神奈川・弘明寺 - 十一面観音(重要文化財)
- 神奈川・大船観音寺 - 白衣観音
- 静岡・礼拝山興亜観音 -興亜観音
- 福井・羽賀寺 - 十一面観音(重要文化財)
- 福井・馬居寺 - 馬頭観音(重要文化財)
- 滋賀・石山寺 - 如意輪観音(重要文化財)
- 滋賀・向源寺(渡岸寺) - 十一面観音(国宝)
- 滋賀・櫟野寺 - 十一面観音(重要文化財)
- 京都・松尾寺 - 馬頭観音
- 京都・広隆寺 - 不空羂索観音(国宝)、千手観音(立像)(国宝)、聖観音(重要文化財)、如意輪観音(重要文化財)、千手観音(坐像)(重要文化財)
- 京都・清水寺 - 千手観音(本堂)、千手観音(奥の院)(重要文化財)
- 京都・三十三間堂 - 千手観音(国宝・湛慶作)、千手観音1,001躯(重要文化財)
- 京都・六波羅蜜寺 - 十一面観音(国宝)
- 京都・大雲寺 - 十一面観音(行基作)
- 京都・観音寺 - 十一面観音(国宝)
- 京都・醍醐寺(上醍醐) - 如意輪観音(重要文化財)、准胝観音
- 京都・大報恩寺 - 聖観音、千手観音、馬頭観音、十一面観音、准胝観音、如意輪観音(六体とも重要文化財、肥後別当定慶作)
- 大阪・大聖観音寺(あびこ観音) - 聖観音
- 大阪・四天王寺 - 救世観音
- 大阪・観心寺 - 如意輪観音(国宝)
- 大阪・葛井寺 - 千手観音(国宝)
- 大阪・道明寺 - 十一面観音(国宝)
- 兵庫・中山寺 - 十一面観音(重要文化財)
- 兵庫・神呪寺 - 如意輪観音(重要文化財)、聖観音(重要文化財)
- 兵庫・斑鳩寺 - 如意輪観音(重要文化財)
- 兵庫・須磨寺 - 聖観音
- 奈良・法隆寺 - 百済観音(国宝)、夢違観音(国宝)、救世観音(国宝)、九面観音(国宝)
- 奈良・興福寺 - 不空羂索観音(南円堂、国宝)、千手観音(旧食堂本尊、国宝)
- 奈良・薬師寺 - 聖観音(国宝)
- 奈良・唐招提寺 - 千手観音(国宝)
- 奈良・法華寺 - 十一面観音(国宝)
- 奈良・長谷寺 - 十一面観音(重要文化財)
- 奈良・室生寺 - 十一面観音(国宝)
- 奈良・東大寺 - 十一面観音(二月堂)、不空羂索観音(法華堂(三月堂)、国宝)、如意輪観音(金堂、重要文化財)
- 奈良・大安寺 - 十一面観音、馬頭観音、楊柳観音、聖観音、不空羂索観音(以上全て重要文化財)
- 奈良・聖林寺 - 十一面観音(国宝)
- 奈良・岡寺 - 如意輪観音(重要文化財)
- 和歌山・道成寺 - 千手観音(国宝)
- 和歌山・金剛三昧院 - 十一面観音(重要文化財)
- 和歌山・補陀洛山寺 - 千手観音(重要文化財)
- 福岡・観世音寺 - 聖観音、十一面観音、馬頭観音、不空羂索観音(以上重要文化財)
平和のモニュメントとして昭和時代以降、日本各地で観音菩薩像が造られた。その多くは女性的な顔立ちで、頭部と両肩を布でおおい、全身白塗りである。これは中国明代の白磁の白衣観音の影響があるという(君島彩子『観音像とは何か』 2021年 青弓社)
観音と関係する作品
仏像
- 十一面観音立像
- 天竺(インド)の仏師・問答師が光明皇后をモデルとして刻んだ木像と伝えられ、法華寺の本尊である。国宝に指定されている。
中国の海南島にある。世界で4番目に高い像であり、また世界で最も高い観音像でもある。
古典小説
- 『西遊記』
- ストーリー全般にわたって、釈迦如来の命を受けて三蔵法師守護のため何回も登場する。これは三蔵法師のモデルである玄奘三蔵が般若心経を携えて西方に旅したという伝説からヒントを得たものされる。
- 『封神演義』
- 仏教の観音菩薩が明代に道教に取り込まれて慈航真人となったのであるが、ほぼ同じ時代に完成された小説『封神演義』には慈航道人なるキャラクターが登場し、後に観音菩薩になったとしている(作中では殷の滅亡から1000年後の事としている)。普陀山落伽洞に住み、観音菩薩の持物である水瓶の様な宝貝「瑠璃瓶」を使う。後に観音菩薩の乗り物となる金毛犼の金光仙を捕えている。さらに、この小説では文殊菩薩、普賢菩薩も仙人として登場し(それぞれ作中では、文殊広法天尊と普賢真人)、後に仏教の菩薩になったなどとしている。
音楽
- 謡い経
- 歌詞は観音偈(鳩摩羅什訳『妙法蓮華経』観世音菩薩普門品第二十五の「世尊妙相具」から「阿耨多羅三藐三菩提心」まで)、音楽は菅野よう子、歌は柴咲コウ。NHKの大河ドラマ『おんな城主 直虎』(2017年)の劇中で柴咲が歌った。2017年、シングルのアルバム「謡い経 とわから次郎へ」もリリースされた。
注釈
- ^ 無人島に捨てられた理由は、継母による育児放棄であるとか、誘拐犯によるものだとか、諸本により一定しない。平康頼の『宝物集』では、子供二人は生母と死別し、継母が二人の子供を殺害しようとして、海藻取りだと騙して連れ出し、無人島に置き去りにしたとしている。なお、松原泰道『般若心経入門』では、出典を南伝華厳経とする。
- ^ 『宝物集』では、子供二人の生母は阿弥陀如来の前世であり、阿弥陀三尊像の脇侍が観音・勢至なのはその因縁に依るという。
- ^ 日本の「千手観音」と「十一面観音」を一つにした尊格[要出典]。曼荼羅の研究家として知られる田中公明によると、「千手観音」の千手を描く姿は中国で描かれたのが最初で、インドにはその作例は見られないとしている。
- ^ この他、変化観音関係でよく読誦される教典として、千手観音の陀羅尼である大悲心陀羅尼や、准胝観音経などがある[要出典]。
- ^ 書き下しは平田真純『大聖歓喜天礼拝作法』待乳山本龍院、2002[要文献特定詳細情報]に依った。句読はやや改めた。
- ^ 三十三身は法華経の鳩摩羅什訳で初めて出現しており、サンスクリット原文では数が少ない。なお、三十三身を仏像として造像する例もあり、鎌倉長谷寺に十一面観音像の脇侍として作られた三十三身像が現存しており、神奈川県の重要文化財に指定されている他、東京の護国寺、塩船観音寺に作例が残る。
- ^ 三十三身の分け方は鎌田茂雄『観音経講話』[要ページ番号]及び大栗道栄『図説観音経入門』[要ページ番号]に従った。三十三観音との対応は土佐秀信『仏像図彙』[要ページ番号]より。
- ^ 三十三身の分け方は鎌田茂雄『観音経講話』[要ページ番号]及び大栗道栄『図説観音経入門』[要ページ番号]に従った。三十三観音との対応は土佐秀信『仏像図彙』[要ページ番号]より
- ^ この尊格は定説がない。大栗は帝釈天の命を受けて世間をパトロールし、賞罰を定める尊格だとするが、異説もある[要ページ番号]。
- ^ 人格者の資産家で判断が正しく世間の役に立っている人のこと[18]。
- ^ 不動明王と同じ尊格とする[18]。
- ^ 道元が感得した尊格とされる[要出典]。
- ^ 読みは「ばろうふ」とも。魚籃観音と同一説もある[要出典]。
- ^ 文献自体が書かれたのは9世紀から12世紀[19]。
- ^ 観音菩薩の心真言「アロリキャ」の「ロ」は伝統的な悉曇文字で書かれた悉曇真言本ではruまたはroであり、『文殊儀軌経』のサンスクリット本でも観音菩薩の心真言はārolikである[21]。「アロリキャ」がālolikなのかārolikなのかや、その語源・意味は学術的にも未解決の問題となっている[21]。
- ^ 本尊の聖観音像は絶対秘仏。この他千手観音像を含め複数の観音像があり、本尊と同じ形の「裏観音像」は開堂中は拝観可能。露座の聖観音坐像が台東区指定文化財。
出典
- ^ 新版 禅学大辞典 p113
- ^ 国立国会図書館デジタルコレクション 鳩摩羅什訳『妙法蓮華経 : 冠註』「『妙法蓮華経』観世音菩薩普門品第二十五」
- ^ 坂本幸男・岩本裕訳注『法華経』岩波文庫下巻[要文献特定詳細情報]の注釈[要ページ番号]。
- ^ 関根俊一 編『仏尊の事典 - 壮大なる仏教宇宙の仏たち』学習研究社〈New sight mook. Books esoterica. エソテリカ事典シリーズ 1〉1997年4月、ISBN 978-4-05-601347-4、62頁。
- ^ 『大唐西域記』巻三「中有阿縛盧枳低湿伐羅菩薩像(唐言「観自在」。合字連声、梵語如上。分文散音、即「阿縛盧枳多」訳曰「観」、「伊湿伐羅」訳曰「自在」。)」
- ^ a b 松原・三木1999 [要ページ番号]
- ^ 山中2010 p.120
- ^ Lokesh Chandra (1984). “The Origin of Avalokitesvara”. Indologica Taurinenaia (International Association of Sanskrit Studies) XIII (1985-1986): 189–190. オリジナルの2014-06-06時点におけるアーカイブ。 2016年7月31日閲覧。.
- ^ “中国の皇帝たち - 日本人と中国人を知るための教養講座”. 2023年3月9日閲覧。
- ^ 大宮司朗『仏尊の図鑑』[要文献特定詳細情報]
- ^ 植木雅俊『仏教、本当の教え』(中公新書、2011年)p.174
- ^ 植木雅俊『仏教、本当の教え』(中公新書、2011年)pp.174-181
- ^ 松原・三木1999 [要ページ番号]。松原哲明によれば一般的には女性だと誤解されており、大正期の岡本かの子等は、各宗教の神々でミスコンを行った場合、観世音菩薩はミス仏教だろうと主張しているが、れっきとした男性だと念押ししている。ただし、岡本も観音が男性であることは確かだが、女性として見たいと主張している[要ページ番号]。
- ^ 平木康平『媽祖と観音--中国母神の研究-2-』, 大阪府立大学紀要 人文・社会科学 (32), p54-55, 1984
- ^ 岩本・坂本『法華経』1976、岩波書店[要文献特定詳細情報]。長行と偈文に分かれている。なお、松原1972のように、普門品偈文のみを取り出して「観音経」という場合もある。
- ^ 東京国立博物館資料調査室長の石田尚豊の研究による[要ページ番号]。石田によれば、既に白鳳時代にかなりの密教経典が読まれていた記録があり、十一面観音や千手観音の登場する教典が招来されているという。
- ^ 観音信者の国王や大名[要出典]。鎌田茂雄はアショーカ王や楠木正成のような人物だとしている[要ページ番号]。
- ^ a b 大栗2001 [要ページ番号]
- ^ a b c Sarath Chandrajeewa. “BODHISATTVA AVALOKITESVARA FROM VEHERAGALA” (英語). Art Sri Lanka. 2012年2月21日閲覧。
- ^ 「唵 阿去引 嚧引 力 迦半音 婆嚩二合引賀引」(不空譯『觀自在菩薩心眞言一印念誦法』)
- ^ a b 堀内 1953, pp. 6–7.
- ^ “チベットについて>チベットと文化>くらしの中の信仰(オム・マニ・ペメ・フム)”. ダライ・ラマ法王日本代表部事務所. 2015年9月16日閲覧。
- ^ 『岩波仏教辞典』第二版、pp.121-122「唵麼抳鉢訥銘吽」、p.184「観音信仰」。
- ^ 『岩波仏教辞典』第二版、pp.121-122「唵麼抳鉢訥銘吽」。
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